「『とりあえず〇〇さんに聞いて』ってまたそれか…。あの人、いっつも忙しそうで聞きにくいんだよなぁ」
「企画書出せって言われたけど、書き方よくわからないからとりあえず先輩のテンプレートコピペでいっか」
「資料見てくださいって依頼きたけど、資料の誤字脱字や体裁の方が気になって中身のレビューに入れないよ…」
オフィスからこのような愚痴にも取れる発言が聞こえてきたり、あなた自身も感じたりすることはないでしょうか?
事実、株式会社PHONE APPLIによる「職場の相談環境に関する実態調査」によると、大手企業に所属する従業員のうち、約9割が業務の相談先がわからず不安やストレスを感じており、8割以上の人が平均して15分以上相談する「人探し」に時間を費やしている調査結果もあります。
これらは企業の成長を妨げている「見えないコスト」であり、人材難で業務効率化が求められる現代の企業において注目すべき重要な課題ではないでしょうか。
本記事では、多くの企業で常態化しがちな「見えないコスト」について、最新の事例や弊社の実績を交えAIを活用してどのように解決し成長に転換していくべきなのかをご紹介します。
多くの企業に共通する「見えないコスト」を引き起こす2つの課題
これまで数多くのお客様を支援してきた弊社から見て、共通するご相談内容としては以下の2つの課題が挙げられます。
課題①:社内ナレッジの分散・属人化による検索時間の増大
業務に必要な情報を探そうにも、ファイルサーバーやチャットツール、各種クラウドサービスに情報が点在。どこに何があるか分からず、気づけば数十分が経過しているケースです。 担当者に聞こうにも、「忙しそうだから…」と質問をためらってしまい、さらに時間が浪費されることも少なくありません。この「探し物」に費やされる時間は、従業員の集中力を削ぎ、業務のスムーズな進行を妨げる大きなストレス要因となります。
【よくある相談内容の一例】
- マニュアルや規定が更新されておらず放置状態
- 「〇〇(最終版)」「〇〇(最新版)ver2」などのファイル命名が規則化されてないことにより、どの情報が最新で、どの情報が正しいのかが分からない
- 情報が整理されておらず「とりあえず〇〇さん」が横行し、社歴が長い人に頼りがち
- 人依存により退職者と共に社内のナレッジが消えてしまう
課題②:未ルール化によるドキュメントチェック業務の負担と品質のばらつき
業務の中で作成する資料のデザイン統一性(トンマナ)の確認や、誤字脱字のチェックなど、本来社内で統一したルールを設定し、作業者本人の気づきでカバーできる業務が整備されていないことで負担になっているケースです。 加えて、ルールがないことにより作成者個人に品質が依存し品質のばらつき、つまり品質の属人化が生じてしまっているケースもよく見受けられます。
ドキュメントのチェックの見落としは実際に起こしてしまった際に企業の信用を大きく損ねるリスクをはらんでいます。チェックを行う上長にとっても、そういった事態を起こさないように神経を使う負担の大きい業務であると言えます。
【よくある相談内容の一例】
- 「〇〇株式会社」と「株式会社〇〇」の記載ミス等の誤字脱字をお客様から指摘されてしまった
- 合計金額と内訳の金額が合っていない、見積書の桁を1つ間違えるなどで資料送付後不要なQA対応が発生してしまう
- メンバーが作成した資料において、中身のレビューだけではなく誤字脱字・体裁のレビューが多く発生し、レビューする上長が1日中レビュー作業に追われている
課題がもたらす『見えないコスト』の正体
先ほど挙げた「社内ナレッジの分散・属人化による検索時間の増大」「未ルール化によるドキュメントチェック業務の負担と品質のばらつき」という2つの課題は、一見すると「非効率」ということだけで現場レベルの課題と捉えられがちです。
しかし、これらの課題は「見えないコスト」を引き起こしているのです。下記2つの明確なコストがかかっており、経営層も無視できない課題なのではないでしょうか。
人件費という直接的なコスト
例えば、社員100人の会社で30人が1日平均40分を「探し物」に費やしていたとします。 40分 × 30人 = 1200分(20時間) これは1日8時間の労働換算で、毎日2.5人分の人件費が「探し物」という何も生み出さない活動に消えている計算になります。社会保険料なども含めれば、年間での損失は莫大な額に上ります。
機会損失という間接的なコスト
品質で差別化が難しい現代において、顧客は資料の細部から企業の姿勢を判断します。誤字脱字やデザインの不統一は、それだけで「仕事が雑な会社」という印象を与えかねません。こうしたドキュメント品質低下が、顧客の信頼を損ね、大きな売上機会の損失につながるのです。
これら企業の体力を静かに奪っていく「見えないコスト」こそが、企業の成長を阻む真の要因であり、「見えないコスト」は早急に解決すべき課題であると考えます。
「見えないコスト」をAIの力で解決!解決方法のご紹介
こうした「見えないコスト」を解決していくための一手段として、昨今成長が著しいAIの力を最大限活用していくことが重要です。
弊社が取り扱っているSalesforceのAI機能を活用したソリューションでどのように解決できるかを抜粋しご紹介できればと思います。
社内ナレッジの一元化(Data Cloud)
社内に点在するあらゆる情報やナレッジを一元管理するところから始めてみましょう。各地に散らばる情報をSalesforceに集約する方法はもちろん、Salesforce社が提供している製品としてData Cloudが存在します。Data Cloudを活用することでSalesforceにあるデータはもちろんSalesforce以外の外部にあるデータも一元管理しデータ統合まで実現することが可能です。
リワテク記事:Salesforceでのデータ活用に特化したプラットフォーム「Data Cloud」とは?
検索システムの構築(Agentforce・AI商談Search・AWS生成AIヘルプデスク)
一元化ができればAIを活用して「検索システム」を構築していくことができます。Salesforce社が提供するAIエージェント「Agentforce」を活用しAIを活用した検索の仕組みを構築することが可能です。
弊社ではAgentforceのサービス提供はもちろん、より簡易的な検索システムとして「AI商談Search」という商談の検索を可能にするパッケージを開発しお客様に提供しております。
本パッケージでは商談オブジェクトが対象となっていますが、他のオブジェクトも対象とするカスタマイズを加えることが可能です。
リワテク記事:AIを使って簡単に類似商談を検索!「AI 商談 Search」パッケージのご紹介
また、サンブリッジではAWS主催の生成AIコンテストへの参加の際に、Slackを活用した社内AIチャットボットを開発し「見えないコスト」の削減に成功しました。
AWSブログ:株式会社サンブリッジ様の AWS 生成 AI 事例「Slack と連携したシームレスな生成 AI チャットボットを作成し、累計 1,750 分の業務時間削減に成功」のご紹介
「自動レビューAI」の導入(Agentforce)
別の観点で資料をAIがレビューする仕組みもAgentforceを用いて構築することが可能です。弊社では実際の提案書の中で下記のようなユースケースをご紹介しています。

またAgentforceの中の1つのパッケージとして「Agentforceセールスコーチング」という営業担当者の専属AIコーチの役割を持ったAIエージェントも2025年10月から日本で提供を開始しており、弊社でも取り扱いと導入支援が可能です。
Salesforce、営業担当者の専属AIコーチ「Agentforce セールスコーチング」を10月より日本で提供開始
こういった最新のAI機能も活用することで企業内の「見えないコスト」を削減できるソリューションが数多く存在しています。いち早く取り入れることにより企業の成長に転換していくことが可能なのではないでしょうか。
まとめ
本記事では、企業の成長を阻む「見えないコスト」について、具体例も交えながら企業として解決すべき課題であることを解説しました。その中で、解決策の一例として、AIを取り入れたソリューションもご紹介しました。
弊社サンブリッジではこれまで数多くのお客様をご支援してきた実績から、現状の課題を見つめ直すところから一緒に伴走し、最適なソリューションのご提案を数多く実施しています。本記事でも紹介したAIの取り組みも数多く実施しているため、少しでも今回ご紹介した課題を感じているなという方は、まずはお気軽にご相談ください!
提案準備を速く、スマートに。
AI商談Searchサービス紹介リーフレット
AI商談Searchは、Salesforceで顧客課題・規模・業種・提案内容など様々な検索基準をAIと掛け合わせ、類似商談を素早く検索。
営業担当者ごとの提案スキルに差がある場合の対策としてもおすすめです。