マーケティングオートメーション担当者に必要なスキルセットとは(第2回)

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マーケティングオートメーション担当者に必要なスキルセットとは(第2回)

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マーケティングオートメーション(以下MA)担当者に必要なスキルについて解説する当連載の第1回では、イントロダクションとして弊社がMA担当者にとって重要と考える以下4つのスキルをご紹介させていただきました。

① データマネジメントに関する知識
② マーケティング知識
③ コミュニケーション能力・調整能力
④ 論理構成力

連載2回目の本日は、上記4つのスキルの中から「データマネジメントに関する知識」について、解説を進めます。

データマネージメントとは

まず、データマネジメントとは何かということですが、データマネジメントに関する提言やガイドラインの提供を行っている一般社団法人日本データマネジメント・コンソーシアム(JDMC)によると、データマネジメントとは「データをビジネスに活かすことができる状態で継続的に維持、さらに進化させていくための組織的活動」と定義されています(注1)
本記事ではわかりやすく「ビジネスに活かすためにデータを管理すること」という意味で使用させていただきます。

データマネージメントがMAで重要な理由

なぜデータマネジメントがMAの導入や運用の現場で重要なのでしょうか。

その理由として、MAによるマーケティング活動は見込客の属性情報や行動情報といった「データ」がすべての基盤となるからです。
そのため、MA担当者には必要なデータを抜けもれなく取得して正しく管理するためのデータマネジメントに関する知識が求められます。

具体的な例で考察してみましょう。
例えば、あなたが不動産会社のマーケティング担当者だったとします。
あなたは新しい施策として以下の短いシナリオをMAに設定したいと考えています。

「東京在住の見込客が二世帯住宅のカタログ資料をダウンロードしたら、その3日後に東京で開催されている二世帯住宅の展示会場ご案内メールを送信する」(図1)

図1. 展示会場ご案内メール配信ショートシナリオ

このときシナリオの起点となるのは「資料をダウンロードした」という見込客の行動データです。また、資料ダウンロードから3日後に、二世帯住宅の展示会場ご案内メールを送信するというマーケティングアクションを実現できるのは、「東京在住」「二世帯住宅のカタログ資料をダウンロード」「資料をダウンロードした日時」という見込客の属性データや行動データをMAが保持しているからです。これらのデータを基にMAでは適切な処理を実行していきます。つまり、必要なデータがなければ思い描いたシナリオを実現することはできません。

そして、マーケティング実施後は分析をして改善をしていく必要があります。
その際に必要となるのがメール開封率やクリック率などの「結果データ」です。これらのデータがなくては分析をすることはできません。そのためシナリオを策定する段階で分析に必要なデータは予め取得できるように考えておかなければなりません。

上記のように、MAによるマーケティング活動は始まりから終わりまでデータを中心に回っていると言っても過言ではありません。
今回は簡単な例を挙げてお話させていただきましたが、実際のマーケティング現場では会社名や地名などが表記ゆれしてしまっていたり、不足しているデータがあったりするため、きれいにデータが揃っていることばかりではありません。

そのため、マーケティングでの活用や分析まで見据えてどの場面でどのデータを取得する必要があるのか、どのようにデータを管理するかを決めるデータマネジメントが非常に重要となります。

最後に、MA運用でよく使われる属性データや行動データにはどのようなものがあるのか、ご参考までにいくつか例としてご提示します。(図2)
実際にはもっと多くの数がありますので、現在自社でどのようなデータを取得しているか確認してみるとよい勉強になると思います。

図2. 属性データと行動データの例

今回は前段としてMAにおけるデータマネジメントの重要性について解説させていただきました。それでは、MA運用においてデータを適切に取得・管理するためには具体的にどのような知識が必要になるのでしょうか。
次回は本題であるデータマネジメントにおけるMA担当者に必要な具体的スキルについて解説させていただきます。

(注1) 『データマネジメント概説書(JDMC 版)』 一般社団法人 日本データマネジメント・コンソーシアム「データマネジメントの基礎概念を定義する研究会」

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