~コンサルティングの現場から~
マーケティングオートメーション(MA)の運用に営業支援システム(SFA)や顧客管理システム(CRM)があるとよい理由

技術コラム

コンサルタント

~コンサルティングの現場から~
マーケティングオートメーション(MA)の運用に営業支援システム(SFA)や顧客管理システム(CRM)があるとよい理由

コンサルタント

データを活用したマーケティングに対する注目度は年々高まってきており、多くの企業がデジタルトランスフォーメーションへの取り組みを進めています。近年では見込客情報の一元管理や育成の機能に優れたマーケティングオートメーション(以下MA)の導入を検討している企業も増えてきています。

MA導入を検討している企業様からさまざまなご要望を伺うのですが、中には営業支援システム(以下SFA)や顧客管理システム(以下CRM)ツールを利用した方が良い場合もあります。
以下図1のように、MAとSFAやCRMは顧客の検討プロセスによって得意な領域が異なりますので、可能であればMAやSFA・CRMを連携させて利用するのが理想的です。

図1

図1

しかし、どのような場合にMAだけでなくSFAやCRMを利用した方が良いのか、具体的なことはツールを実際に使ってみないことには判断が難しいという話もお客さまから多く伺います。

弊社サンブリッジでは、MAツールはPardotとMarketo、SFA・CRMはSalesforceという世界的にもシェアの高いツールを扱っており、自社のマーケティングでもMAとSFAを連携して運用しています。
そこで今回は、MAでは何ができなくて、それをSFA・CRMがどのように補っているのか、具体的な例を挙げてMAとSFA・CRMを連携させて運用することのメリットについて解説します。

※以下で述べる「MA」とはPardotとMarketoの機能を参考にしています。ツールによって機能が異なり、当てはまらないこともございますので、予めご了承ください。

SFA(Sales Force Automation):営業支援システムの強み

営業パイプライン・商談管理

SFAは主にBtoB企業で活用されている営業管理のためのシステムです。見込客の獲得から育成までの領域の管理をMAが得意としているのに対して、確度の高い見込客を営業に取り次いだ後の営業パイプラインや商談の管理はSFAの方が優れています。

図2(Salesforce)

図2(Salesforce)

上記の図2はある会社の商談履歴です。SFAでは商談ごとにフェーズや売上金額、粗利金額などを記録として残しておくことができます。また、現在進行中の商談件数や、進行中の商談からの売上見込金額といった収益予測の機能が備わっています。

MAは見込客の管理に特化したツールですので、上記のような商談管理やパイプライン管理の機能は備わっていないことが一般的です。商材リスト(テーブル)を持つことができるSFAは、企業ごとの取引履歴など売上管理においても優れています。MAのなかには、カスタム機能により部分的に同様のことを実現可能なツールもありますが、それでもSFAのように自由に売上管理を行うことはできません。

「企業」単位での取り扱い

また、MAは見込客(リード)を基本単位としているのに対して、SFAでは企業(アカウント)を基本的な単位としているという大きな違いもあります。

近年ではABM(アカウント・ベースド・マーケティング)が新しいマーケティングのトレンドとして注目されていますが、ABMを実践するうえで重要になるのがターゲット企業の選定です。
ターゲットとなる優良企業を選定するためにはSFAに蓄積されたアカウントの過去の商談や売上情報が欠かせません。SFAを活用してターゲット企業を選定し、MAでターゲット企業の見込客を育成するという活用法がABMの王道であると考えられます。

MAでも独自のABM機能を提供しているものもありますが、アカウントの管理はSFAと連携することを前提としていますので、上記の商談管理や売上管理の機能まではありません。アカウントの管理はやはりSFAを利用するのが最適であると考えられます。

CRM(Customer Relationship Management): 顧客管理システムの強み

RFM分析

CRMは顧客との良好な関係を構築することを目的とした顧客マネージメント手法であり、また、顧客管理のためのシステムを意味します。

CRMの目的は顧客のLTV(Life Time Value:生涯価値)を高めることにあります。そのためには、優良顧客は誰なのかを識別し、優先度の高い顧客とそうではない顧客をセグメントすることが重要になります。
顧客をセグメントするための分析手法としてRFM分析がよく使われます。RFM分析とは、Recency (直近購入日)、Frequency (購入頻度)、Monetary (購入金額)の3つの指標で顧客を分類する分析手法です。
最近購入行動が見られるアクティブな顧客で、かつ購入頻度や購入金額が高い顧客が最も優良な顧客ということです。

SFAとの比較でも述べましたが、MAツールは顧客の売上管理は苦手です。そのため、RFMの指標で顧客をセグメントするのはCRMツールで行い、セグメントされた顧客に対して最適なコミュニケーションを実行する作業をMAが担うというのが、CRMとMAツールの両方を導入する際の正しい役割分担になります。

顧客履歴・活動履歴
図3(Salesforce)

図3(Salesforce)

図3はある顧客とどのようなコミュニケーションを行ったかを記録した活動履歴のサンプルです。上記のように顧客とどのようなコンタクトをとったという営業やサポート側の活動履歴や顧客からの問合せ履歴などを時系列に管理することには、MAはあまり向いていません。
SFAやCRMでこれらの情報は管理をして、顧客とのコミュニケーションの中で得られた情報や顧客のフェーズをもとにMAで最適な育成をするという関係性が理想的なマーケティング環境であると考えられます。

以上のように、SFAやCRMにはそれぞれの特長があり、これらを導入することでMAの強みを生かしながら相互補完をすることができます。よりマーケティング・営業活動を強化するために、MAの運用と合わせてSFA・CRMの導入も検討をおすすめします。

~* 顧客や商談の管理・営業活動改善に取り組みの方へ*~
Salesforce導入支援のご紹介

サンブリッジでは、顧客管理(CRM)や営業支援(SFA)システムの代表であるSalesforceの導入・開発・運用支援を行っています。お客様の業務課題に合わせて認定テクニカルアーキテクト率いる経験豊富なプロフェッショナルチームが導入から運用までご支援します。

関連記事