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2018/11/14   マーケティング担当 YH

  • マーケティング/営業(インサイト営業・インサイドセールス)

マーケターなら知っておきたい!「戦略」について~戦略カスケード・ダウンから学ぶ基本の考え方~



マーケターはもちろん何かしらの業務に携わっている方は、ビジネスにおいて「戦略が重要」という言葉をしばしば耳にすることでしょう。巷には、戦略に関する情報や書籍も多数あります。経営者でない限り企業戦略を考えることはないと思いますが、マネージャー層であれば、経営戦略に沿ったマーケティング戦略や営業戦略などを考え、担当者レベルであれば各戦略に沿った業務を遂行することになります。よって、「戦略」について理解することは、すべての人にとって重要といえるでしょう。

しかし、戦略の立案や実行が難しいのも事実です。戦略に関するフレームワークや事例など、理論上は理解できても実践するのはまた別の次元のようです。戦略に関してのノウハウやセミナーが多いのも、その現れといえるでしょう。

そこで今回は、自社の戦略を理解したうえで業務を進められるよう、まず現場担当者が知っておきたい基本「戦略と戦術」をテーマに、その違いや関係について考えてみたいと思います。(なお、本文中の例は、わかりやすくするために単純化したものです。あらかじめご了承ください)

戦略と戦術:定義の違い

「戦略」とは、一言でいえば「企業がいかにビジネスで成功するか」の計画であり、そのために全体の方向性やリソース配分を決めることです。一方で「戦術」とは、戦略を実現するための具体的な手段です。戦略は長期的な視野における指針であるのに対し、戦術はより短期的で具体的な方法や行動を意味します。
例えば、戦略が「〇〇業界で売上トップを目指す」という場合、そのための戦術は「年内に都内の店舗数を1.5倍にする」というような具体的な計画になります。

「差別化戦略」や「コスト(リーダシップ)戦略」というように、戦略にはいろいろなフレームワークや方法論があり、それらを学ぶことはとても勉強になります。しかし、まず覚えておきたいと思うのは、マイケル・ポーターの言葉である「戦略の本質とは何をしないかを決めること」です(注1)。企業のリソースには限りがあるので、他社より優位に立てる方向へ自社のリソースを投下する必要があり、そのために必要とされるのが戦略です。

戦略と戦術:重要なのはどちら?

戦略がない、または戦略があってもきちんと共有されていない場合、業務レベルで起こり得ることとして、

・ 短期的な視点で業務を遂行してしまう
・ 社員の思考や行動の方向性がばらばら
・ 各業務に関係性がない(最悪の場合、矛盾やコンフリクトを生じる)

などが考えられます。
しかし一方で、戦略がなくとも成功している(ようにみえる)状況もあります。
では、戦略と戦術ではどちらが重要なのでしょうか。戦略がいまひとつでも、戦術が良ければ成功し得るのでしょうか。

以下は、USJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)を立て直したことで有名な森岡毅氏の著書『USJを劇的に変えた、たった1つの考え方』(注2)に記載されている戦略と戦術に関するマトリックスです。ベストセラーの書籍であり、さまざまな記事やセミナーで紹介されているので、ご存知の方も多いと思います。

戦略と戦術の良し悪しを4つの組み合わせに分け、成功しやすい順にアルファベット(A~D)が付けられています。

「戦略と戦術がどちらも良い(A)」場合や「戦略は良いが戦術や悪い(B)」場合は、ともに戦略が良いので成功する可能性が高くなります。問題は戦略が悪い場合です。「戦略が悪くても戦術が良い(D)」方が、片方は良いのだから「戦略と戦術が共に悪い(C)」よりはマシなのではと感じられますが、実は「戦略が悪いのに戦術が良い(D)」というのは最も好ましくないケースであると同書では述べられています。なぜなら、戦術が良いと失敗に気づくのが遅く、リカバリーに時間がかかる(または間に合わなくなる)からです。長期的には好ましくない状況でも、施策自体が成功しているとあまり気にならない、というのは確かに起こり得ると考えられます。

単純な例ですが、仮に「洗練されたデザインと機能性を兼ね備えた製品」を強みとする企業が、コスト削減のためにデザインや機能が中レベルの低価格製品を販売したとします。その場合、一時的には売れ行きが上がり、成功したように見えるでしょう。しかし、長期的に見れば、類似製品をより低価格で売る競合が現れる可能性もあり、何よりも「洗練されたデザインと機能性を兼ね備えた製品」という自社のブランドイメージが崩れてしまいます。結果として、製品を支持してくれていた顧客や自社のブランドに誇りをもっていた社員が離れていく・・・となれば、戦略としては失敗だったとなります。
施策自体が良いと成功に見えてしまう、それが戦略の成功を難しくする要因の一つなのかもしれません。

戦略と戦術の関係性がわかる:「戦略カスケード・ダウン」とは

戦略の定義や戦術との違いについて、意味や理論を理解することはさほど難しいことではありません。しかし実際の業務では、何が戦略で何が戦術なのか、議論をしているうちに混乱することがしばしばあります。それに対しての大きなヒントが「戦略のカスケード・ダウン」です。これも前述した同書で紹介されている考え方です。

戦略のカスケード・ダウンとは、「戦略が組織上層から末端まで下層展開されていくこと」(注3)です。
以下の図のように、上位レベルの戦術は、イコール下位レベルの目的となり、戦略や戦術へと展開されていくという考え方です。

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冒頭の例では、戦略が「〇〇業界で売上トップを目指す」だった場合、戦術は「年内に都内の店舗数を1.5倍にする」と述べました。その場合、「年内に都内の店舗数を1.5倍にする」は下位レベルの目的となり、それを実現するための戦略が「フランチャイズを開始する」など、より具体的な方法になります。このように、各階層の戦略と戦術が連動しているのが「戦略カスケード・ダウン」です。

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以上のように、同じ事柄でも話す人の立場によって、「目的」やそれを達するための「戦略」、戦略を実現するための「戦術」のいずれにもなり得ます。それが実際の業務で、戦略と戦術が混乱する要因の一つではないかと考えらえます。言い換えると、戦略の話をする場合は、どのレベルの話をしているのかを明確にすることが重要なのではと思います。

いかがでしたでしょうか。戦略と戦術の違いや関係性を理解することは、日ごろの業務を俯瞰で見ることにも役立ちます。フレームワークや戦略の成功・失敗事例を学ぶときにも、より理解が深まるでしょう。今回紹介した森岡氏の書籍も非常にお勧めですので、興味のある方はぜひ読んでみてはいかがでしょうか。

(注1) https://en.wikiquote.org/wiki/Michael_Porter
(注2)森岡毅『USJを劇的に変えた、たった1つの考え方』(KADOKAWA/角川書店 2016年) P11
(注3)同上, P115頁

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