Dreamforce 2024現地レポート Day1(基調講演)

イベントレポート

Kaishi Horie

Dreamforce 2024現地レポート Day1(基調講演)

Kaishi Horie

Salesforce世界最大の年次カンファレンス「Dreamforce」の季節がやってまいりました。
今年2024年は9月17日〜19日の3日間、サンフランシスコのモスコーニ・センターを中心とした地域で開催されています。
今年も現地より常務執行役員の堀江が最新のレポートをお送りします。

今回のテーマは「Agentforce」

毎年、多くのTrailblazerで賑わうDreamforceですが、今年も初日から多くの人が会場に詰めかけています。

印象的な虹色のエントランスゲートをくぐり会場に入るとEinsteinやAstroをはじめSalesforceのキャラクターの石像のオブジェが出迎えてくれます。堀江のお気に入りのCoodyも発見しました。

今年のイベントテーマは「Agentforce – Humans with Agents drive customer success together」とあるように人とエージェントが共にカスタマーサクセスを推進することを掲げています。

Main Keynote (Day1 10:00am-12:00pm)

メインとなる基調講演には開演2時間前にも拘らず既に多くの人が開場を待ち並んでいる状態でした。基調講演会場には日本からの顧客向けのJapanシートが用意されています。

生バンド演奏で会場の期待感も高まったところでHawaiian Prayからのオープニングです。

基調講演はKeri Bowden氏のAI活用ストーリーの紹介から始まりました。

講演内でKeri氏はAIが人の補完をするようになると述べ、実例としてAgentforceがメールのドラフトを作ったり、文章を要約するなどの業務を効率化を実施し、お客様との対話により時間を使うことができるベネフィットを訴求しました。

またAIを使うためのステップとして、Keri氏は単純機能だけでなくAIの関連知識(機械学習やニューラルネットワークモデルなど)を学び始めて見ること、機能をまずは利用してみること、導入に対しての困難があっても進める気持ちが重要だと語りました。

Keri Bowden氏も16年もの間Dreamforceへの登壇を夢見てチャレンジを継続し、ついに今年オープニングアクトとしてDreamforceの基調講演に登壇するに至ったとのことです。

講演内ではホテル業界におけるSalesforceのAI活用について紹介されました。7年前まではクラウドファーストではなかったこのホテルでは、Salesforceプラットフォームを使って、1億1,000万人のロイヤル顧客の声を知ることを始めました。宿泊情報やクレームなどの様々なデータを集約し、360°ビューを作成し、エージェントがこれらのデータを活用しているとのことです。

今回の基調講演で紹介された目玉となるサービスはAgentforceとData Cloudの二つです。

Agentforce

AgentforceはEinstein Copilotsの名称を変化した上で機能を拡張しリブランディングした用語と位置づけられます。

レストラン予約サービスのOpenTableがAgentforceの事例として紹介されました。

OpenTableはデータを元にしてAIがエージェントのあらゆるアクティビティや業務を助けるものであるとされました。これは従来までEinstein for Serviceと呼ばれていたもののリブランディングである印象を受けました。実際に講演内ではAIがあるべき姿がAgentforceとして定義されていました。

Data Cloud

Data Cloudはあらゆるデータを集約し、統合されたビューを作成するデモが行われました。

SalesforceのキャラクターがAgentforceになると…

Marc Benioff氏によるオープニングピッチ

例年の基調講演同様、来場者をはじめとするSalesforceユーザーへの感謝の言葉から始まりました。

今回のDreamforceも1,500以上のセッションが提供され、200社のスポンサー、45,000人ものユーザが現地で参加し、オンラインでの参加者は100万人以上に上ります。イベント内で行われるDreamfestはP!NKやImagine Dragonが出演し、今年も豪華なゲストが登場することが紹介されました。

またBenioff氏はSalesforce創業時からの変わらぬ想いとして、TRUST, CUSTOMER SUCCESS, INNOVATION, EQUALITY, SUSTAINABILITYへの取り組みも紹介しました。

Salesforceの売上高は38 billion $にも上り、SAPを抜いて世界で2番目の売上を実現しました。Benioff氏はSalesforceがAIのパイオニアあることを強くアピールし、MicrosoftのCopilotを強く意識している印象を受けました。

AIの第三の波 Agentforce

またBenioff氏はAIの波について語り、第二の波であるCopilotの先の第三の波はAIがエージェントのひとりになる事を強調しました。これが今回の重要なトピックであるAgentforceの語源となった印象を持ちました。

Agentforceは各製品ファミリに組み込まれるようで、同時に製品群がリブランディングされるのでしょうか?

Sales CloudはSalesforce、Service CloudはServiceforceにという表現になっていることが気になります。

Agentforceは労働力を無限大にするとBenioff氏は語り、人がAIに代替される時代がすぐそこまで来ているのでは?と思わせる機能多く備えているようです。

精度が高く、ハルシネーション(AIが事実に基づかない情報を生成する現象)も少なく、構築に簡単に行うことが可能である、その理由はアプリケーションがプラットフォームに組み込まれているからと説明されました。

Agentforceは2024年10月にGAとなる見込みで、日本での展開がいつになるのかが気になるところです。

事例としては改めてOpenTableをはじめ、Wiley、FOSSIL、Disney、Saks活用が紹介されました。

DataCloudでデータを統合し、Customer360で360°Viewを作成、Agentforceで生産性の向上を実現する構図が見てとれました。

Agentforceはあらゆる業種/職種(Finance agents/Support agents/CX agentsなど)に対して標準で機能を提供するとし、Salesforceが提供するエージェントもチャットボットから、AIへ、そして、Agentforceへと発展していきます。

Agentforceにの構成要素は5つあり、役割/データ/アクション/チャネルそれを支えるものとしてTrust Layerが存在します。

また、AgentforceはAtlas reasoning engineを使い学習しており、これにより使えば使うほどより賢くなるとのこと。

デモで紹介されたAIエージェントSophieによるパーソナルな会話での対応はかなり印象的でしたが、日本語環境でどうなるのかは、現時点では不明であるため現実的な運用に向けての検証をしてみる必要はありそうです。

AgentforceはAgent Builderによりカスタマイズすることができるため、Agent BuilderからAIエージェントを作成し、フローでトピックスやアクションを設定、エージェントに何のデータを把握させ、どのような対応をするかを設定していくことも可能。プレビュー機能で、会話を投げかけることで、エージェントがどのようなデータをもとにどのような対応をしているかを可視化できます。

新しいOmni Supervisorは、リアルタイムでの音声データの再生、全体パフォーマンスの確認等が可能でCTIソリューションのような画面イメージが印象的です。

Benioff氏はSalesforceだけが成し遂げていることして、全てのタッチポイントの記録を自動化し、さらに、その情報をエージェントが活用できることを強調しました。

これまではAIの構築・活用において1からの構築が必要であり、膨大なコストやリソースが必要であったが(講演内ではDIYと表現されておりました)、AgentforceにおいてはAIの構築に膨大なコストやリソースは要さないということを強調しました。

Data CloudとAgentforceの活用

次にData Cloudが実現することが語られ、データがバラバラになって孤島のような状態をDataCloudで統合でき、7兆以上のレコードが日々、DataCloud内で動いていることが説明されました。

またDataCloudは構造型/非構造型、Salesforceの各ライセンスなどさまざまなデータを統合することで、統合された顧客のプロファイルを Customer 360として活用できます。

SMSでもエージェントが会話形式で対応が可能。以下がその流れになります。

  • DataCloudからシナリオが始まり
  • Snowflakeからデータストリームを作成
  • Agent Builderでプロンプトの作成からアウトプットの生成、テスト、チューニングをワンストップで実施
  • テストを実施し精度を確認
  • 設定によりチューニング
  • Data CloudであらゆるPlatformとシームレスに接続
  • DataStreamをGUIベースで簡単に作成

回答の精度が低い場合には、Promptのグラウンディング先を指定、つまり、グランディング先をData Cloudで構築をすることでプロンプトから得られる回答の精度を上げることが可能になります。

製品のリブランディング

Benioff氏はSalesforceはCRM市場No1なのでAIの精度が高いことを強調し、Sales、Service、MCなどをフローを通じてパーソナライズできると語った上で、各製品を以下の通りリブランディングすることを発表しました。(日本でもお馴染みの主要製品を掲載しています)

また、様々な業界別クラウド×Agent Cloudにより可能性は無限に広がっているとも語りました。

最後にSaksの活用がデモで紹介されました。

  • 25人の人間と3名のエージェントで対応するデモ
  • 画面での各担当者のスキルの閲覧
  • エージェントは情報をとるだけではなく、アクションが可能
  • Slackで人間とエージェントがコミュニケーションをとる
  • さらにTableauに自然言語で依頼することで、必要なデータを取得
    • エージェントがその他をアクションを推奨
  • ECサイトからエージェントとの会話へと遷移し質問に回答
  • 特定の顧客が来店することがわかるとストアのスタッフにもエージェントがアドバイスを実施

最後にBenioff氏は基調講演のまとめとしてAgentforce World Tourを発表。来年の10月22日に東京でも開催されるようです。

Dreamforceの現場から速報レポートでした。以降の参加セッション等についても随時情報をアップデートしますのでお楽しみに!

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