マーケティングオートメーション担当者に必要なスキルセットとは(第3回)

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マーケティングオートメーション担当者に必要なスキルセットとは(第3回)

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マーケティングオートメーション(以下MA)担当者に必要なスキルについて解説する連載第3回目の今回はデータマネジメントのために必要な知識について解説させていただきます。

前回のブログではマーケティングオートメーション(以下MA)担当者にとってなぜデータマネジメントが重要かについて解説させていただきました。
MAによるマーケティング活動は見込客の属性情報や行動情報といったデータがすべての基盤となるため、データを適切に取得・管理するためのスキルが求められます。
それでは具体的にデータマネジメントを行っていくためにはどのような知識が必要なるのでしょうか。

今回はMA担当者に求められるデータマネジメントに関する知識の中から以下の3項目について解説いたします。

① データベースの基礎知識
② 自社のシステム構造と運用体制
③ 見込客データの取り扱い

以下、それぞれの項目について順に解説していきます。

① データベースの基礎知識

データを扱うためには、まずはデータがどのように保管されているかを知る必要があります。そのためデータベースの基本的な用語や構成について理解しておくことがデータについて学ぶうえでの第一歩です。

データベースに関して学習しておくと良い事項は「データテーブルの構成要素」と「リレーショナルデータベース」です。
詳しい解説は割愛いたしますが、Excelでおなじみのデータテーブルは以下の図のように「レコード」「カラム」「フィールド」という要素によって構成されています。(図1)

図1. データテーブルの構成要素図1. データテーブルの構成要素

また、データテーブルは特定の情報をキーとして紐付けることにより別のデータテーブルと「リレーション」と呼ばれるつながりを作ることができます。
例えば下の図のように商品番号というデータを紐付けることでA男さんが購入した商品の名前や価格などの詳しい情報を知ることができます。(図2)

図2. リレーショナルデータベースの例

図2. リレーショナルデータベースの例

このように複数のテーブル同士が連携しているデータベースのことを「リレーショナルデータベース」と呼びます。今日最も広く使用されているデータベースの構造です。

データベースに関する話は実際にMA導入や運用の会議の場においては頻出事項です。
そのため、データベースがどのような構造になっているのか上記に挙げた内容などについてはすぐに理解できるようにしておくことが望ましいでしょう。

② 自社のシステム構造と運用体制

データベースの基礎知識を身に付けたうえで、次に理解しなくてはならないことが自社のシステム構造と運用体制です。

企業によってデータを管理するシステムが一つだけとはかぎりません。昨今では複数のシステムを連携させて使用することも一般的となってきています。
MAを導入している多くの企業では顧客管理システムのCRMや営業管理システムのSFAを始めとした複数のシステムとMAを連携させて活用しています。一つのシステムではカバーしきれない領域をお互いに補うことでより効果的なマーケティング活動を見込むことができるからです。
このように複数のシステムを連携して使用する場合、データの管理方法はシステムによって異なることもあるため注意が必要です。

実際にあった例として、ある企業ではCRM側では以前から住所情報を「東京都渋谷区恵比寿南1-5-5」のように県名からその他の住所情報をまとめて一つのフィールドに管理していました。一方、新しく導入したMAでは県別にセグメントを分けてマーケティングを行うために「東京都」と「渋谷区恵比寿南1-5-5」のように県名とその他の住所情報はフィールドを分けて管理しているということがありました。

そのため、各システムがどのようにデータを管理して、どのように連携をしているか理解することはデータマネジメントを実践するための非常に重要な作業です。

また、データマネジメントと業務プロセスの管理は密接に関係しています。
例えば、マーケティングはMA、営業はCRMやSFA(またはExcel)というように部門によって異なるツールを使用していることも多くありますし、システム管理者の権限設定によってアクセスできる情報の幅も部署や社員によって違うかもしれません。また、マーケティングと営業では見込客情報やアカウント、商談情報などについて、それぞれの部署ごとに独自の運用ルールを定めている場合もあります。

誰がどのツールを使ってどのように変更しているのか、運用体制とデータの流れをフロー図を作成して一度整理してみる必要があるでしょう。

③ 見込客データの取り扱い

MAは見込客に対して効果的なマーケティングを実施するためのツールです。そのため、見込客に関するデータをどのように管理するかが最も重要です。しかし、難易度が高く知識や経験が最も必要とされるのも見込客データの取り扱いであるといえます。
なぜなら、担当者には様々な状況についてどのように対処するか、事前に課題と解決策を検討することを求められるからです。

見込客の情報は常に変化しますので、昇進によって役職が変わる人もいれば、異動によって部署や勤務先の住所や電話番号などが変更になる場合も考えられます。
例えば営業がお客様から直接電話で部署名を聴いて情報を変更したとき、正しくは「情報システム」と入力すべきところを「情シス」と入力をして同じアカウントにいる他の見込客と表記ゆれしてしまう可能性があります。人の手で入力する以上は誤入力してしまう可能性がないともいえません。
他にも、見込客がフォームを入力して既存の情報を正しい情報を誤った情報に上書きしてしまうことも考えられますし、イベント参加者リストなどをインポートする際に残しておきたかった情報を新しい情報で上書きしてしまうこともあります。
また、見込客が重複してできてしまった場合には、どちらの情報を優先するべきでしょうか。

見込客データをきれいに保つためには、これらひとつひとつの状況に対して、どのシステムを使って誰がどのように変更や管理をするのか、丁寧な運用ルールを定めておくことが必要です。
そのためには、担当者はデータの変更や重複などが生じるにはどのようなパターンが考えられるのか、マーケティング全体のことがわかっていなければなりません。合わせて、データベース構造や自社のシステム構造、運用体制の理解も欠かせません。
そのため、データマネジメントの中でも見込客データの取り扱いには多くの知識や経験が必要とされます。

いかがでしたでしょうか。
2回に渡り、MA担当者に必要なスキルの一つである「データマネジメントに関する知識」について解説させていただきました。
データマネジメントには高度な知識と経験が要求されるため、専門の企業へコンサルティングを依頼することも選択肢のひとつです。

次回はMA担当者に必要なスキルセットの2つ目「マーケティング知識」について解説いたします。

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