Lightning Web コンポーネント(LWC)は、Web標準を使用したSalesforce開発を行えるプログラミングモデルです。Salesforceに軽量でパフォーマンスの高いカスタムユーザインターフェースを構築することができます。しかし、効率的でパフォーマンスに優れたコードを書くためには、単なる「書き方」を超えた工夫が必要です。
この記事では、LWC開発の効率化とパフォーマンス向上のためのベストプラクティスを紹介します。これを実践することで、より最適化されたアプリケーションを構築できるようになるでしょう。
1. JavaScriptの効率的な利用
LWCはJavaScriptベースで動作しているため、適切なJavaScriptの記述が不可欠です。
- 不要な再計算を避ける
デコレータ@trackや@apiの使用範囲を絞り、不要なレンダリングを防ぐ。 - 非同期処理の適切な利用
Promiseやasync/awaitを利用して非同期処理を効率化。特に、fetchやApex呼び出し時に注意する。
実例)
// 非効率的な例
this.data = await fetchData();
this.calculateSummary(this.data);
// 効率的な例
fetchData().then(data => {
this.data = data;
this.calculateSummary(data);
});
2. HTMLとCSSの最適化
- HTMLの軽量化
必要最小限のDOM構造を維持し、深いネストを避ける。 - SLDS(Salesforce Lightning Design System)の活用
カスタムCSSを最小限にし、標準のクラスを利用することで、スタイルの一貫性を確保する。
実例)
<!-- 悪い例 -->
<div class="custom-container">
<div class="nested-div">
<p class="text-class">Content</p>
</div>
</div>
<!-- 良い例 -->
<div class="slds-card">
<p class="slds-text-body_regular">Content</p>
</div>
3. Apexとの連携での注意点
LWCとApexを連携させる際、APIコールの最適化が重要です。
- SOQLの効率化
必要な項目だけを取得し、無駄なデータ転送を減らす。 - バッチ処理の検討
大量のデータ処理が必要な場合、バッチ処理を使用する。
実例)
// 悪い例: 不要な項目を取得
SELECT Id, Name, CreatedDate, Owner.Name FROM Account
// 良い例: 必要な項目のみ取得
SELECT Id, Name FROM Account
4. イベントの適切な管理
LWCは親子コンポーネント間のデータ通信にイベントを使用しますが、過度なイベント発行はパフォーマンスを低下させます。
- カスタムイベントの使用
必要なデータのみをペイロードとして渡す。 - イベントリスナーの最小化
コンポーネントのアンマウント時に不要なリスナーを削除する。
5. ツールを活用した効率化
- VSCodeプラグイン
Salesforce Extension Packを利用して、コードの補完やヒント機能を活用する。 - テスト
javascriptのテストフレームワークJestを使用して、コンポーネント単位のテストを実行する。 - デバッグ
console.logを使う。
Chromeの開発者ツールで、ブレイクポイントを設定する。
開発者ツールのwatch欄でwatcherを追加する。
参考)
- Salesforce 開発者ブログ: Debug Your Lightning Web Components (Lightning Web コンポーネントのデバッグ)
- コンソールログファイルの取得
- 開発者コンソールのログの操作
- ブレークポイントでコードを一時停止する
まとめ
LWC開発で、効率的かつ高パフォーマンスなコードを書くには、JavaScript、HTML/CSS、Apexのすべてで工夫が必要となります。今回紹介したベストプラクティスを実践することで、安定した高品質なアプリケーションを構築できるでしょう。
ぜひこれらのポイントを取り入れて、次のプロジェクトで試してみてください。
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