そもそも、Data Cloudとは?
急速に変化するデジタル社会の中、企業が成功するためには膨大なデータをいかに迅速かつ効果的に活用できるかが鍵となっています。そんな時代に、Salesforceが提供する「Data Cloud」は、顧客データの活用を促進するプラットフォームとして注目を集めています。
主な機能は次の3つです。
- データ取得: 様々なソースから顧客データを自動で取り込みます
- データ統合: 取り込んだデータを整理し、一貫性のある形に統合します
- データ活用: 統合データを基に、マーケティングや顧客対応を最適化します
パンデミックやデジタルシフトの加速により、顧客との非対面コミュニケーションが当たり前になった今、Data Cloudは企業にとって重要な武器となり、変化する消費者ニーズに柔軟に対応するための強力なパートナーになりえます。
Data Cloudの機能①:データ取得
基幹システム/顧客管理システム/ECサイト/マーケティングオートメーションツールなど、多様なプラットフォームから膨大なデータを扱うことが昨今のビジネス環境では求められています。Data Cloudは、SalesforceのCRM(Sales CloudやService Cloudなど)だけでなく、Amazon S3やGoogle Cloud Storageといった複数のデータプラットフォームからもスムーズにデータを取得できる点で、大きなアドバンテージを持っています。
これまでなら、異なるデータソースごとにSQLやETLの複雑な開発が必要でしたが、Data CloudではすべてGUIベースの直感的な操作で設定を完了できるため、リソースを大幅に節約しながら、ビジネススピードを加速させることが可能です。
Data Cloudの機能②:データ統合
バラバラだったデータが一つに集まることで、ビジネスの全貌が明確になります。Data Cloudの「データ統合」機能により、これまで分散して管理されていたシステムのデータを一括管理できるようになりました。
たとえば、グループ会社間で個別に管理されていた顧客情報や、顧客の興味関心に関するデータをまとめることで、顧客に関するあらゆる情報を一つのプロファイルで確認することが可能になります。これにより、データがもたらす洞察が一段と深まり、よりパーソナライズされた対応を行うことができます。
Data Cloudの機能③:データ活用
統合されたデータは単なる情報の集まりはなく、ビジネスを成功へ導くための鍵となります。Data Cloudは、統合されたデータを活用してセグメンテーションや詳細な分析を行い、自動化されたマーケティングプロセスを推進します。
たとえば、営業が顧客にアプローチする際、過去のカスタマーサポートでのやり取りやECサイトでの購入履歴、さらには販促メールへの反応など、顧客ごとにカスタマイズされた情報を瞬時に活用することが可能です。これにより、顧客一人ひとりにパーソナライズされた体験を提供し、より深いエンゲージメントを築くことができます。
Data Cloudのユースケース
Data Cloudの機能についてはご理解いただけましたでしょうか?
続いて、実際導入後に何ができるのか、イメージを持っていただくためにData Cloudの具体的な導入事例をご紹介します!
ユースケース例①:組織統合
背景
- グループ企業ごとSalesforce組織を利用しており、複数組織が存在
Data Cloudの導入効果
- グループ企業間で顧客情報や取引情報が連携され、横断的なデータ可視化が実現
→今までより顧客に寄り添ったアプローチ方針の策定や、ホワイトスペース分析への活用が可能になった
ユースケース例②:リアル/デジタル両接点における最適化された顧客体験の提供
背景
- Service Cloudで顧客管理し、面談にデータを利用(リアル接点)
- Marketing Cloudで広告連携・メール配信を実施し、Web行動を取得(デジタル接点)
Data Cloudの導入効果
- リアル/デジタル両接点においてシームレスに対応することで一人ひとりに最適な顧客体験を提供し、CVRを向上
- カスタマージャーニーの全工程に対して適切な自動化処理を設定することで、担当者の対応工数を削減
Data Cloudの展望
2024年9月に開催されたSalesforceの年次カンファレンス「Dreamforce」において、Data Cloudがリリースを予定する新機能が発表されました。その中からいくつかピックアップしお伝えします。
コネクタとゼロコピーパートナーネットワークの拡充
Data Cloudに搭載されるコネクタ数は200を超え(MuleSoftを含む)、より多くのシステムのデータを簡単に利用することが可能になります。
また、ゼロコピーパートナーネットワーク(ゼロコピー可能なシステム群)も拡充され、より多くのデータプラットフォームとゼロコピー統合が可能になります。
※参考:Salesforce Zero Copy統合で、ソースを複製せずに、企業がデータの接続と活用を実現する方法
AIプロンプトのカスタマイズと拡張
ベクトルデータベースにより、音声や動画データを解析できるようになります。これまでアクセスできなかったウェビナーや通話履歴からインサイトを得て、より効果的な顧客対応を提供を実現します。
また、ベクトル検索とキーワード検索を併用したハイブリッド検索も提供されます。
迅速な意思決定とパーソナライゼーションを実現するEinstein Personalization
リアルタイムの顧客データを活用して、ネクストベストアクションの提供やパーソナライズされたコンテンツを自動的に展開するマーケティング施策の実施が可能になります。
たとえば、これまでサイトを訪れたことがない見込み客が銀行のビジネスローンのWebページにアクセスした場合、ホームのページに戻るまでに、パーソナライズされたコンテンツを表示できるようになります。
その見込み客が提案されたコンテンツに関心を持ち、メールアドレスや氏名を入力すると、顧客プロファイルがリアルタイムで更新され、銀行の営業担当が見込み客へビジネスローンの検索に役立つホワイトペーパーを送信できるようになります。
Data Cloud One:1つのData Cloud組織で複数のCRM組織と双方向同期
これまで、Salesforce CRMにおいてData Cloudの統合データを存分に活用するためには、Data Cloudが直接搭載された組織を利用するか、コード開発を必要としていました。
新しくリリースされるData Cloud Oneは、GUI操作によって簡単に設定ができ、3つのSalesforce CRM組織を無料で接続することができます。組織統合をより低コストで実現し、様々な企業でData Cloudの機能を最大限に活用できます。
出典:Data Cloud One Is Now Generally Available
終わりに
今回はData Cloudの概要と、最新情報をお伝えしました。
膨大かつ多様ななデータを保持・管理していくのが当たり前になった現代で、データ活用に重きをおいたData Cloudの価値は今後ますます高まるでしょう。Data Cloudを最大限に活用するためには、Data CloudとCRM/MAを組み合わせた活用のゴールを定めることが重要です。
サンブリッジでは、様々なデータを活用したCRM/MAの導入・活用支援に加え、業務に応じたシステム連携開発も手がけております。気になる方は是非お気軽にお問い合わせください!
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