サンブリッジが「Ready Crew TECH MEETUP 2025」で語った、人手不足を打破するAI活用術
Rewa Tech
イベントレポート
2025年7月17日(木)、最新のAI業務活用とテクノロジーに触れるイベント「Ready Crew TECH MEETUP 2025」が御茶ノ水ソラシティカンファレンスセンターとオンラインのハイブリッドにて開催されました。
今回のミートアップは私たちサンブリッジも登壇し、深刻化する人手不足をAIでいかに打破するか、そしてサンブリッジが実践しているAI活用事例について詳しくご紹介しました。本ブログでは、その内容をダイジェストでお届けします。

人手不足の壁をAIで乗り越える:システム活用とSIの融合
サンブリッジでは、業務における人手不足の課題に対し、顧客管理システムをはじめ、名刺管理、工数管理、経費精算など、あらゆる業務において積極的にシステムを活用し、効率化を図ってきました。
しかし、システムの利用だけでは自動化できる範囲には限界があり、定型業務の多くは自動化できても、イレギュラーな対応や判断が求められる業務、部門を横断する複雑なプロセスなど、人の手や判断が必要な領域は依然として多く残されていました。
そこでサンブリッジが目を向けたのが、AIとシステムインテグレーション(SI)の組み合わせです。AIは、これまで人の判断が必要だった部分を学習し、自動化する可能性を秘めている一方で、SIは既存のシステムとAIを連携させ、企業全体の業務プロセスを最適化するための重要な役割を担います。
サンブリッジが実践するAI活用事例:劇的な効率化と新しい価値の創造
今回のセッションでは、実際にサンブリッジがAIをどのように業務に活用しているのか、具体的な事例を交えてご紹介しました。
生成AIヘルプデスクによる社内問い合わせ対応の劇的な効率化
社員から寄せられる問い合わせへの対応は、多くの企業においてヘルプデスクや総務部門にとって大きな負担となっています。特に、よくある質問への回答や簡単な情報提供など、定型的な問い合わせに多くの時間を費やしているケースは少なくありません。
これはサンブリッジでも同様であり、AWS Japan が主催する「生成 AI コンテスト」にサンブリッジが参加したことをきっかけに、この社内問い合わせ対応の工数削減を目指してAWS(Amazon Web Services)をベースとしたAIチャットボットシステムを約1週間で構築しました。この「生成AIヘルプデスク」は、以下の仕組みで運用されています。
- ナレッジベースの構築とAIによる学習: 社内規定や各種マニュアルなどの膨大な社内情報をストレージ上に集約し、AIが学習する堅牢なナレッジベースを構築しました。これにより、AIは質問に対して多角的かつ正確な情報を提供できるようになります。
- SlackとRAGを組み合わせた自然なテキストでの回答: 社員からの問い合わせは、サンブリッジが日常的に利用しているSlackを通じて投稿され、RAGにより自然な日本語で作文され、社員は数秒で回答を得ることができます。(チャットツールはSlack以外も対応可)
このシステムを活用した結果、なんと週1,750分 (約 29 時間) の対応工数削減効果を得ることができました。この結果は同コンテスト内でも高く評価されています。

生成AIヘルプデスク紹介動画
AIは属人化解消のカギとなる
この生成AIヘルプデスクは、単なる工数削減にとどまりません。これまで、多くの企業で問題となってきた「特定の担当者や熟練者がいないと業務が滞る」といった業務の属人化の問題も、AIが定型的な問い合わせ対応を担うことで、担当者の知識や経験に左右されることなく、常に迅速かつ正確な回答を提供できるようになります。
これにより、業務の標準化が進み、担当者の異動や退職による業務への影響を最小限に抑えることが可能になります。
商談準備を劇的に効率化するソリューション「AI商談Search」
営業担当者が商談に臨む際、顧客のニーズに合わせて資料を都度作成し、図やグラフなどの作成に時間がかかることが多いのではないでしょうか。過去の営業資料を応用しようとしても、膨大な案件資料のなかから最適な情報を見つけ出す作業は時間を要し、営業担当者には非常に大きな負担がかかると言われています。
そのような問題に悩むお客様から相談を受けてサンブリッジが開発したのが、Salesforce上での商談準備を効率化する「AI商談Search」です。
このソリューションは、以下のように機能します。
- 顧客ニーズのテキスト入力: 営業担当者は、Salesforce上で顧客の具体的なニーズや商談の目的をテキストで入力します。
- 過去類似商談の検索とマッチング: 入力されたニーズに基づいて、AIがSalesforceに蓄積された過去の膨大な商談データ(商談内容、提案資料、顧客からのフィードバックなど)を瞬時に検索します。そして、最も関連性の高い類似商談をマッチング率が高いものから上位5件を表示します。
- 柔軟なカスタマイズ:検索項目や絞り込む項目を変更でき、検索結果においても重視する項目を指定できます。
- 資料引用と迅速な提案書作成: 表示された類似商談からは、過去の営業資料のグラフや図、テキストなどを簡単に引用することができます。これにより、ゼロから資料を作成する手間が大幅に削減され、商談前準備にかかる時間を劇的に短縮することが可能になります。

このソリューションの導入により、営業担当者は資料探しに費やす時間を削減し、その分を顧客との対話や戦略立案といった、より本質的な営業活動に集中できるようになります。結果として、商談の質が向上し、成約率の向上に貢献します。
ご利用費用について
AI商談Searchは、Salesforce Sales CloudまたはService CloudのEnterprise EditionかUnlimited Editionをご利用であれば、ライセンスに関しては負担なし、ランニングコストのみでご利用可能でます。ランニングコストに関しては従量課金となりますので、詳しくは以下よりお問い合わせください。
AI商談Search紹介動画
AIに人格を持たせる:ベテラン社員の知見を全社員の力に
今回の登壇では「AIに人格をもたせる」ことの可能性についても言及しました。これは、単なる情報提供に留まらず、まるで特定の人物が対応しているかのような体験をAIを通じて提供するものです。
例えば、新入社員が業務についてベテラン社員に質問をしたいものの、ベテラン社員が多忙でなかなか声をかけられない、といった状況はよくあります。このような場合、AIにそのベテラン社員の人格と知識を学習させることで、新入社員はまるで本人から直接アドバイスされているような自然な回答をいつでも得られるようになります。
このアプローチには以下のようなメリットもあります。
- ナレッジの標準化: ベテラン社員の持つ貴重な知識や経験が、特定の人物に属することなく、全社員に共有され、活用されるようになります。これにより、企業全体の知識レベルが底上げされます。
- ベテラン社員の負担軽減: 日常的な質問対応から解放されることで、ベテラン社員はより専門的な業務や戦略的なタスクに集中できるようになり、業務に支障が出ることもありません。
- 新入社員の成長促進: 質問のハードルが下がり、いつでも疑問を解消できる環境が整うことで、新入社員はより迅速に知識を習得し、成長する環境を得られます。
- ベテラン社員の退職時のリスク軽減: ベテラン社員の知識がAIを通じて企業に継続して残るため、円滑な知の継承が可能になり、社員退職による組織力ダウンといったリスクを軽減できます。
まとめ
今回の登壇は、AIがもたらすビジネス変革の可能性を公表する貴重な機会となりました。サンブリッジはこれからも、AI技術の最先端を追求し、その活用を通じて、お客様のビジネス課題解決に貢献し、より良い未来を共に創造してまいります。
AI活用やSIに関するご相談は、以下よりお気軽にお問い合わせください。
生成AIとRAGによるチャットボットをPoCで構築し
お問い合わせ対応の工数削減の検証を促進
生成AIとRAG(検索拡張生成)を組みあわせることで、投稿された質問に対して高精度かつ自然な文章で回答を自動生成しチャットで返信するPoC環境をご提供します。