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担い手農家に対する訪問活動を支援するシステム基盤をSalesforceで構築

  • Client 全国農業協同組合連合会(JA全農)
  • Industry 農業協同組合
  • Business 営業開発、輸出事業、耕種総合対策、米穀事業、麦類農産事業、園芸事業、肥料事業、農薬事業、農機事業、園芸資材・包装資材事業、施設農住事業、畜産販売事業、酪農事業、総合エネルギー事業、くらし支援事業
  • #SFA/CRM
Salesforce導入事例:全国農業協同組合連合会(JA全農)

持続可能な農業生産に向け、生産性の向上やコスト削減、環境負荷削減に向け、技術・資材の実証・普及や新技術開発への取り組みを進めるJA全農の耕種総合対策部では、担い手農家と呼ばれる大規模農業経営体の情報、対応履歴を一元管理するために、Salesforceプラットフォームを活用した「担い手営農サポートシステム」を構築、生産現場におけるJA職員の担い手農家への訪問活動の効率化・質の向上を目指す。

導入背景

  • JA職員数の減少により、業務を兼務するケースが増加。データ管理の方法は業務ごとに異なることが多く、データ入力や業務引継ぎがスムーズに進まないという声が数多く挙がっていた。

導入効果

  • これまでシステムで実現していた訪問活動の登録と情報共有に加え、担い手農家からの問い合わせ管理や案件管理をはじめ訪問活動の効率化が進んだ

活用用途

  • 担い手農家と呼ばれる認定大規模農業経営体に対する地域のJA組織の訪問活動の支援
  • システム刷新を機に、JAの営農経済事業に関わる全ての職員(TAC、営農指導員、営農経済渉外担当など)に活用範囲を拡大

持続可能な農業生産に向けて現場の抱える課題の解決に取り組む

「食と農を未来につなぐ。」をキャッチフレーズとして農畜産物の生産・販売から地域のくらしまで、幅広い領域で事業を展開する全国農業協同組合連合会(JA全農)

JA全農の耕種総合対策部では、持続可能な農業生産に向け、各地域のJAと連携して生産性向上やコスト低減、環境負荷軽減に資する技術・資材の実証・普及や新技術開発などに取り組んでいるが、担い手農家と呼ばれる大規模農業経営体の課題解決に向け、JA職員の担い手農家への訪問活動を通じてさまざまな意見や要望をJAグループの事業に反映する活動も行っている。

生産現場におけるJA担当者の役割は大きく3つに分かれており、農業の技術・経営や農畜産物販売について指導を行う「営農指導員」、営農に際して必要となる農業資材の推進を担当する「営農経済渉外担当」、将来の地域農業を担う担い手農家に日々出向き、その意見・要望を収集し、担い手農家の満足度向上、JA事業基盤の充実を図る「TAC」(タック、Team for Agricultural Coordination)がある。近年、JA職員の減少により、それらの業務を兼務するケースが増加している。データ管理の方法は業務ごとに異なることが多く、データ入力や業務の引継ぎがスムーズに進まないという声が数多く挙がっていた。

耕種総合対策部 アグリ情報室/ 経営企画部 IT・DX推進課 調査役 宗形 義洋 氏

「農家も時代の変化と共に多様化が進んでいます。従来までは中規模農家が同じ品種をこれまでと同じ規模で作っていましたが、大規模化に伴い多様な品種を生産するようになり、ニーズも多様化してきます。大規模農家経営体は農業全体において12%の規模ですが農業生産額全体の77%を占めるようになっています。そして残りの23%の農業生産額を88%の中小規模農家が担う状況なのです。これらの多様なニーズを可視化し、訪問活動を最適化するためには、この2つに対して効果的に使えるシステムの必要性を感じていました。」とアグリ情報室の宗形氏は語る。

そこで、JAの営農経済事業に関わるデータを一元管理できるよう機能を拡充。生産者の基本情報と面談の記録、日報の回覧ができる機能に加え、生産者の栽培面積・品目などの情報や年度別実績額、JA利用率なども管理できるようにした。データから生産者のニーズを導き出し、きめ細かい提案活動・営農指導につなげていく。

九州営農資材事業所TAC・生産対策課 窪田 陸也 氏

「担当者がシステム入力に対して価値を見出すことができないと、スプレッドシートで二重管理をしてしまうので、結果的にシステムによる業務の効率化にはならないという事態になってしまうのです。そして本来は訪問することが主要な業務なのに、それ以外の業務に多くの時間を割いている、この点における改善が急務でした。」(宗形氏)

ブロックごとの拠点である九州営農資材事業所 TAC・生産対策課に所属し、新システムを担い手対応のためにJA職員に提案活動をする窪田氏も次のように語る。「これまでは、職員も、ただ担い手農家に出向くだけで、実績管理もままならない状況でした。そのため、業務においても厳しい評価を受けてしまう。これが原因で担い手農家の対応をする部署がどんどん減っていくという、本来のJAグループの強みが失われつつあるという危機感もありました。」

これらの背景のもと、担い手農家の訪問活動管理における課題の解決のためJA全農では新システムの基盤としてSalesforceプラットフォームの採用を決断した。

年3回のアップデートと豊富なデータ連携、グローバルなクラウドであることへの信頼

担い手農家ひとりひとりの情報を総合的に管理をすることを目的として採用されたSalesforceは、他の全国域JAグループの訪問管理システムとの親和性の高さに加え、Salesforceの年3回の機能アップデートと豊富なデータ連携が大きく評価された。Salesforceがグローバルなサービスであることによる信頼感も新システムの基盤としての採用を後押しした。

「Salesforceであれば、セキュリティや個人情報の取り扱いに関しても高水準なレベルで対応していただけるという安心感もありました。」(飯田氏)

JA全農がSalesforceの採用決定後、システム開発におけるニーズを検討した結果、プロジェクトにはサンブリッジが参画することとなった。

JA全農が求める開発体制に応じて、不安なくプロジェクトを推進

新システムとなる担い手営農サポートシステムの開発に際し、従来できていたことや、新たに実現したい機能要件の検討を含めて全農内部での調整には苦労したという。

耕種総合対策部 アグリ情報室 飯田 奈緒 氏

このプロジェクトの推進にあたりサンブリッジはJA全農が求める開発体制を用意、コロナ禍において、オンライン主体のコミュニケーションが求められる状況の中、きめ細やかな対応を心掛けたことが全農に評価いただけた。

「私たちはシステム開発に関してはあまり詳しくはないので、Salesforceの構造も含めて理解することに時間を要しましたが、要望なども難しいところを紐解いていただき、スケジュール管理も含め、向かうべきゴールに導いていただいたことには非常に感謝しています。」(宗形氏)

地域のJAとの調整にも多くの時間を割いて対応したと語るのは飯田氏。「地域のJAごとに要望は異なるので、その取りまとめには苦労しました。各JAでやりたいことと、実際にシステムの機能で実現できることなどを相談しながら、取捨選択をすることに努めました。」

旧システムが2024年3月末に完全停止するためそれまでにシステムのスムーズな移行が必要となる。そのため1月末にユーザーアカウントを発行し、3月末には、利用開始ができるように2023年8月から操作研修会を実施した。県域の全農職員がJAへ説明できるよう研修会のパッケージングなど含め、スムーズな導入のために様々な部門間の調整とシステムの認知を高める活動を行なったという。

今後の展望 – システムの利用を通じて地域のJAと全農が同じ目線で業務に取り組む

現在全国のJAで約2,500人のユーザーがこの担い手営農サポートシステムの利用をしている。

従来のシステムでは担い手の情報を登録し、共有するだけで終わっていたものが案件管理や実績についての集計・分析もできるようになってきたという。

「JAにおいてもシステムの変更は大変なことではあるのですが、それを差し引いても、機能的な面において従来のシステムよりできることが増えたこともあり利用者も増えてきている状況です。」(宗形氏)

地域のJAにおける組織改革を進めるにあたり、担い手営農サポートシステムの提案活動に携わる窪田氏は次のように語る。「このシステムを利用するメリットは、誰でも同じ目線で、誰でも簡単に使えるところだと思います。システムの利用が進むことによって広域拠点の事業所がレベルアップして、次は県単位でレベルアップしていく、皆が同じ目線で業務を行えるようになってくることが理想なのではないかなと思います。」