Home keyboard_arrow_right Works keyboard_arrow_right AWS導入事例:株式会社サンブリッジ(SmartVisca)

AWSによるサーバーレス化で名刺デジタル化の納品時間を60%短縮、システム停止ゼロでの運用を実現

  • Client 株式会社サンブリッジ(SmartVisca)
  • Industry 情報処理・通信・インターネット
  • Business クラウド ソリューション事業、 クラウド製品開発事業、教育事業
  • #AWS
AWS導入事例:株式会社サンブリッジ(SmartVisca)

サンブリッジが提供するSalesforce一体型名刺管理サービス「SmartVisca(スマートビスカ)」開発チームは、サービスの成長に伴い、レガシー化したシステムの刷新と運用負荷の軽減という大きな課題に直面していた。この課題を解決するため、開発チームはサービス基盤にAmazon Web Services(AWS)のサーバーレスアーキテクチャを採用、パフォーマンスの劇的な向上と運用保守の効率化を同時に成し遂げた。

導入背景

  • 旧プログラムのレガシーコードは、度重なる改修で複雑化し、セキュリティと安定性の観点から抜本的な書き直しが不可欠な状況だった

  • インフラ維持のための工数が毎月発生しており、本来のプロダクト開発に専念できる環境作りが求められていた

導入効果

  • データ納品のリードタイム短縮
  • メンテナンスフリーの運用
  • セキュリティと信頼性の向上
  • 監視精度の向上

導入製品

Amazon RDS (Multi-AZ)AWS LambdaAWS FargateAmazon S3Amazon EventBridgeApplication Load BalancerAmazon CloudWatchAWS CloudTrail

活用用途

  • クラウドサービス提供基盤の刷新と安定運用
  • 新機能の提供

Salesforceの効果を最大化する名刺管理

サンブリッジが提供するSalesforce一体型名刺管理サービス「SmartVisca」。 「名刺」という伝統的かつアナログな顧客接点を、Salesforceというデジタルプラットフォームへシームレスに繋ぎ、理想的なデータベースを構築することで、Salesforceを活用する企業の営業活動やマーケティングの効率化を支援している。

Salesforceへの顧客情報の登録という、活用に向けた最重要課題を解決するために開発された本製品は、2011年のサービス開始以来、800社を超える企業に採用されている。Salesforceのビジネス向けアプリマーケット「AppExchange」において、2024年には新規導入件数で1位を獲得する実績を誇る。

SmartViscaは、Salesforceのパッケージアプリ、各種クライアントアプリ(iOS/Android/Windows)、名刺をデジタル化するためのクラウドサービスで構成される。

SmartViscaの開発チームは、サービス開始以降の様々な課題を解決するためのメジャーバージョンアップと共に、旧来の環境に構築されたレガシーシステムから、AWSによるサーバーレスアーキテクチャを採用した新システムへの移行を検討していた。

レガシーコードと直列バッチ処理によるタスクの「滞留」が成長のボトルネックに

旧来のSmartViscaのシステムには、ビジネスを継続するにあたり、以下の3つの課題があった。

1. ソースコードのレガシー化が技術的負債に

旧来のプログラムは、バージョンアップのための改修を繰り返す中でコードが複雑化していた。

また、実装言語であるPHPのバージョンがサポート期限(EOL)を迎え、アップデートを行うにはプログラムのコードを大幅に書き直す必要があり、技術的な負債となっていた。セキュリティと安定性の観点からも、抜本的な対策を行うことが不可欠な状況であった。

2. デジタル化処理の遅延によるデータ滞留問題

ソースコードの問題に加え、名刺デジタル化処理の仕組みにも課題があった。旧システムでは、スマートフォンでの撮影やスキャナーから送信されたすべての画像データのデジタル化を直列(シングルスレッド)のバッチ処理で実行していた。そのため、特定の顧客から大量の名刺が送信された場合や、処理中にエラーが発生した場合、後続でデータ納品を待つ他の顧客の処理まで滞留・遅延してしまうという構造的な問題を抱えていた。

3. サーバーインフラ管理工数の負担増

開発チームが運用業務も兼任しているため、仮想サーバーのOS(Linux)へのパッチ適用やディスク容量の管理など、インフラ維持のための運用工数が積み上がっていた。本来の業務であるプロダクト開発に専念できる環境作りがメンバーからも求められるようになっていた。

これらの課題に加え、2020年に当時契約中であったクラウドサービスの終了が重なり、開発チームは新しいサービスインフラとしてAWSへの移行を決断した。

クラウドサービスでの圧倒的な市場シェアと「サーバーレス」への挑戦が決め手

サーバーの移行先としてAWSを選定した最大の理由は、圧倒的な市場シェアと情報の入手しやすさ、そしてプラットフォームとしての信頼性にあった。

サンブリッジ クラウドインテグレーション事業部 プロダクト開発グループ 統括マネージャーの今泉 裕之は、AWSへの移行に際して、単なるサーバーの移設ではなく「PaaSへの乗り換え(サーバーレス化)」を重視したと語る。

「システムの刷新に際して、仮想サーバーのメンテナンスを完全に排除したかった。特にチームの運用におけるインフラ管理の工数を削減し、常に製品のために最新の技術を取り込める環境にしたかったのです。(今泉)」

AWSの複数サービスの組み合わせによる新システムでパフォーマンスと品質を向上

SmartViscaの新システムでは、可用性と拡張性を最大限に高めるため、AWSの各種サービスを活用し、以下の実装を行った。

1. サーバーレスによる並列処理の実装

AWS LambdaやAWS Fargate(Amazon ECS)などを採用。旧システムの課題であった直列処理を並列処理へと書き換えることで、処理の待ち時間を解消した。

2. フルマネージドサービスの活用

データベースにはAmazon RDSのマルチAZ構成(Multi-AZ DB cluster)を採用し、高い可用性を確保。静的ファイル管理にはAmazon S3、イベント管理にはAmazon EventBridgeを活用し、システム全体の堅牢性を高めている。

3. マルチAZ構成による冗長化

東京リージョン内のアベイラビリティゾーン(AZ)を活用し、 3 つの AZ に分散する冗長構成でシステムを構築した。


これらの実装により、運用負担は大幅に軽減され、サービスのパフォーマンスも飛躍的に向上した。

データ納品のリードタイム短縮

処理の並列化とOCRサービスの刷新により、名刺データの1次納品のリードタイムを「最短5分」から「最短2分」へと大幅に短縮した。

メンテナンスフリーの運用

OSへのパッチ適用などの手作業が不要になり、システムのアップデートも無停止(ゼロダウンタイム)で実現可能となった。これにより、従来システム更新の都度に必要であった「システム更新に伴うシステム停止のお知らせ」をユーザーに通知する必要もなくなった。

セキュリティと信頼性の向上

「お客様の製品検討時におけるセキュリティチェックへの回答を、AWSの信頼性に委ねられるようになったことが大きい。自前でサーバーを運用する場合、すべての脆弱性に対応する必要があるが、サーバーレス化によってそのリスクと対応工数を圧倒的に削減できました。(今泉)」

監視精度の向上

Datadogなどの監視ツールとの連携により、問題が顕在化する前に対策が可能となり、システム障害発生時の対応工数も削減された。

今後の展望:AI活用でさらなる機能改善へ

現在、サンブリッジではAWS上でAIを活用した新たな機能改善を視野に入れている。AWSのサーバーレス基盤に移行したことで、新機能への取り組みも以前より格段に容易になったという。

またサンブリッジでは、AWSの生成AIを活用した社内ヘルプデスクのPoCをはじめ、SalesforceのAgentforceをSmartViscaのサポート業務へ活用するなど、AI活用の取り組みを積極的に実施している。

「日々新たなセキュリティリスクを検討しなければならない状況を考えると、AWSを利用したサーバーレス環境には圧倒的な信頼感があります。運用面の工数が削減できたことで、新たな機能改善に注力できます。将来的にはAI活用によってさらなるサービス向上を進めていきたいですね。(今泉)」