本記事では、SalesforceのAIに関する取り組み、そしてAgentforceの仕組みについて分かりやすく解説します!
生成AIで利用されるモデルや仕組みについて
最近、「AI活用がアツい!」なんて話をよく聞きますが、「LLM」や「RAG」みたいな略語が出てきますよね?
後で出てくるAgentforceを理解するうえでも大事なワードなので、まずは用語の解説から最初に触れておこうと思います。
LLM(大規模言語モデル / Large Language Model)とは?
LLMは、大量のテキストデータを学習して、その知識をもとに回答を作るAIモデルです。
- 事前に学習した情報から推測して回答を生成する
- 外部データにはアクセスせず、既存の知識を活用
- 幅広いテーマに対応可能だが、学習したデータによっては情報が古かったり、専門的な質問に対しては正確性が落ちることがある
RAG(検索拡張生成 / Retrieval-Augmented Generation)とは?
RAGは、LLMの弱点をカバーする仕組みです。
- AIが回答を生成する際に、外部のデータベースや知識ベースから情報を取得
- 最新のデータや特定分野の専門情報を利用できる
- 参照する外部データベースを更新しておけば、LLM単体では難しい、正確でリアルタイムな回答が可能
- 最近はWebを検索してデータソースとすることも行われている
まとめると
- LLMは『事前学習した知識をもとに回答を生成するモデル』
- ざっくり言うと、「めちゃくちゃたくさんの文章を読んで、賢くなったAI」
- RAGは『必要に応じて外部の情報源から関連情報を検索・取得し、それを活用して回答を生成する仕組み』
- ざっくり言うと、「LLMが持ってない最新情報や専門知識を、その場で検索して使えるようにする技術」
となります!
LLMとRAGの役割について
AIを使うとき、皆さんはChatGPTみたいなアプリを利用していると思います。
実は、その裏側で LLM や RAG がこんな感じの役割を担っています!
独自のデータベースを参照しつつ、文字で回答を生成したい場合
- 生成AIのアプリケーション(窓口):窓口となり質問を受け、モデルや仕組みを通して生成された回答を返す
- LLM(モデル):ユーザーの質問を理解し、学習した知識をもとに自然文章で回答する
- RAG(仕組み):LLMが持っていない情報を外部のデータベースから検索して回答を補強する
余談ですが、LLMはあくまで「言語を処理するモデル」。
画像や音声を生成するときは、それぞれ専用のAIモデルが使われています!
SalesforceでのAI活用について
ここから本題に入っていきます!
SalesforceもAIの活用を進めており、EinsteinやAgentforceといった名称でAI機能が既に提供されています。
Einsteinとは?
Einstein は、Salesforceに組み込まれたAI機能の総称です。
主にこんな特徴を持っています
- 予測分析:顧客データを分析し、将来の行動や傾向を予測、その後のアクションまで提案する
- 自然言語処理:問い合わせなどのテキストデータを理解し、ユーザーの意図を解釈して適切な回答を生成する
これらの機能を活用すれば、営業・サービス・マーケティングなどの分野で、データをもとにした賢い判断や業務の自動化ができるようになります!
Salesforceでは、外部のLLMを活用する形をとり、今後さらに幅広いモデルに対応していく方針を発表しています。
- ユーザーのニーズに合ったLLMを選択できる仕組みを構築中
- 外資系の有名なLLMだけでなく、日本国内のLLMにも対応を進めている
- 生成AIを単なるチャットボットの枠に留めず、ビジネスに応じた最適なモデルを提供
詳細はSalesforce公式のプレスリリースをチェックしてみてください!
参考:https://www.salesforce.com/jp/news/press-releases/2024/10/22/salesforcellmopenconnector/
Agentforceの仕組みについて
これまでのSallesforceのAI(Einstein)は、個人の生産性を高めることが目的で、自動分類/文章の要約/返信文の生成などを行っていました。
しかし Agentforceでは、組織全体の労働力を強化することを目指し、AIが「判定+推論」を組み合わせて、まるで一人の従業員のように計画を立て、アクションを実行できるようになりました!
Agentforceは、「Agent」と「Atlas推論エンジン」の2つを組み合わせて動作する仕組みになっています。
Agentの役割
Agentは、特定の業務を担うAIの単位で、以下の要素で構成されています。
- トピック:Agentの役割やジョブを定義する部分
- 指示:各トピックごとに「このように作業してください」という作業指示を記載
- アクション:Apex / Flow / プロンプトビルダーを使った自動化機能を実行
- SalesforceやData Cloudのデータを活用し、RAGによるアクション実行が可能
Atlas(アトラス)推論エンジンの役割
Atlasは、Agentの動きをコントロールする司令塔です。
- 顧客のリクエストに対し、Agentの適切なトピックとアクションを選択
- 選択したアクションの実行順序を決定
実際の活用例:保険業界での問い合わせ対応
保険の内容に関する問い合わせに対応するAgentがあった場合の構成は以下
- トピック:保険会社の問い合わせ窓口業務担当
- 指示:お客様の本人確認を行い、契約内容をもとに保証の可否や対応を案内する
- アクション
- 判定:フローを使って、お客様の契約番号、生年月日を元に本人確認を行う
- 推論:プロンプトビルダーを使って、保険契約の約款を基に保証内容について自動回答する
例えが、顧客からこんな問い合わせがあったとします
「海外旅行をしたいのですが、もし盗難が起きた場合、私の契約では保険が適用されますか?」
Agentforceでは、この一連の流れを全て自動化し、以下の流れで対応を行っていきます!
- 判定が必要な処理(例えば「本人確認」)は FlowやApex で実施
- 契約内容や約款の確認 は RAGとベクトル検索 を活用
- 生成AIが回答文を作成 し、顧客に案内
このように保険の問い合わせ対応を丸ごと自動化でき、
人間が対応するのと同じ業務フローをAIが代行できるようになります!
SalesforceのAIはより高度な意思決定&業務の自動化を実現し単なるチャットボットを超えた、実用的なAIアシスタント へと進化しています!
まとめ
ここまで読んでいただきましてありがとうございます!
SalesforceのAIは、LLMやRAGを組み合わせることで、より正確&実用的な情報提供が可能になっています!
- LLMは学習済みの知識を活用して自然な回答を生成
- RAGは最新のデータを検索し、回答の精度を向上
特に EinsteinやAgentforceを活用することで、予測分析や業務の自動化を実現することができます。
弊社では上記のようなSalesforceにおけるAI活用のご支援も可能ですので気になった方はお気軽にお問い合わせください。
最後まで読んでいただきありがとうございました!
皆さんもSalesforceの最新AI技術を活用して、業務効率化&顧客対応のレベルアップを目指しましょう!
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