サンフランシスコで開催中のDreamforce2日目のハイライトは「Agentforce」が実現するAIエージェントプラットフォームの進化に焦点が当てられ、特に営業(Sales)とサービス(Service)のプロセスを根底から変革する具体的なソリューションが多数紹介されました。
Agentforce Keynote:
Agentforceのキーノートでは、次世代のAgentforce 360を中心とした最新のアップデート情報をはじめ、AIエージェントが人間のパートナーとして、あらゆる業務を効率化し、収益を最大化する未来が提示されました。

Agentforce Builderの進化:AIエージェントを「設計」する時代へ
Agentforceは、この1年で急成長を遂げ、現在では12,000社のユーザーを持つSalesforceeの主力製品となっています。しかし、AIエージェントを実用化するには「プロンプト管理」「観測可能性(Observability)」「チューニング」、そして「質の高いデータ」が不可欠です。
この課題を解決するための新機能として「Agentforce Builder」 が発表されました。

Agentforce Builderの主な特徴としては以下のとおりです。
- 自然言語とルールベースの融合: これまでのAIの「予測不可能性」を取り払い、自然言語による流動的な対話と、企業が求める規則ベースの制御を組み合わせた新しいエージェント構築インターフェースとなります。
- ビジュアルとスクリプト: 管理者やビジネスユーザー向けには直感的なキャンバス体験、開発者向けにはスクリプトビューが提供され、どちらの編集内容も常に同期します。
- オーケストレーション: 複数のエージェントを サブエージェント として連携させ、より複雑なタスクを分担・実行させる オーケストレーション機能 が登場。これにより、エージェントの適用範囲が飛躍的に拡大します。
また、リッチな文書(製品マニュアル、画像、表など)をAIが解析・インデックス化し、エージェントがより正確で豊かな回答を可能にする データと文脈の管理機能 が強化されたとのことです。
GridとObservability:AIエージェントを「評価・管理・改善」する
AIエージェントを大規模に運用する上で重要なのが、そのパフォーマンス管理です。そのための機能としてAgentforce ObservabilityとGridによるパフォーマンス評価・管理・改善の機能が紹介されました。

- Agentforce Observability: 全てのエージェントのパフォーマンスをセッションごとのスコアリングと集計で可視化します。これにより、問題のある会話を即座に特定し、根本原因を分析してチューニング(改善)を行うことが可能になります。
- Gridによるエージェント管理: スプレッドシートのようなインターフェースでエージェントプロセスを管理する「Grid」が登場。AIネイティブなワークフローを簡単に設計・プロトタイピングでき、ライブデモでは参加者全員にカスタムコードを生成してテキストメッセージを送信するデモンストレーションが行われ、その柔軟性と即時性が強調されました。
Agentic Service Keynote: AIが変革するカスタマーサービスの未来
サービスキーノートでは、AIがカスタマーサービスを変革し、顧客の期待や製品との関わり方を変えている未来について語られました。

Agentforceの核となるのは、24時間365日稼働するAIエージェントであり、コンタクトセンターからフィールドサービスまで、あらゆるチャネルで顧客の質問対応や問題解決を可能にし、サービス担当者(人間)がより価値の高い業務に集中できる環境が提供されるとのことです。
サービスリーダーのための「コマンドセンター」:リアルタイム戦略を実現
サービス部門のリーダー向けには、「コマンドセンター (Command Center for Service)」が発表されました。これは、サービスリーダーが「データに基づいて、直感ではなくリードする」ことを可能にする統合管理ダッシュボードです。

- リアルタイムの可視化: すべての顧客インタラクション(人間またはAIエージェントによるもの)を一箇所で監視できます。
- カスタマーシグナルインテリジェンス: メール、チャット、電話などのチャネルから発せられる顧客のシグナルをリアルタイムで分析し、感情分析やトレンドの把握を可能にします。これにより、サービスリーダーは事後対応的(リアクティブ)ではなく、リアルタイムな戦略家となることができます。
実際にデモでは、ある新製品に関するネガティブな感情の急増をシグナルとして捉え、即座に既知の解決策を適用できる様子が提示されました。
Agentforce Voice:音声AIによるシームレスな顧客体験
キーノートで紹介された「Agentforce Voice」は、音声AIによるリアルタイムの顧客対応を実現します。
- ステップバイステップのガイド: AIが製品の問題解決手順を顧客に音声でリアルタイムにガイドします。
- 人間へのシームレスな転送: AIが対応できない複雑なケースや、顧客が人間による共感的な対応を求めた場合、会話のコンテキストを完全に維持したまま人間のサービス担当者にシームレスに転送されます。
担当者は、AIアシスタントから提供されるフルコンテキストと重要な情報を活用し、すぐに介入して問題解決に当たることができます。このAIと人間の協働こそが、Agentforceの最大の強みです。
AIは人間の能力を「増幅 (Amplify)」する存在
サービスキーノートで示されたのは、AIが人間の仕事を奪うのではなく、人間の能力を増幅 (Amplify)し、サービス部門全体の生産性と顧客満足度を飛躍的に向上させる未来です。
セルフサービス機能の拡充とAIによるルーティン処理が、サービス担当者を難易度が高いケースへの対応や感情的な対応など、人間でなければ提供できない価値に集中することを可能とし、これがSalesforceが描く、新しいカスタマーサービスの形であるとまとめられました。
Sales Keynote: セールスの未来を切り開く自律型AIとパートナーエコシステムの進化
Salesキーノートのテーマは「Agentforce – Humans with Agents drive customer success together」が掲げられ、単なる生成AIの活用に留まらず、AIが自律的にタスクを遂行する「AIエージェント(Agentforce)」の時代、すなわち「Agentic Enterprise」の到来を告げる内容となりました。
セールス・プロセスの劇的変革
Agentforceは、営業担当者の生産性を大幅に向上させ、「探す仕事」から「売る仕事」へのシフトを可能にします。そのための以下の機能が紹介されました。

- 高度なプロスペクティング(見込み客発掘)
- ZoomInfo、Sixth Sense、Moody’sなどの外部データソースすなわちZero Copy Partnerからの連携により通話記録、Eメール、ウェブデータなど様々な情報を集約します。
- これらの散在するデータから、「最もコンタクトすべき高価値な見込み客」を特定し、優先順位を付けてリスト化します。
- 特に、取引先企業の資金調達、採用情報、過去の商談履歴などから、「今がアプローチの完璧なタイミングだ」というシグナルを抽出する機能は画期的です。
- このプロスペクティング機能は2月にリリース予定と発表されています。
- 自動化される営業活動
- Agentforceは、発見したインサイトに基づき、ターゲットに合わせたパーソナライズされたEメールを自動作成します。
- 商談の会話の要約と重要ポイントの抽出、商談の自動更新、見積作成の自動化など、営業担当者が最も嫌う「煩雑な管理業務」を裏側で自律的に処理します。
- Slack連携によるチームプレイの強化
- Agentforceが発見したインサイトや優先リストはSlack上でも共有され、セールス、マーケティング、オペレーションのチーム全員が同じ情報に基づき協業できます。
パートナーエコシステムを強化する「Partner Cloud」
キーノートの最後にはパートナーとの連携を強化し、「共に成長するロケットシップ」に変える新ソリューション「Partner Cloud」が発表されました。これは、パートナー管理プラットフォーム(PRM)の概念をAIによって再定義するものです。
- Agentforceの機能拡張
- パートナーにもAgentforceの機能が拡張され、「パートナー向けAIガイド」が、製品情報、価格、ディール登録の方法などの質問に迅速かつ正確に回答します。
- これにより、チャネルマネージャーへの問い合わせを削減し、パートナーの自己解決能力を飛躍的に向上させます。
- パイプラインとインセンティブ管理の統一
- パートナーのパイプライン全体を一元的に可視化し、AIが優先すべき案件を分析。
- ロイヤリティ管理機能などが強化され、パートナーの貢献度に応じたインセンティブ付与を強化し、マインドシェアの向上を図ります。
まとめ

Day2のキーノートで発表されたAgentforceの新機能とPartner Cloudは、まさにDay 1のキーノートと掲げられた「人間とAIエージェントが協働する新しい働き方(Agentic Enterprise)」の扉を開くものであるという印象を持ちました。
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