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長期的な検討課題であった大量のレガシー業務ワークフローをSalesforceに集約・一本化を実現

  • Client 三菱UFJ信託銀行株式会社 / 三菱UFJトラストシステム株式会社
  • Industry 金融(MUTB)・情報サービス(MUSK)
  • Business リテール業務、不動産業務、資産金融業務、証券代行業務、受託財産業務、市場業務、システム業務
  • #SFA/CRM
Salesforce導入事例:三菱UFJ信託銀行株式会社

コロナ禍のわずか3ヶ月で1,500にもおよぶ帳票のペーパーレス化とワークフローの標準化を実現した三菱UFJ信託銀行では、次なる取り組みとして長年にわたる検討課題であったレガシーワークフローの統合に向けたプロジェクトを始動。
3年にわたるサンブリッジとのプロジェクト推進の結果、630機能にもおよぶ社内すべての業務ワークフローをSalesforceプラットフォームで構築された業務ワークフロー基盤への移行を完遂した。

導入背景

  • 最長30年以上利用してきた630機能におよぶレガシーワークフローをクラウド化の時代を見据えてSalesforceで構築した全社ワークフロー基盤に統合したい

導入効果

  • ワークフロー集約による操作性の統一により、ユーザー案内の負荷軽減を実現
  • テンプレート機能(共通機能)の提供により、機能修正の効率化と重複要件への
    効率的な対応が可能に

活用用途

  • 全社で利用するワークフロー基盤におけるペーパーレス化
  • テンプレート機能の提供によるコードレスでの機能提供の実現

コロナ禍における帳票電子化プロジェクトを礎に全社ワークフローの変革に取り組む

「信じて、託す。」三菱UFJ信託銀行(MUTB)の業務は預金・為替等の通常の銀行業務に加え、個人や企業が保有する資産を預かり、管理・運用する信託業務も担っている。

同社では、“「安心・豊かな社会」を創り出す信託銀行”というメッセージを掲げ、新しい信託銀行ビジネスの創造に取り組んでいる。

「私たちの業務はMUTBのシステム開発や保守に加え、銀行業務におけるDX推進を担う部署です。帳票ペーパーレス化はコロナ禍がきっかけとなりましたが、現行のOA基盤におけるワークフローを統合するという構想自体は、実はコロナ禍前から検討されていました。」と語るのは、三菱UFJトラストシステム(MUSK)デジタル推進部の栗田 拓弥氏。

三菱UFJ信託銀行株式会社 デジタル戦略部DX統括推進室課長 三宅 浩亮 氏

2020年のコロナ禍において、MUTBでは喫緊の課題となった押印を必要とする紙ベースの帳票の承認フローを在宅での業務に対応すべく帳票電子化プロジェクトを立ち上げ、わずか3か月の期間でSalesforceを基盤としたワークフローシステムを構築し、半年で約1,500種の帳票のペーパーレス化を実現した。しかし、同社で約30年もの間、銀行業務で利用されてきたレガシー業務ワークフローをクラウド時代に即した形に移行することは大きな課題であった。

「多くの金融機関ではレガシー業務ワークフローの利用が長期間続いていますが、MUTBでは、今後クラウド化が進む中でそれらをどうしていくのかという課題感をコロナ禍以前から持っていました。今後の社内でレガシー技術を支える技術者が少なくなる可能性やランニングコストの観点などの多くの検討すべき課題があったため、帳票ペーパーレス化の次の打ち手としてSalesforceで構築した基盤にレガシーワークフローを移行することにしました。」とMUTBデジタル戦略部DX統括推進室課長の三宅 浩亮 氏は語る。

ワークフローをテンプレート化し、設定値の修正で様々な機能を提供

レガシーワークフローの移行に際し、機能のパターン化によるワークフロー設計理解の効率化のため、機能のテンプレート化というシステムコンセプトに基づき開発が進められた。

三菱UFJトラストシステム株式会社 デジタル推進部 グループマネージャ 栗田 拓弥 氏

 

このコンセプトは各ワークフローの機能をテンプレートに当てはめて考えることで、ワークフロー機能の不足や機能そのものへの理解を効率化する。さらに機能のパターン化による要件調整の均一化により、テンプレート機能の有無による対応可否の判断が可能となり担当者ごと要件がブレない判断ができることを目指した。テンプレート機能をベースとしたことで、設定値の修正によるコーディングレスでの機能提供も可能となる。

テンプレート機能によるコンセプトはトップダウンにより社内に浸透し、開発当初はある程度、提供機能のハードルを下げた上で、社内のユーザーと必須要件を積み上げながらシステム開発を進めることが可能になった。

大量のワークフローの移行と、多岐にわたる部門のユーザーとの要件調整の難しさ

これまで業務で利用してきたワークフローの移行に際してデジタル推進部ではプロジェクトを通じて50部署、800名以上の社内ユーザーとの調整やコミュニケーションを行なった。

多種多様なワークフローの移植に必要な要件を要件定義で1つ1つ詳細まで確定させることは非常に難しい。加えて既存のワークフロー機能のリプレイスにおいては、実務を行う部署にとって譲れない要件も生じる。

三菱UFJトラストシステム株式会社 デジタル推進部 飯郷 夏美 氏

「業務に携わる社内のユーザーは、既存のワークフローに慣れているので、新しいテンプレートの仕組みを業務へ当てはめるところやシステム利用の手順を含めて理解していただくための調整やインプットにはかなり時間を割いて対応しました。」とMUSK デジタル推進部の飯郷氏は当時を振り返る。

業務で長年利用され、度重なる差分開発で機能や構造が複雑化してきたレガシーワークフローから新たなテンプレートによるワークフロー基盤への移行に際して単なる機能の移植という観点だけではなく、業務そのもののあるべき姿の見直しも含め、ユーザーの立場に立ちながらFIT&GAPを踏まえて機能の落としどころを粘り強く提案したという。

「既存のレガシーワークフローの利用は30年にもおよびます。それだけに1つ1つのワークフローに対して業務に携わるユーザーの思いがあるわけです。そのワークフローを新しい基盤に移行するわけですから、現場のユーザーの立場からするとこれまで業務で正しいと思っていた方法が変わるわけですから戸惑いもあります。この辺りの調整を飯郷が中心となってやりきってくれました。」(三宅氏)

テンプレート機能を採用したワークフロー基盤のリリースとプロジェクト推進

トータルで630機能に及ぶレガシー業務ワークフローの新しいワークフロー基盤への移行は大きな問題を起こすこともなく無事リリースされた。

多種多様な業務のパターンをテンプレート化することで、将来的なシステム更改の際にも対応箇所の絞り込みも容易になることに加え、様々な業種・業務への展開への可能性が期待される。

「サンブリッジの技術力や提案力は本当に高いと考えています。このような事ができないか?という質問に対して次の日には形として見えるものを提案してくれたことはありがたかったです。」(栗田氏)

サンブリッジはSalesforceプラットフォーム上で早期からの実機確認を支えた提案型の調整を行なった。これにより業務イメージの共有、移行に向けた共有も効率的に行うことができた。

「長年利用していた大量のレガシーワークフローの移行を3年で実現できるということはなかなかできることではありません。これだけの規模のプロジェクトを当社のメンバーと共に短期間に納めたということは非常に良かったと思います。」(三宅氏)

今後の展望 ー 機能リリース後のユーザーとの対話を経てUI改善にも着手

テンプレートを採用したワークフロー基盤は、導入からワークフロー移行を急ピッチで進めたこともあり、業務に関する機能面に着目するポイントが多かったため、ユーザーからは使い勝手の面での要望も多く見られたという。

「テンプレートの機能で相対的には使いやすくなった面もある一方でこれまでとの操作感が異なることへの意見も多く見られました。」(栗田氏)

このようなユーザーの意見に対し、より一層の使いやすさを求め、ワークフロー基盤のUI改善のプロジェクトに着手している。

「テンプレートのコンセプトを掲げたワークフロー移行のプロジェクトを期限内に完遂したことはとても素晴らしいことではありますが、これからも社内の各部部門のユーザーとの対話を続け、より使い勝手の良いシステムにしていきたい。そのためのプロジェクトはまだまだ続きますし、サンブリッジには、これまでのように価値ある提案をしていただけることを期待しています。」と三宅氏は語る。