マーケティングオートメーションを早くはじめることのメリットとは

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マーケティングオートメーションを早くはじめることのメリットとは

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「やっぱりマーケティングオートメーションって早くはじめた方がいいですよね?」

マーケティングオートメーション(以下MA)の導入を検討しているお客様先へ訪問させていただくと、みなさま苦笑をしながらこのようにご質問されます。
自社でも他社に乗り遅れないように早く導入した方がよいことは内心わかっているのでしょう。ただ、予算をむやみに使うわけにもいかないので本当にいま導入するべきなのか確証が持てない、というのがこのご質問の裏に隠れた本音だと考えています。

筆者は普段MAのコンサルタントとしてお客様のマーケティング課題と向き合う日々を過ごしています。僭越ながら現場をよく知っているものとして言わせていただくと、この質問に対する答えは明白です。

マーケティングオートメーションの導入は一刻も早くはじめるべきです。

本日はなぜMAを早くはじめる必要があるのか、その理由をご説明させていただきます。

行動をトラッキングできる見込客は全体の一部

消費者の購買意思決定の概念モデルとして代表的なBlackwell ら(2005)の「BMEモデル」によると、何らかの問題(ニーズ)を認識した消費者は次のステップとして商品やサービスに対して情報探索を行うようになります。

 

BMEモデルの購買意思決定プロセス(一部抜粋)
出所:BMEモデル:Blackwell, Miniard & Engel(2005)をもとに作成

 

MAの利点の一つにはこの情報探索の過程において、会社名や役職など見込客の属性情報に加えて、ウェブサイトの閲覧やメールの開封・クリックといった見込客の能動的な行動情報を一元管理し、その情報に基づいて見込客ひとり一人に最適なマーケティング施策を実行することにあります。
見込客が貴社のどのウェブページを閲覧したかは、見込客の興味関心がどこなのかを推し量るうえで非常に重要な情報となりますが、技術的にはクッキー(Cookie)と呼ばれる仕組みを使って、見込客が訪れたページの履歴(トラッキング)を取得します。

クッキーに保存された貴社ウェブページへの訪問履歴と見込客の情報を紐づけるためには、MAツールの機能を使って作成されたお問い合わせなどのフォームを入力するか、MAツールから配信されたメール内の貴社ウェブサイトへのリンクをクリックする必要があります。

つまり、フォームを入力した見込客か、メールをクリックした見込客しかウェブ上での行動履歴を取得することができないというのが、現在のMAツールに共通する技術的な仕様です。

 

 

国外の例にはなりますが、マルケト社のメール・パフォーマンス・ベンチマーク調査によると、メールのクリック率は平均的企業で2.0~5.0%、最優秀企業で5.0~10.0%程度です。
1回のメール配信ではどれだけ頑張っても全体の1割以下しかクッキーと見込客情報が紐づかず、9割の見込客のウェブ行動を追うことができません。
当然、メールの配信回数を重ねていけばクッキーが紐づいた見込客の割合を増やしていくことができますが、経験ではメールリンクをクリックする見込客の半数以上は以前にもクリックをしたことがある見込客で、新規でクリックをする見込客の数は一部に留まります。
見込客の中には必ず一定数、いつまでたってもメールをクリックしてくれない見込客というのも出てくるものです。むしろ通常はこちらが大部分と言えます。

ここにフォームを入力したことがある見込客という条件が加わりますが、メールのクリックよりもさらにハードルの高いフォームを入力したことがある見込客の数がリードデータベース全体でそれほど多い割合になるということは見込めません。

つまり、どうしても行動をトラッキングできる見込客の割合は全体の一部に留まるのです。
ウェブ行動をトラッキングできない以上は、その行動に対してスコアリングをすることや訪問したページの内容に合わせてその後のコンテンツを適正化(パーソナライズ)することもできません。

企業は時間をかけて改善をしていくしかない

これを改善するためには、企業は地道な努力によって行動をトラッキングできる見込客の数を増やしていくより仕方がありません。
不要な見込客のデータをクリーニングしつつ、定期的なメール配信やコンテンツの拡充によって、時間をかけて少しずつクッキーと紐づいた見込客の割合を増やしていきます。

当然ながら、見込客の行動がトラッキングできるようになってもそこがゴールではありません。行動情報をもとに分析と改善を重ねることが最も重要なことですので、むしろ行動をトラッキングできるようになるのはそのためのスタートに過ぎません。
これが一般的に「マーケティングオートメーションで効果を出すには時間がかかる」と言われる理由の一つです。

しかし、多くの企業がすでにMA導入を始めているという現状があります。ライバル企業がこのあと3年、5年と改善を重ね続けて見込客データを活用した最先端のマーケティングを実践しようとしている以上、マーケティングの遅れは企業にとって将来致命的な結果を招きかねません。
反対にライバル企業に先立って導入と実践を効果的に進めていくことができれば、それは貴社にとって大きなアドバンテージとなることでしょう。

これが我々MAのコンサルタントがお客様に「MA導入は早ければ早いほど良い」と確信を持ってお伝えしている理由です。

さて、見込客の中にはいつまでたっても行動をトラッキングできない見込客が必ず一定数出てくるというお話を途中でさせていただきました。ウェブ行動がトラッキングできない以上、スコアリングやコンテンツ適正化などを実行することはできません。
しかし、ではこれらの見込客に対して打つ手がないのかというとそうではなく、最近ではこれらの行動がトラッキングできない見込客に対してアプローチをするための方法やサービスがいくつも出てきておりますので、今後はそちらについても解説させていただきます。ぜひ次回以降のブログにもご期待ください。

参考:エンゲージメントを高めるメールマーケティング完全ガイド(Part6. Marketo Benchmark on Email Marketing)


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