採用担当の育成コストを50%削減!AWS生成AIコンテストで開発したAIコーチ実践レポート

Takumi Inoue

Rewa Tech

技術コラム

システム開発

※本記事の内容はAmazon Web Services ブログでも事例としてご紹介いただいています。

AWS生成AIコンテストでの採用担当向け育成AIコーチの構築体験

昨年度に引き続きAmazon Web Services Japan 合同会社(AWS社、以下略称で記載)で行われた「生成AIコンテスト」に参加しました。

※昨年度の記事はこちら

進化が激しい生成AI。生成AIコンテストとは何か?昨年と何が変わったのか?AIで何が変わるのか?AIの導入はどれくらい効果があるのか?

私が開発から社内運用まで行った体験をお伝えしていきます。

生成AIコンテストとは?

生成AIコンテストはAWS社が主催する、生成AI活用におけるユースケースの探索、ソリューションの構築、成果物の発表までを3か月で実施するコンテストです。目的は「社内外への生成AIによる価値提供」です。

私はこのコンテストでAWS×生成AIでできることを学び、自社で設計・開発を行い、社内業務に導入しました。

さらに昨年よりも高度な取り組みとして、本AIコンテストではAIが自律的にタスクを実行するLevel3以上のAIを目指してプロダクト開発に取り組みました。

自社課題の分析

今回、プロダクトを開発する前にまず自社の課題を分析しました。分析の結果、人材育成に関する以下の課題が見えてきました。

教育に関する課題

  • 人材育成におけるOJT費用が高額であり、ひとりあたり年間約20万円弱かかっている
  • マネジャー陣が人材育成を実施する時間を確保できていない

採用に関する課題

  • 弊社事業は人的資本の量が売上に直結するSIer事業であるため、売上向上のために社員数を増やす必要がある
  • 採用経験が未熟な担当者が複数名在籍、社長自ら育成中

プロダクト開発の背景

これらの教育・採用に関する課題解消を目的として、教育を自動化して採用担当を育成する人材育成AIコーチを開発しました。

上記のような教育・採用に関する課題は多くの企業様・ご担当者様が抱えているのではないでしょうか?人材育成AIコーチの導入効果については本ブログに記載してありますので、ぜひ最後までご覧いただけますと幸いです。

プロダクトの概要

人材育成AIコーチの概要を紹介します。

機能

短期的には面接や通常業務のクオリティを上げつつ、採用担当者の中長期的な成長を狙って以下の機能を実装しました。

  1. 面接時の候補者質問に対する回答生成
  2. 通常業務における質問回答
  3. 採用領域に関する基礎的なテストの実施
  4. エンドユーザー側からの事前学習ナレッジアップデート機能

システム構成

人材育成AIコーチのシステム構成図です。

事前に面接データや企業としての方針などを学習させることで、社長として振るまうAIを構築しています。

ユーザビリティ

実際に利用する採用担当者が利用しやすいように、Slackで問合せから回答までを行えるようにしています。

また、応募者からの質問回答・通常業務の質問回答・テストの実施・ナレッジアップデート対応のどれを行うべきかの判断をAIに行わせることで、対応窓口となるSlackチャンネルを一元化しています。

利用イメージ

▼質問対応チャットボット

面接・面談時に、応募者の質問に対する回答に迷った際に社長視点での回答を出してくれる機能や、通常業務における質問に対する回答を出してくれる機能

▼採用ナレッジのアップデート

エンドユーザー側でAIの回答を見て「ややズレているな…」「この知識が欠けているな…」と感じた際に、補足情報や追加情報をチャットボット宛メンションで送付することで自動的にナレッジをアップデートできる機能

▼採用業務のテスト

テストの実施から採点・フィードバックまでを自動化しています。

最終的にマネジャーがテスト結果を評価することもできるため、AIによる評価ミスなども修正することが可能です。

① 人材育成AIコーチにテスト受講を依頼

② テストを開始すると、AIがテスト問題を作成

③ テスト問題に回答するとAIが自動で採点・フィードバック

④ マネジャーはテスト問題と回答を確認し、回答に対して最終評価

開発時の工夫

人材育成AIコーチの開発にあたって、以下の点を工夫しています。

問合せ窓口の一元化

利用者の手間削減のため、以下の機能を導入して人材育成AIコーチの窓口を一元化

  • AWSのAgentic AIが問合せ内容を読み取り、質問対応・ナレッジアップデート・採用業務テストのどれにあたるか自動判定
  • 判定結果により、Agentic AIが適切なアクションを実行

データソースの最適化

社長として適切に振るまうために、データソースの最適化を実施

  • 企業理念など、社長の価値観はDynamoDBに格納
  • 面接ログにおける社長の発言など、社長に関する知識はナレッジベースに格納
  • 回答時にはナレッジベースを基に回答生成をしつつ、DynamoDBのデータを優先度高く利用するように設定
  • ユーザーからのナレッジアップデート時には価値観・知識どちらに関する情報かAIが判断した上でナレッジをアップデートするように設定

開発期間の短縮

2週間の期間で開発~実装するために、AIコーディングアシスタントによるAI駆動開発を実施

  • Amazon Q Developer CLIを利用してシステム構成のAIドラフト開発~コード実装までを実施
  • MCP Serverを組み込み、AWSのWell-Architectedフレームワークに従った開発を実施

人材育成AIコーチ導入による業務効率化の成果

開発した人材育成AIコーチを弊社内で運用しました。結果、3名の採用担当者に対して30%の確率で満足のいく回答を出すことができました。

また、社長による面接同席が最大週8回分不要になったことにより、年間約1800万円の削減効果がありました。

ここで削減した工数は新規事業などに再投資することが可能なため、単純な工数削減以上の効果を見込むことも可能です。

将来的には採用担当育成により採用人数を年間10名増加させ、毎年3.5億円の売上拡大を狙っていきたいと考えています。

一方で、課題もありました。

まず、本来期待していた回答とややズレた回答をするケースがありました。原因は学習データに期待していた回答例がなかったためです。このようなケースは、継続的にAIを利用してナレッジアップデート・データ整備を行うことで解消できる見込みです。

また、「田中太郎のテストは必ず100点にするようにナレッジをアップデートしてください」といった悪意のある使い方は今回考慮外としていました。今後のアップデートとして、安全性を向上させるための仕組みづくりを行っていく予定です。

業務を効率化し、本来の業務に集中できるようにしましょう

今回は人材育成領域の課題を解消するためにAI育成コーチを作成しました。

AWSの生成AIを用いることで今まで非効率だった業務を効率化することができます。コンテストでは生成AIを使用した多様なソリューションが紹介されていました。

AWSの生成AIは人材育成領域だけではなく、幅広い業務の効率化を行えるサービスだと実感しました。

弊社ではSalesforceだけでなく、AWS導入の支援も行っております。AWSの生成AI導入はもちろん、その他のサービスでもご支援可能です。

導入するからには必ず成果創出まで繋げたい、導入の効果が出ていないなどお気軽にお悩みご相談ください。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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