マーケティングオートメーションにおける品質とは?(前編)

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マーケティングオートメーションにおける品質とは?(前編)

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マーケティングオートメーション運用における事故を未然に防ぐにはどのような視点を持つべきか?

1.マーケティングオートメーション導入済み企業の多くが直面する課題

最近では「MA」と聞くと「マーケティングオートメーション」と解釈することが当たり前の様になって来ましたが、これはマーケティングオートメーションの認知が拡大していると同時に利用されている企業数が拡大していることを表していると考えます。本稿でもマーケティングオートメーションをMAと表記して解説を進めます。
少々古いデータになりますが、矢野経済研究所が2015年12月14日に発表した「DMP(データマネジメントプラットフォーム)サービス市場/MA(マーケティングオートメーション)サービス市場に関する調査結果 2015(注1)」 では、2014年のMAの市場規模は売上高ベースで168億円、2015年では前年比31%増の220億円程度になると見込んでいます。さらに企業におけるMAの導入は進み2020年には420億円規模に達すると予測しています(図表1)。

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出所:矢野経済研究所
「DMP(データマネジメントプラットフォーム)サービス市場/MA(マーケティングオートメーション)サービス市場に関する調査結果 2015」

今後も市場拡大が期待されるMAですが、その一方で、既にMAを導入済みで運用を行なっている多くの企業が直面する課題が有ります。それは「MAの品質」です。そこで、今回は2回に渡ってMAにおける品質について解説をしたいと思います。

2.MAにおける品質とは?

MA導入済みの多くの企業が直面する「MAの品質」の課題ですが、そもそもMAの品質とは何でしょうか?まず一般論としての品質の定義を確認したいと思います。様々な国際規準を定めるISOでは品質を「本来備わっている特性の集まりが要求事項を満たす程度 」と定義しています。少々分かりにくい表現ですので、当社なりの解釈を加えたいと思います。会話や文書の中で品質を用いるとき「品質が良い・悪い」という表現をするのが一般的と思います。つまり、品質には「良い・悪いという程度」がある事になります。また良い・悪いの程度があると言うことは、程度を判断する「規準」が必要になります。これを踏まえると、品質とは「要求事項を満たす判断規準とその達成程度(注2)」このように解釈できると思います。
では、MAにおける要求事項にはどのような事項が有るでしょうか?当社がこれまでご支援をしたMA導入、運用においては以下のような要求事項がありました。

(1) ビジネス視点での要求事項

例:MAを基軸としたデジタルマーケティング業務フローの整備、マーケティングと営業活動の生産性向上、複数チャネルリードの一元管理、他。

(2) マーケティング視点での要求事項

例:属性・行動セグメンテーションを活用したマーケティング施策の自動化、HOTリード数の最大化、KPIの可視化(BIツールを併用)、他

(3) 運用視点での要求事項

例:インプリパートナーに頼らない自社での自立運用の実現、運用中の事故防止と事故発生時の対応マニュアル化、他

上記は当社が経験した案件における要求事項の一部になりますが、多くの案件で共通する要求事項でもあります。今回はこの中で「運用中の事故防止」に着目し、解説を進めます。

3.マーケティングオートメーション運用で発生する事故とは

「事故」と聞くと、当然の様にネガティブな事象をイメージすると思います。ここで一般論としての事故の定義を確認したいと思います。大辞林では事故を「思いがけず生じた悪い出来事。物事の正常な活動・進行を妨げる不慮の事態 (注3)」と定義しています。「思いがけず生じた悪い出来事」というと皆様もイメージが湧きやすいのではないでしょうか?では、MAにおける思いがけず生じた悪い出来事にはどのような事象が有るでしょうか?当社がこれまでご支援をしたお客様、及び当社自身でのMA運用においては以下の様な事象が発生しました。

(1) メールに関わる思いがけず生じた悪い出来事

例:関係者向けのダミーメールをリードに配信してしまった、件名と本文が一致していないメールを配信してしまった、1人のリードに同じタイミングで複数のメールを配信してしまった、AセグメントのリードにBセグメント向けのメールを配信してしまった、他。

(2) プログラムに関わる思いがけず生じた悪い出来事

例:リードの抽出条件を誤ってしまいAプログラムに入るべきリードをBプログラムへ入れてしまった、データ更新条件を誤ってしまいリード・ステータスに不整合が発生してしまった、MAと他システムとのデータ連携設定を誤ってしまいマスターとなるデータを上書きしてしまった、他。

(3) スコアリングに関わる思いがけず生じた悪い出来事

例:条件を満たしたリードに1回だけつけるスコアを日時バッチで毎日スコアを付与してしまった、スコアが付与されるべき行動に対しスコアが付与されず本来はHOTになるべきリードがHOTにならなかった、他。

上記は当社が経験した案件、及び自社運用における事故の一部になりますが、皆様の中でも同様な事故を経験されている方は少なくは無いと思います。

4.マーケティングオートメーションにおける品質の重要性

ここまでの説明を整理すると、MAにおける高い品質とは「事故が無い運用が実現されている状態」と考えます。ではその逆である低い品質、つまり事故が発生する状態では企業としてどのようなデメリットを被るのでしょうか?例えばメールに関わる事故が発生すると企業の信頼性を下げてしまう可能性があります。皆様も「【お詫び】○○~」と言った誤配信に関わるメールを受信した経験はあるかと思いますが、このようなメールを受け取った時、多かれ少なかれ、その企業に対して不信や不安を感じられると思います。また、プログラムに関わる事故が発生するとリードデータの信頼性を下げてしまう可能性があります。信頼性の低いデータを用いる事で誤配信が発生してしまうなど二次的な事故発生にも繋がります。

今回はMAにおける品質の考え方と、低い品質で事故が発生するとどのようなデメリットがあるかについて解説しました。次回では、MAにおいて品質を高める為の視点について、第三者検証・品質保証のプロである株式会社SHIFT様に解説をして頂きます。

(注1)http://www.yano.co.jp/press/pdf/1481.pdf
(注2)https://www.juse.or.jp/tqm/quality/04.html
(注3)http://dictionary.goo.ne.jp/jn/95613/meaning/m0u/

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