スキル(skill)とは獲得可能な「技能や能力」のことを意味し、実務的な知識や技術だけではなく、コミュニケーションスキルなどの人間行動に関する能力も含みます(注1)。
マーケティングオートメーション(以下MA)は業務効率を高め、マーケティング効果を高めることができる大変便利なツールである一方、MAの担当者には以下の理由により幅広いスキルが要求されます。
- MAは展示会、セミナー、営業活動などの「オフライン」での活動とウェブページ、メール、ダウンロード資料などの「オンライン」での活動を統合する包括的なマーケティングシステムであるため。
- MAの導入・運用では、マーケティング部門、営業部門だけでなく、IT部門、法務部門など、複数部門との調整が発生するため。
- MAの運用にはシナリオ設計、コンテンツ制作、システムへのプログラム・キャンペーン設定、分析など、さまざまな作業がある。また、スコアリング設計や育成シナリオの設計など従来のマーケティングにはなかった作業も多くあるため。
MAの導入・運用には幅広いスキルが求められますが、ひとりの担当者がすべてのスキルを持っていなければならないというわけではありません。
プロジェクトチームを組んで複数人で役割を分担しても良いですし、自社でできない部分は専門の企業へ外注するという手段もあります。
よってMAの導入を成功させるためには、適材適所な人員体制を整えることが重要になります。
一方、MAを実際に運用してみるまではどのような場面でどのようなスキルが必要になるのかはわからないものです。シナリオを設計する人と作業をする人では必要なスキルは異なり、ポジションや役職によってもまた必要なスキルは異なります。
そのため、MA導入を検討している企業では、外部の企業に依頼するかを含めどのような体制を組めばいいのか判断することができないということが課題となっています。
そこで、国内企業でも先駆けてMAの導入と運用現場でコンサルティングを実施してきた当社の経験から、MAの担当者にとって重要と考える以下のスキルについて、次回から4つのテーマに分けてひとつひとつ詳しくご説明します。
①データマネージメントに関する知識
②マーケティング知識
③コミュニケーション能力・調整能力
④論理構築力
各回では、それぞれのスキルがどのような場面で必要になるか、現場での経験から具体的な例を挙げて詳しく解説します。また、それぞれのスキルについてブレイクダウンをしていき、業務で必要となる具体的な知識まで掘り下げてご説明します。(図1)
MA導入を検討しているがどのような体制を作るべきか悩んでいる方や、MAを導入・運営していくためにどのようなスキルに注力すべきか考えている方にとって参考となる情報となりますので、次回からの連載についてぜひご期待ください。
(注1)http://dictionary.sanseido-publ.co.jp/topic/10minnw/014skill.html