ISV AI Session (Day3 10:30am-12:00pm)
Dreamforceに参加した日本/韓国のISVパートナーリーダーおよび担当者とISVパートナー候補を対象にした本セッションでは下記のアジェンダに基づき進行されました。
- エンタープライズ・アプリケーション業界におけるAIとデータの技術動向
- 製品ロードマップ
- グローバルISVの現状
- 自社製品をAIとデータに対応させるための第一歩を踏み出す方法
- パートナー事例、デモンストレーション
- Q&A
現代のビジネスにおいて、企業はより少ない時間でより多くの成果を上げることが求められており、同時にコストの削減も求められています。
統合されたデータのソリューションを使うことで、技術に使われるリソースを67%節約できると言われており、79%の企業がAIを活用してコストの削減に成功していることに加え、反復作業の自動化により77%の企業が1週間に2時間ほどの時間削減に成功したと言われています。
これらはより良いデータがあることで実現が可能になるとのことです。
今日、大企業の顧客はデータを整理し、消費することに苦労していますが、データが様々なフォーマットで存在することや、データの散在により、ビジネスの効果を創出することが妨げられているため、データを1つにまとめ、適切なタイミングで適切な形で取得することが必要になっています。
この適切なタイミングで適切な形のデータを利用することにより、初めてAIの活用が可能になり、データ活用の最適化を実現できるのがData Cloudであると語られました。
Data Cloudはあらゆる構造化/非構造化されたデータソースからデータの取り込みが可能であり、取り込まれたデータはマッピング・統合し、適切な形にすることができるため、データはあらゆる部門のメンバーに必要な形でセグメントすることが可能になります。
データ基盤が構築されると、その上にAgentforceを載せ活用することができます。AgentforceはSalesforceの新しいプラットフォームで、独立したAIエージェントをデプロイ・管理・活用するができ、人とAIが連携して業務を効率化もしくは効果的なものにするものです。これは顧客の情報が360°で網羅されているからこそ、AIも効果の創出が可能になるため、顧客データだけでなく、関連するデータ(例:購買データ、行動データ等)も一緒に取り込むことが必要になります。これらを取り込むことで顧客の情報に基づいたアクションをAIがとることができるようになります。
エージェントが作業をしていくにあたり5つの属性が存在します。
- 何をすべきか
- どのデータにエージェントがアクセスできるのか
- どのようなアクションを行えるのか
- 何をしてはいけないのか
- どのチャネルで表示されるのか
これらの属性の考慮はエージェント構築における重要なポイントになります。
エージェント構築の際にはトピックを定め、トピックに紐づく指示を与え、アクションを設定する手順で行います。
ISVパートナーにとっては、特定領域の専門家と顧客のデータが交差するところに機会が存在し、AIを利用することで機能の自動化ができるだけでなく、会話形式で動的なレコメンデーションなどの機能を提供することができるようになります。
またAIに対して指示をすることも会話形式で行うことができるようになります。これらは大量のデータをリアルタイムで取り込むからこそリアルタイムでの会話が可能になることを意味します。
セッション内では、AIを活用して構築されたISV製品のユースケースも紹介されました。
LiveRamp
- Data Cloudからセグメンテーションを取り出し、各クライアントに展開
Docusign
- Data Cloud / AIどちらも活用
- 文章作成および電子署名を提供
- pdfの契約を読み込み、要約をするエージェントを構築
- これまではすぐに把握できなかった情報の把握速度向上に繋がった
ASYMBL
- Data Cloud / AIどちらも利用
- 人事採用Platform
- 様々な人材データをデータベース(LinkedIn,indeed等)に取り込み、適切な人材と適切な会社のマッチングを実施
構築においてはAI/Data Cloudを個別に使うことも、両方を組み合わせることも可能であるとされています。
今後のロードマップとして、Data CloudやEinsteinは日本語でも提供されているが、タイ語やマレーシア語など更に多くの言語に対応していくことが表明されました。
また、新機能は毎月追加されていますが、以下が大きなものとして予定されています。
- Einstein Studio:Data Cloudの中で使用可能、LLMをコネクト可能
- Custom Action:お客様とのやり取りがよりリッチに
- Hybrid Search:25年春にリリース予定、複数の言語で検索が可能
- Topics:25年春にリリース予定、エージェントの機能がより進化
既にAIはPBO (Partner Business Org)で利用可能になっているとのことで、スクラッチの組織用のData Cloudを利用されたい場合はP-Com経由でリクエストする必要があるとのことです。
セッションの最後にはテラスカイ社のデモも行われました。
Marketing &Commerce Keynote(11:00-11:50)
「顧客との永続的な関係を築くこと」をテーマとした本セッションでは、どのようにAIを利用したら良いのか?既存のシステムとどのように組み合わせれば良いのか?
どのように顧客体験を高めていくか?というポイントにおいて語られました。
誰もが感じるのはお客様を次のステージに上げていくことと、そのためにあらゆるチャネルを活用することになりますが、これまでSalesforceは何年もどのようにデータを統合するか検討してきており、顧客の理解をし、効果的な施策を実施することを検討してきたと語りました。
Commerce Cloudは最も良いレコメンドを自動で提示し、Marketing Cloudと共にお客様のプロファイルによってパーソナライズした顧客体験を提供します。
AI機能を活用できるMarketing Cloud Advanced Editionは11月にGAが予定されています。
ヘルスケア業界のFisher &Paykel社の事例では、顧客と継続したコミュニケーションの重要性について触れ、顧客のことを理解するために、システムごとにバラバラに存在していたデータをSalesforceプラットフォームに統合しました。
さらにDataCloudとAgentforceを採用することで、Marketing Cloud & Commerce Cloudを活用によるカスタマージャーニーを改善し、クロスセル&アップセルが出来るようになったと紹介されました。特にAgentforceによって業務効率化を実現したことが強調されていました。
同社ではSalesforce製品により、サービス・販売など全ての情報を集約することで、カスタマージャーニーを一貫して管理することが重要であり、サービスチームが納品に関わることでアップセル/クロスセルにも繋げられると説明しました。
またMarketing Cloudのジャーニービルダーを常時アップデートし、Sales Cloud・Service Clotdなどとの連携も行うことも可能である点が紹介されました。
特にジャーニービルダーを改善し、よりパーソナライズされたアクションを実施するにはカスタムコードは不要で設定が可能だとのことです。
Saleforceは、Commerce Cloudは、各国の言語に対応するための、統合されたサイトを目指しており、SEOフレンドリーなサイトにより、効果を拡大していくとのことです。
プロダクトマーケティング担当の講演では、顧客と繋がり、パーソナライズされた体験を提供することが重要であり、それを実現するにはData Cloudが重要であると述べました。
DataCloudはゼロコピーでデータ集約が可能であり、様々なデータをハーモナイズできることが強みであり、他の業界ではなかなかできないことだが、Salesforceはメタデータであるため実現できている。メタデータとは生データであり、それによりAI活用が実現すると説明しました。
自動車業界のデモでは、自然言語によるプロンプトでエージェントに確認、最適なセグメントがエージェントにより作成されSQLを書くことができなくとも容易にリストを作成する流れが紹介されました。マーケティング担当者とエージェントにより数分でキャンペーンが作成される流れも印象的でした。
Commerce Cloudではコマース向けのエージェントがBtoCの顧客に対する支援を行い、実店舗での接客と同様な体験を提供することができるとのことです。
顧客から何か相談があったとして、Data Cloudで購買履歴などの商品情報を集約した上で回答ができるのは大きな強みであると思われます。
先ほどの自動車業界のでもCommerce Cloudでも行われ、エージェントは顧客との打ち合わせを設定し、顧客と販売できるような状況になると販売担当のエージェントに切り替えることもできるようです。
Agentforceの素晴らしいところは、より深くパーソナライゼーションができることでありSMSでもエージェントが顧客の対応を行えるのは大きなメリットです。
バックグラウンドではSMS配信履歴など全てData Cloudで集約できており、一般的なチャットボットではなく、エージェントが顧客のガイドラインを把握し、Sale Agentによってメール送信ができる点も興味深いポイントでした。
最後にData Cloudがあることで、Marketing CloudとCommerce Cloudがより活用できるようになり、Salesforceのみが全ての部門、カスタマージャーニーを繋ぐことができるとまとめてセッションは終了しました。
Wrap Up Session(15:30-17:30)
ラップアップセッションではSalesforce Towerに日本のパートナーを集めてセールスフォース・ジャパンより今回のDreamforceの主要トピックについての振り返りが行われました。
Agentforceとは何か?
- Sales Agent・Service Egentなどの総称
- 簡単にカスタマイズできる機能も含めてAgent force
- カスタマー360を含むことでAgentforceが活きると考えても良い
- Data Cloud:データがないとAIは活きない。各種システム・WDH等nあるデータを集約する必要がある
AIエージェントが企業全体の力を引き上げる
- 従業員の能力を拡張
- 生産性を向上
- より高い利益の実現
- より良い顧客との関係性を構築
共同創業者Parker Harris氏からのご挨拶
Dreamforceで紹介したものはSalesforceが25年間積み上げてきたものであり、はじめはSales Cloud、Service Cloud、Platformであり、MAやコマース領域へと進み、BIやコミュニケーションにまで広がっている。Agentforceもその積み上げの結果であると語りました。
AIにおける最初の波は予測AIであり、商談のスコアリング等での利用であった。第二の波はOpen AIによる生成AIの登場、メールやケースの情報のサマライズになる。Agentforceは第三の波であり、これは単独で利用するものではなく、カスタマー360のプラットフォーム&データを利用して顧客支援するものであると説明しました。
Harris氏によると今日時点で1万以上のエージェントが作成されているとのことで2025年の10月22日に東京にてAgentforceを紹介するイベントを開催すると発表されました。
最後に
今回のDreamforceは合計1,500セッション。来場者は4.5万人だったとのことです。
会場は昨年同様大きな盛り上がりを見せており、昨年からさらに一歩進んだAI活用についての提言が行われた印象を持ちました。
ルールベースで繰り返し処理に強いチャットボット、AIベースでリアルタイム処理でアシスト支援をするCopilot、これに対してゴールベースで計画とオーケストレーションによりビジネスゴールを設定して計画をたて実行するAgentforceは第三の波に相応しいものである印象を強く受けています。
私たちサンプリッジはこれからもSalesforceの最新の情報をキャッチアップし、お客様支援に活用していきたいと強く感じた今回のイベントでした。
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