マーケティングで結果を出すために最も重要なことは施策やキャンペーンを実行して終わりにするのではなく、結果がどうであったのかを分析して改善をし続けていくことです。
マーケティングオートメーション(以下MA)の概念はこのPDCAのサイクルを加速化することにあるので、MAツールには様々な視点からマーケティング効果を検証することができる各種レポート機能がついています。
MAにおける分析はこれまでの既存のマーケティング分析と異なる部分も多くあるため、ウェブマーケティングやメールマーケティングで分析・改善を実践したことがある人でも初めは戸惑うことがあるかもしれません。
そのため、本日は既存のマーケティングとMAの分析では何が違うのか、そしてこれまでの現場での経験から、MAの分析をするうえで役に立つ知識についてお話させていただきます。
分析レポートの例
以下の図は、育成シナリオ検証のために弊社が作成したレポートのフォーマットの一例です。
MAのシナリオには簡単なものから複雑なものまで無限にバリエーションが存在しますが、シンプルな方がわかりやすいため、今回はこの図を基に解説させていただきます。
初めはシナリオを複雑にしない
既存のマーケティングと最も違うところは、MAは見込客の行動によって分岐が発生する「シナリオ」ベースのマーケティングであるということです。
MAに実装したシナリオのことをプログラム(またはキャンペーン)という言い方をしますが、そのプログラムの何が良かったのか、またボトルネックがどこなのかを探るためにはシナリオのフロー(流れ)に沿って結果を追っていくのが有効な方法です。
図のようにフローの各ポイントで数字を明らかにすることによって、次のステージに進むことができる見込客の割合を下げている障害はどこなのかが見えてきます。
役職や業種によってコンテンツを出し分けるなど分岐の数を多くすればするほど、分析の手間もかかりますし、難易度は上がってきます。初めからシナリオを複雑に作り過ぎてしまうと、どの要素が良かったのか悪かったの仮説を立てることが非常に困難になります。
「最初は小さく始めて、徐々に大きくしていくのがMAのベストプラクティス」と言われますが、分析と改善をスピーディーに行うためには初めはシナリオを複雑にしないということがとても大切です。
事前に分析する指標の数を最小限に絞り込む
MAはさまざまなチャネルにまたがるマーケティングを統合するための手段です。そのためMAツールには多くの分析機能が付いていますが、そのすべての数字を見ていこうとすると膨大な時間がかかってしまうので現実的ではありません。
知りたい結果を導き出すためにはどの値が必要なのか、目的と定点観測的に記録する値を事前に話し合って絞り込みましょう。
例えば、メールごとに件名と中身のコンテンツの効果を比較したいのであれば、「開封率」と「クリック率」の2つに絞り、「開封数」や「クリック数」などは参考数値として詳細に確認したいときだけ使うというような思い切りが必要です。
また、ここで注意が必要なことは、クリック率(CTR: Click Through Rate)は「クリック数 / 開封数」で見るということです。
通常のクリック率は「クリック数 / 配信数」で算出されますが、この場合開封の良し悪しによってクリック数に影響を受けるため比較としては適切ではありません。開封数が多いときには当然クリック数は多くなりますし、開封数が少ない時にはクリック数は少なくなる傾向があります。クリック数が少ない原因は中身の問題ではなく、ただメールの件名が悪かっただけなのかもしれません。
そのため純粋にメールコンテンツの効果を比較したいときには「メール開封をした見込客のうち、何%がリンクをクリックしているか」で見る方がより正確と考えられます。
このように目的は何で、どの値を見るべきか事前にしっかりと検討しておくことが大切です。
MAツールだけの分析には限界がある
MAの導入段階が終わり、ある程度施策が回るようになってくるとマーケティングの最も重要な仕事は分析と改善へとシフトしていきます。
分析を専門としているツールと比較して、MAツールは分析に弱く、標準で備わっている機能だけで十分であるとはいえません。
上層部への報告や結果を社内へ共有するために、数字をグラフ化したり表にしたレポートをエクセルやパワーポイントを使ってマニュアルで一から作成しなければならないことも残念ながら未だ多く発生してしまうと思います。
仮に冒頭でお見せしたようなシナリオのフローに沿ったレポートを作成するのであれば、このような分析レポートを出してくれるMAツールは未だないはずですので、MAツール標準のレポートから手動で数字を拾い、見た目もわかりやすいようにグラフや表に整形する必要があります。
当然レポートの作成には時間と人員が必要になり、外部に頼む場合にはその分のコストが負担になってきます。目的は分析のはずですが、その前のデータの集計やグラフ化に人や時間をとられてしまい、肝心の分析がおろそかになってしまうことは避けなければなりません。
そのための手助けとして、MAで取得した数字をビジュアル化して分析しやすい形に自動的に直してくれるツールがすでにいくつも市場には出ていますので、活用することも一つの手です。
代表的なものにBI(Business Intelligence)ツールがあります。BIを利用することでデータの抽出や可視化を効率的に行うことができ、リアルタイムでの分析と迅速な意思決定ができるようになります。
弊社でも取り扱いをしておりますので、分析にお困りの方や手間を削減して分析と改善のスピードを上げたいなどのお悩みを抱えている方はぜひ一度お気軽にご相談ください。
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