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社内ヘルプデスク業務を支えるシステムをService Cloudに移行、ライセンスコスト削減とUX改善を実現

  • Client 株式会社ビックカメラ
  • Industry 小売業
  • Business カメラ、ビジュアル製品、オーディオ製品、パソコン、OA機器、携帯電話、家電製品、時計、ゲーム、メガネ・コンタクト、医薬品、玩具、スポーツ用品、寝具、酒類等の販売
  • #SALESFORCE
Salesforce導入事例:株式会社ビックカメラ

大都市圏のターミナル駅前に店舗を構え、祖業であるカメラをはじめ家電製品を中核に様々な商品を販売する株式会社ビックカメラは、社内ヘルプデスク業務で利用するシステムの課題に対応するため、Service Cloudを基盤とする新システムへ移行した。これによりライセンスコストの削減を実現した。さらに、各種問い合わせ画面を見直してユーザビリティ改善を実現した。

導入背景

  • 社内ヘルプデスク業務を支えるシステムは、年間のライセンス費用が高額であり、システムの保守や改修も外部に委託する必要があるため、運用面でコストメリットを見出しづらい状況にあった。
  • 旧システムは社内ユーザーから使いにくいとの指摘があった。

導入効果

  • ライセンスコストが20〜30%削減できた。
  • 申請画面のユーザーエクスペリエンス(UX)が改善できた。

活用用途

  • ITサービスマネジメント*、社内ヘルプデスク

社内ヘルプデスク業務を支えるシステムをSalesforceに移行する一大プロジェクト

「“お客様喜ばせ業”をつなぎ、期待を超える」をパーパスとして掲げ、企業理念である「専門性と先進性で、より豊かな生活を提案する進化し続ける”こだわり”の専門店の集合体」を目指す株式会社ビックカメラ

大都市圏の駅前に展開するリアル店舗を中核とし、カメラ、パソコン、家電、日用品、スポーツ用品、玩具など様々な商品を販売する同社の店舗およびECは、多くの消費者に利用されている。

様々な商品を販売する同社では、単体で約4,800名、連結では11,500名を超える従業員が勤務しており、社内ヘルプデスク業務を支えているシステムの運用面において課題を感じていた。

本プロジェクトにて、プロジェクトマネージャーを務めたビックカメラ情報システム部システム企画室次長の西村氏は次のように語った。

情報システム部 システム企画担当 次長 西村 典晃 氏

「従来利用していたシステムは、複数年での契約が前提であり、単年度での契約では契約更新の度にライセンスのコストが上がるビジネスモデルであったため、IT費用の投資対効果を見出すことが難しい状況となったことがきっかけでした。さらに、システムへの機能追加等の改修を外部ベンダーに依頼する必要があった上、ユーザーインターフェースも現場の利用者から使いにくいとの声が多く寄せられており、これらが運用上の課題となっておりました。」

このシステムはビックカメラ社員からの問い合わせを管理する目的で利用されており、社内ヘルプデスク業務を支えていた。そのため、ヘルプデスクで受けた問い合わせ履歴の管理、情報システム部への開発・改修要望といった作業依頼の管理、社員に貸与するパソコンやスマートフォンなどの機器の申請管理などと多岐にわたる機能が求められていた。

本プロジェクト開始前にビックカメラ社内にて旧システムの課題を検討し、Service Cloudがライセンスコストおよび製品の機能面において、情報システム部やユーザーが求める要件に対応可能であるという結論に至った。

また、ビックカメラはこれまでコールセンターシステムなどの構築をはじめとするSalesforce製品を使ったシステムの内製開発を実現する組織づくりを進めてきた経緯もあり、今回の社内ヘルプデスク業務を行うシステムのプラットフォーム移行を決断した。

プロジェクトのSalesforce開発パートナー決定

ビックカメラは本プロジェクトを進めるにあたりセールスフォース・ジャパンから紹介を受けた複数のパートナーの中からサンブリッジを選定した。

サンブリッジを選定した理由について西村氏は次のように語った。

「提案の内容はもちろんですが、プロジェクトというのは関わる人が重要だと考えています。私が担当した過去のプロジェクトにてベンダーがドライに線引きして問題解決に非協力的であった経験があったのですが、サンブリッジは課題に一緒に向き合ってくれそうな会社だと感じたところが大きいです。」

ハイブリッド型でのプロジェクト進行とビックカメラ内製開発チームと共同開発を実施

サンブリッジはシステム開発においてハイブリッド型の手法を採用した。システムの要件定義・基本設計はウォーターフォール型で進め、機能の開発・テストはプロトタイプを作って実際にシステムを利用するユーザーも含めて確認するアジャイル型にてプロジェクトを推進した。機能開発をアジャイル型で進めることで、ユーザーとしては利用するシステムの将来像をイメージすることができ、開発のやり直しなどの手戻りが少なくなる効果があった。

情報システム部 システム企画担当 主任 木嵜 雄也 氏

本プロジェクトにて、プロジェクトリーダーを務めたビックカメラ情報システム部システム企画室主任の木嵜氏はサンブリッジのプロジェクト推進について、次のように語った。

「旧システムにて構築されていた、社員データをAzure AD (Active Directory) へ連携する仕組みについて、社内でも全てを理解している人が少なく、初期段階の設計書が残っているのみでした。その情報を紐解くことに時間を要してしまい、設計時に社内に口伝として残っている業務仕様を定義することが出来ませんでした。しかし、機能開発をアジャイル型のアプローチにしたことで仕様を取り込むことが出来て、システムリリースを達成することができました。」

ハイブリッド型のプロジェクト推進に加え、ビックカメラの内製開発チームと共同開発を実施した。新しい社内ヘルプデスク業務を支えるシステムは、ユーザーが申請する申請画面をHeroku上で構築し、ユーザーからの申請データをService Cloudへ連携している。

本プロジェクトにて、ビックカメラの開発チームリーダーを務めた情報システム部システム開発室係長の佐藤氏はサンブリッジとの共同開発について、次のように語った。

「私たちにとって開発経験の少ないHerokuについて、一から打ち合わせの場を設定していただいただけでなく、トリガーなどのSalesforce側の各種機能面についても対面で支援をいただきながら開発できたことがとても良かったと思っています。また、プロジェクトの進め方についても、今後の内製化に向けて非常に参考になりました。」

新システム導入の効果 – ライセンスコスト削減とUX 改善

ビックカメラの社内ヘルプデスク業務を支えるためにリリースされた新システムは移行前の旧システムに比べ、ライセンスコストが20〜30%削減できたという。また、ユーザーが申請を行う申請画面のUX改善についても利用者からの反応は良好だ。

「UX改善を実施した申請画面は、ユーザーから使いやすくなったとの評価をもらっており、改善効果を実感しています。バックエンドで運用室が利用するService Cloudは、導入当初、操作に慣れないメンバーもおりましたが、メンバーへひとつひとつ丁寧に対応を進めた結果、理解が深まり、『使いやすい』という声も聞こえるようになっています。」(木嵜氏)

今後の展望 – 顧客満足度の向上に向けて、業務改善と内製化の更なる推進を目指す

ビックカメラは顧客満足度の更なる向上に向けて、新たな技術の利用も視野に入れ、Salesforceによる業務改善への取り組みを進める方針だ。

「Salesforceには多くの機能があるので、ヘルプデスク業務のひとつを取り上げても改善できるトピックがたくさんあります。新しい技術の活用や、すでにお客様向けのコールセンター業務で改善している機能等も取り込んで、ヘルプデスク業務で対応する工数の削減を目指していきたいと考えています。」(西村氏)

Service Cloudで構築した新システムの利便性の向上についても内製化による改善活動を継続して行っていくとのことだ。その中でサンブリッジへの期待も大きい。

「サンブリッジさんは、言いにくいこともきちんと伝えてくれます。プロジェクトについて、きちんと結果を出していただけると思っていますので、これまでと変わらぬ支援とお付き合いをお願いできればと思います。」(西村氏)

※2025年5月に取材


* ITサービスマネジメント:利用者のニーズにあったITサービスを提供するための活動全般。