Salesforceという言葉を初めて聞いたばかり、または聞いたことがあるけど何ができるものかわからない、といった方に向けて”できること”と”どのように使うか”をご紹介していきます。
まず初めに、Salesforceとはそもそも何か一言で言うと「Salesforce社が提供するSaaS*1ソリューションの総称」です。総称と書いた通り様々な製品を持っています。ここからどんな製品があるのか見ていきましょう。
Sales Cloud
Salesforce製品群の中で最も有名なのが「Sales Cloud」です。「Sales Cloud」は営業の方が[取引先]との間で行う[商談]を強くサポートする機能が用意されています。
主な流れとして、まだ取引の無い[リード]を営業の方が登録し、フォローを重ね取引を行う内容が具体化したころ[商談]を登録します。その[商談]にいつ電話・メールを行うか[活動]や[ToDo]を登録し、それらの結果によって[商談]が進めば確度やフェーズを進展させ、商談の進捗を管理します。見事受注に至ったら[契約]や[請求]など、[商談]には取引成立までの事業活動だけでなく、以降の事業活動も登録することができます。
これらのデータをシステムに登録するメリットは数多くあります。営業メンバーの動きが時系列でわかるため、適切なタイミングで助言を授け、受注確率を引き上げることができます。その他にも、過去取引先に対して実施したことを振り返り、受注につながった行動は何か分析し、営業メンバー全体の実力を底上げすることも可能です。
導入契機として、Excel管理からの脱却などが事例として多く、事業活動が拡大するのに合わせてローカル管理から全社管理へと移行していくために最適なソリューションと言えます。
Account Engagement(旧Pardot)
「Account Engagement」はマーケティングオートメーションの機能を有したソリューションです。Salesforce一体型のMAツールのため、マーケティング~インサイドセールス~フィールドセールスなど、それぞれの部門間で一貫したアクションを取ることができます。
主な機能として、ランディングページ(LP)の作成、見込み客(プロスペクト)のリスト化とメール配信、Webアクティビティのトラッキングなど、リードを生成するための豊富な機能を揃えております。また、SalesforceのAIであるEinsteinと組み合わせることで、ユーザーが最もメールを開きやすい時間帯にメールを送信する最適化を行うことができる機能、条件を指定してリストにユーザーを自動追加および条件から外れたユーザーを自動で除外することができるダイナミックリスト機能などが特徴です。
Marketing Cloud
もう1つマーケティングオートメーション機能を有しているソリューションには「Marketing Cloud」があります。One to Oneマーケティングに比重を置いた機能が揃っており、幅広い見込み客の特性に合わせた情報提供を行い集客するようなBtoCビジネスでの利用に適しています。Mobile StudioやSocial Studioといった、一般消費者のアクセス頻度の高いツールの行動を分析しアクションを行う機能が特徴的です。
それぞれの差異を表すと、「Account Engagement」はBtoBビジネス向けで、商談期間の比較的長い取引を行う企業に適しています。「Marketing Cloud」はBtoCビジネス向けで、スマートフォンなどからのアクセスが多く、購買意思決定に複数名が関わらない一般消費者との取引を行う企業に適しています。
Service Cloud
「Service Cloud」は顧客サポートのための機能を有したソリューションです。コールセンターのようなサポート窓口を保有する企業で多く採用されています。
[ケース]という問い合わせ内容を記載するチケットを発行し、顧客からの質問やクレームに対する対応状況や結果を管理することができます。それら問い合わせに対する応答を[ナレッジ]として保存し、同じような問い合わせが来た際に答えに迷わないように企業として知見を溜めていくことで、顧客満足度の向上を実現できます。
既に構築済みの自社のサポートWebに「Service Cloud」を統合して利用することも可能ですが、後述するSalesforceのサイト構築ツールと組み合わせることで、より効率的なサポートが可能となります。
Experience Cloud
「Experience Cloud」はWebサイト構築ソリューションです。単独で運用するものでは無く、その他のソリューションと組み合わせることで効果を発揮します。
「Service Cloud」と連携した顧客サポート窓口での利用事例が多く、前述の[ケース]を起票するフォームを設置したり、チャットボットを設置して自動で応答する仕組みを構築することができます。全世界にオープンなサイトを構築することも、特定の顧客のみのクローズドなサイトを構築することもできます。
その他の使い方として、後述する従業員管理機能と組み合わせることで社員向けのポータルサイトなどにも利用可能です。
Employee Service
「Employee Service」は従業員の業務のサポートや生産性向上のための機能を有したソリューションです。「Service Cloud」をベースとした機能が揃っているため、[ケース]で社内の業務に関する問い合わせを受け付け、[ナレッジ]に回答を蓄積していくことができるほか、社員のトレーニング(オンボーディング)を行う本ソリューション独自の機能が利用可能です。Salesforceプラットフォーム上でそのまま利用することも、「Experience Cloud」でサイトを構築して利用することも可能です。
社内で多くのツールを利用しており問い合わせ対応に時間が掛かっている、離職者が増えつつあり従業員満足度を高めたいなどの課題をお持ちの企業にとって、採用する価値のあるソリューションです。SFA/CRMなどの領域でSalesforceを導入していなくても、「Employee Service」のみで使い始めることができます。
AppExchange
「AppExchange」とは、iPhoneにとってのApple Store、AndroidにとってのGoogle Playのような、アプリケーションをダウンロードできるマーケットプレイスです。
Salesforceの大きな特徴の一つであり、サンブリッジのようなベンダーやユーザー企業が開発した便利機能をダウンロードし、自社のSalesforceにインストールすることで、わざわざ開発を行わなくても欲しい機能を拡張することができます。
サンブリッジでは名刺管理・顧客データ構築・活用の「SmartVisca」を自社で開発し、「AppExchange」にリリースしています。貴社が独自で開発したアプリケーションを「AppExchange」に登録したいといったご要望に対するご支援も可能です。
その他にも、電子契約・署名の「DocuSign」や、PBXの「BIZTEL」など、元々独立して提供されているアプリケーションと同じ仕組みをAPI開発無しで連携できるようにSalesforceアプリケーションとして「AppExchange」にも提供されており、日夜その利用可能なアプリケーションは拡大し続けています。
この他にも多数のソリューションが展開されており、かつ日々できることの範囲は広がってきておりますので、順次サンブリッジのホームページでご紹介していきます。
また、ここまでご紹介してきたSalesforceの価格は製品価格一覧を、AppExchangeの価格はAppExchangeをご確認ください。導入支援の費用、保守サポート費用については個別見積となりますので、こちらまでご連絡ください。
既にあるシステムとSalesforceはどのように使い分けるのか
従来の企業の基幹システムと言えばERP*2であり、企業のIT投資が盛んにおこなわれておりましたが、ERPとは自社内のシーズの利活用に強みを持ったソリューションと言えます。Salesforceはこれまでご紹介してきた領域である、顧客接点の事業活動に強みを持ったソリューションです。
どちらも企業の活動に不可欠な要素であり、それぞれがバラバラな方針で利用されていては、自社の強みを活かし伸ばしていくことも難しくなってきます。そのため、これからのITシステムデザインとしては、各々の強みを活かしながら、一貫した方針の基に連携して利用することが重要です。
サンブリッジの導入事例の中では、見込み客の獲得~受注までをSalesforceで行い、受注データをERPに連携して利用する事例や、「AppExchange」にある会計アプリケーションをSalesforceに取り込んで一体型で利用するもの、SalesforceのPaaS*3としての機能を利用して販売・在庫管理などのシステムを開発して同じく一体型で利用するものなどがあります。
いずれの方式も既存システムを残して連携するか刷新するべきかの判断、データの連携タイミングはバッチかリアルタイムか、マスタや実績データの主従はどちらが主かなど、連携において考慮すべきポイントが数多くあります。
最小の工数で最大の効果を発揮するために、サンブリッジでは既存システムとの連携を前提としたコンサルティングを行っておりますので、是非ともご相談ください。
Salesforceをどのように使いこなしていくのか
Salesforceは「Trailhead」というオンライン学習プログラムが用意されており、この中のコンテンツを通して学習を進めていきます。この学習プログラムの中で、自分だけのSalesforce環境を作成することが可能なため、カスタマイズや自動化の処理など、思いついた改良を自身だけの環境で試しながら学習していくことができます。
また、Salesforceは世界中にエンジニアやコンサルタントが存在しており、Salesforceの開発・活用方法について「Trailblazer Community」というQAサイト上で活発なやり取りが行われております。自社で構築する場合も、ベンダーに構築してもらう場合でも、わからないことがあればまずこのサイトで調べることで疑問を解消できます。
スキル到達度を測定する仕組みとして、Salesforce認定資格というものがあります。中でも多くのSalesforceユーザー・管理者がまず取り組むものとして、Salesforce認定アドミニストレーターという資格があり、こちらの合格体験記に学習方法などを記載しておりますので、ご参考ください。
最後に
Salesforceの各製品の概略や、既存システムとの差異などについてご説明いたしましたが、少しイメージを掴んでいただけたでしょうか。
AIの普及により、今後益々ITシステムの利用範囲が拡大していくものと思われます。日夜変わり続けるIT技術に少しでも抵抗感を無くし、ご自身の仕事のあり方を変えるためにどんどん新しく使える技術を取り入れてみましょう。
本記事がみなさまの助けになれば幸いです。
脚注
*1:SaaS Software as a Service サービスの形で提供されるソフトウェア。業務が実行可能なアプリケーションがWeb上に提供されている
*2:ERP Enterprise Resource Planning 統合基幹業務システム。販売・調達・生産・財務会計・管理会計・人事などが1つのパッケージとして提供されている
*3:PaaS Platform as a Service サービスの形で提供されるプラットフォーム。エンジニアが開発できる環境がWeb上に提供されている
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