【完全ガイド】Account Engagement(旧Pardot) における見込み客管理

Rewa Tech
技術コラム
マーケティング
はじめに
BtoBマーケティングにおいて、「この見込み客は今、どのフェーズにいて、どれくらいホットなのか?」を可視化することが最重要です。
Marketing Cloud Account Engagement(旧Pardot)では、この判断をスコアリングとキャンペーンステータスという2つの軸で実現できます。
この記事では、それぞれの概要から、実装方法、ユースケース、ベストプラクティスまで網羅的に解説します。
1. スコアリングとは?
概要
スコアリングとは、リードの行動に応じて「関心度」を数値で可視化する仕組みです。
詳細
主なスコア加点要素:
アクティビティ | スコア (デフォルト設定) |
説明 |
---|---|---|
Olarkチャット | +10 | Olarkチャットを使用する度にスコアが評価されます。 Olarkコネクタが必要です。 |
カスタムリダイレクトのクリック | +3 | クリックの度にスコアが評価されます。 |
サイト検索クエリ | +3 | サイト検索を実行する度にスコアが評価されます。 [サイト検索] 設定が必要です。 |
サードパーティのクリック | +3 | サードパーティメールクライアントでクリックされる度にスコアが評価されます。 サードパーティメールソリューションとの接続が必要です。 |
ソーシャルメッセージリンクのクリック | 0 | ソーシャル投稿を介して投稿されたメッセージ(Facebook、LinkedIn)のリンクをクリックする度にスコアが評価されます。 各コネクタの設定が必要です。 |
トラッカーリンクのクリック | +3 | メール内のトラッキングリンクがクリックされる度にスコアが評価されます。 |
ビジターのセッション | +3 | 見込み客と Cookie を関連づける度にスコアが評価されます。 |
ファイルアクセス | +3 | ファイルにアクセスする度にスコアが評価されます。 |
フォームエラー | -5 | フォームの登録を試みる度にスコアが評価されます。 |
フォームハンドラーエラー | -5 | フォームハンドラーの登録を試みる度にスコアが評価されます。 |
フォームハンドラー登録 | +50 | フォームハンドラーの登録に成功する度にスコアが評価されます。 |
フォーム登録 | +50 | フォームの登録に成功する度にスコアが評価されます。 |
ページビュー | +1 | トラッキングコードが埋め込まれたページが表示される度にスコアが評価されます。 ページアクションを使用している場合は、ページアクションによるスコア調整が適用されます。 |
メールの開封 | 0 | 開封の度にスコアが評価されます。 |
ランディングページエラー | -5 | ランディングページの登録を試みる度にスコアが評価されます。 |
不成立の商談 | -100 | プロスペクトと同期した取引先責任者に、関連づけられた商談が不成立になるとスコアが評価されます。 |
作成された商談 | +50 | プロスペクトと同期した取引先責任者に、商談が関連づけられるとスコアが評価されます。 |
参加したWebセミナー | 0 | Webセミナーへの出席の度にスコアが評価されます。 GoToWebinarコネクタの設定が必要です。 |
成立した商談 | 0 | プロスペクトと同期した取引先責任者に、関連づけられた商談が成立するとスコアが評価されます。 |
招待されたWebセミナー | 0 | Webセミナーへの招待の度にスコアが評価されます。 GoToWebinarコネクタの設定が必要です。 |
正常ランディングページ | +50 | ランディングページの登録に成功する度にスコアが評価されます。 |
登録したWebセミナー | 0 | Webセミナーへの登録の度にスコアが評価されます。 GoToWebinarコネクタの設定が必要です。 |
設定方法:
- [Account Engagement設定] > [スコアリング] > [スコアリングルールを編集] にてルール編集
- オートメーションルール・Engagement Studioでも条件に応じて加減点可能
注意点:
- 外部ツールと連携していないと機能しないスコアがある(Olark、GoToWbinar、ソーシャル投稿など)
- スコアリングルールは全てのアセットに共通して適用される(個別に変更したい場合は完了アクション等で設定)
- スコアリングルールの変更は過去に遡って適用される(既存のプロスペクト全体への影響を考慮する必要がある)
- 古いプロスペクトはスコアが高くなるので、定期的なリセットが必要(参考:180日間アクティビティのないプロスペクトのスコアをゼロにリセットしたい)
2. スコアリングカテゴリとは?
概要
スコアリングカテゴリとは、製品・サービスごとにスコアを分類・分析できる機能です。 スコアリングルールで加点されたスコアの内訳を分析することで、「見込み客がどの製品・サービスに興味を持っているか」を可視化することができます。
詳細
設定方法:
- [Account Engagement設定] > [スコアリング] > [スコアリングカテゴリを追加] にてカテゴリを追加
設定項目 | 備考 |
---|---|
開始日の選択 | 選択した日付以降のアクティビティがカテゴリに関連づけられます。 |
すべての履歴アクティビティを含める | 選択したフォルダー内のアセットに関連する過去のすべてのアクティビティがカテゴリに関連づけられます。 |
フォルダーに割り当て | カテゴリに関連づけるフォルダーを選択します。 選択したフォルダー配下のすべてのアセットがカテゴリに関連づけられます。 |
注意点:
- スコアリングカテゴリは階層構造で設定することはできない(製品ごとに設定する場合、同じ階層で製品ごとのフォルダを作成する必要がある)
3. キャンペーンによるステータス管理とは?
概要
Salesforceキャンペーンのステータス(キャンペーンメンバーの状況)は、「どのマーケティング施策に、誰がどこまで関与したか」をトラッキングするための指標です。
キャンペーン活用の詳細については、以下の記事をご参照ください。 https://www.sunbridge.com/blog/column/account-engagement-campaign-management/
詳細
Account EngagementではSalesforceのキャンペーンオブジェクトと連携し、リード/取引先責任者がどのマーケティング施策に関与しているかを管理できます。
設定方法:
- リストメールやフォームの完了アクションで「キャンペーンに追加」または「CRMキャンペーンに追加」を設定
▼フォームの完了アクション設定画面
▼リストメールの完了アクション設定画面
よく使われるステータス例:
ステータス | 定義 |
---|---|
申込 | イベントやウェビナーに申し込んだ状態 |
参加 | 実際の参加や視聴が確認された状態 |
欠席 | 申し込んだが不参加だった状態 |
資料請求 | ホワイトペーパーなどをダウンロードした状態 |
フォロー対象 | MQL条件を満たし、営業がアサインされる状態 |
メール開封 | 受信したリストメールを開封した状態 |
メールクリック | 受信したメール内のリンクをクリックした状態 |
キャンペーンメンバーの運用ルールを決め、組織内で統一したステータス管理を行うことを推奨します。
4. ユースケース
スコアとキャンペーンメンバーの状況を併用することで、見込み客の興味関心の度合いを詳細に把握することができます。 Account Engagementでは、それらを条件にアクションを自動化し、その後の施策をスムーズに実行することが可能です。
ユースケース①:ウェビナーの反応分析と営業連携
- ステータス「参加」& スコア「80以上」→ 営業担当に割り当て&通知
- ステータス「欠席」→ アーカイブ動画リンク付きメールの配信
ユースケース②:資料DLによるMQL創出
- ステータス「資料請求」&スコア「50以下」→ナーチャリング対象リストに追加
- ステータス「資料請求」&スコア「50以上」 → 営業担当に通知&ステータス「フォロー対象」に更新
ユースケース③:展示会やオフライン施策
- 名刺スキャン→ Salesforceキャンペーン「参加」に手動インポート
5. ベストプラクティス
✅ 不要なスコアリングルールの加点は0に設定
✅ スコアは定期的にリセット
✅ キャンペーンメンバーの状況の運用ルールは組織内で統一
✅ ステータスとスコアを条件にしたオートメーションルールで自動化
✅ スコアリングルールとステータス変更条件を定期的に見直し
6. まとめ
スコアは「興味関心の度合い」、キャンペーンメンバーの状況は「施策への関与度」を示します。
この2つを組み合わせて運用することで、より精度の高いリード評価・MQL創出・営業連携が実現できます。何度もPDCAを回し、営業成果を最大化していきましょう。
サンブリッジでは、成果を上げるためのSalesforce-Account Engagementの全体設計から、具体的な設定の支援まで、幅広くご支援しております。
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