SalesforceでのRAGの活用方法紹介 ~Agentforce データライブラリ・データグラフの利用~
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SalesforceでのRAGの活用:Agentforce データライブラリ・データグラフの利用~
最近、AI、特にLLM(大規模言語モデル)の活用が多くの企業で話題となっています。しかし、実際に業務に導入を検討する際、「最新データの反映」や、「企業独自のデータ(社内マニュアルや顧客情報など)の反映」が課題となるケースがあります。
その解決策として、現在注目されている技術がRAG(Retrieval-Augmented Generation:検索拡張生成)という手法です。本記事では、このRAGをSalesforce環境に適用する具体的な方法として、ADL(Agentforce データライブラリ)とデータグラフという二つのアプローチを紹介します。
そもそも「RAG」とは?
RAGはRetrieval-Augmented Generation(検索拡張生成)の略語で、LLMによるテキスト生成に、外部の情報検索を組み合わせることで、LLMの回答精度と信頼性を高める技術です。
RAGの仕組み
- 検索(Retrieval): ユーザーからの質問に対し、LLMが回答を生成する前に、社内資料やデータベースなどの外部知識ベースから、関連性の高い情報を検索して取り出します。
- 拡張(Augmented): 検索で取り出された情報(関連するドキュメントの断片など)を、元のユーザーの質問と組み合わせて、LLMへの入力プロンプトとして「拡張」します。
- 生成(Generation): LLMは、拡張されたプロンプト(質問+根拠情報)に基づいて回答を生成します。
RAGのメリット
- ハルシネーションの抑制:LLMが回答の根拠となる情報を持っているため、事実に基づいた正確な回答を生成する確率が向上します。
- 最新情報の活用:LLMの学習データが古くても、最新の情報が含まれる外部データベースを検索することで、リアルタイム性の高い回答が可能になります。
- 透明性の確保:回答時に、その根拠となった社内資料のファイル名やページ番号などを引用元として提示できるため、利用者の信頼性と納得感を高めます。
RAGを利用することで、企業固有の情報にも対応できるAIを利用できます。
【活用方法①】ADLを用いた「非構造化データ」の活用
ADLを利用するとPDFファイルなどの非構造化データをSalesforceのAI機能が利用できるように、変換・格納できます。利用方法も簡単で、設定画面からファイルをアップロードすると、AIが利用するために必要な処理(チャンク化やベクトル化など)が自動で実行されます。
Salesforceにはプロンプトテンプレートという、AIに実行させたいプロンプトを定義する機能があります。プロンプトテンプレートの中でこのADLを使うことにより、ADLに格納したPDFの情報を付与したプロンプトを作成できます。
例えば、業務マニュアルのPDFをADLに格納し、それをプロンプトテンプレートの中で使えば、AIは業務マニュアルのPDFの情報を踏まえた回答を生成できます。
ADLの公式ヘルプページ
参考:https://help.salesforce.com/s/articleView?id=ai.data_library_parent.htm&type=5
【活用方法②】データグラフを用いたSalesforce内のデータ活用
ADLが「静的な非構造化データ」の活用に優れているのに対し、データグラフはRAGの適用先をSalesforce内のオブジェクトのデータに広げることに優れています。
データグラフは複数のデータモデルオブジェクトにまたがるデータを事前に結合することができますることで、AIから呼び出された時に、高速なクエリが実行可能です。
例えば、取引先と商談を紐づけたデータグラフをプロンプトテンプレート内で利用することで、AIはその取引先と関連する商談の情報を踏まえた回答をしてくれます。取引先ごとの商談結果の分析などもできるようになります。
データグラフの公式ヘルプページ
参考:https://help.salesforce.com/s/articleView?id=data.c360_a_data_graphs.htm&language=ja&type=5
企業独自のAIを実現するRAGの使い分けと可能性
本記事では、SalesforceでRAGを活用する方法を2つ紹介しました。
- Agentforce データライブラリ:PDF等の静的なデータをAIの回答に活用
- データグラフ:Salesforce内のオブジェクトのデータをAIの回答に活用
RAGを利用することで、AIが企業独自の情報に基づいた回答できるようになるので、業務マニュアルの質問対応や、Salesforce内の情報の分析をAIに任せることができるようになります。
弊社では上記のようなSalesforceにおけるAI活用のご支援も可能ですので気になった方はお気軽にお問い合わせください。
最後まで読んでいただきありがとうございました!
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