これからSalesforce導入を検討している方々にとって、他社がどのように利用しているかという情報は自社活用のヒントになります。特に同じ業界や課題をもっている企業の場合は、参考になる点も多いでしょう。
そこで今回は、Salesforceを導入している企業について、スクールや大学など教育関連業界の活用例をご紹介します。
事例1:商談や学生の一元管理および学生向けのポータルサイトをSalesforceで構築
【導入製品】Sales Cloud、Community Cloud
出典元:https://www.salesforce.com/jp/customer-success-stories/
最初にご紹介するのは、大学やスクールの運営のほか、企業への教育研修やコンサルティングサービスを提供している企業の例です。顧客管理から学生ポータルの構築まで、幅広くSalesforceを活用しています。
Salesforce導入前の課題・背景:
- 同じ企業の異なる部署から問い合わせがあった際、情報の一元管理ができていなかった
- 一人の学生が複数の学校を見学した際、スクール間で情報の共有ができていなかった
- 学生にポータルサイトを提供していたが、アクセス集中時におけるレスポンス低下やカスタマイズのしづらさなど、運用における問題を抱えていた
- カードリーダーにより出席率を手動で管理していたため、出席の少ない学生のタイムリーなフォローが困難だった
このような状況を改善するため、2010年にSalesforceを導入。さらに5年後、学生ポータルを移管するために、Community Cloudが導入されました。
Salesforce導入後の効果:
- Sales Cloudにより、法人企業に対しては、営業活動の重複や機会損失がなくなり、生産性が向上。また、志願者に対しては、Sales Cloudに情報を共有・集約することで、各拠点のスタッフが志願者の状況にあわせたアプローチや対応が可能になった
- Community Cloudによる学生ポータルでは、授業のスケジュール変更や成績の管理をモバイルから確認できるなど、学生にとっても利便性が向上した
- 学生の履修状況や対応履歴などの情報がSalesforceに集約され、権限設定により必要な情報のみ教職員がアクセスできるようにすることで、情報の集約と適切な共有が可能となった
- 学生の出席率が低下した場合は、自動でのアラート通知によりタイムリーな対応が可能となり、出席率の向上を実現
パッケージシステムよりも拡張しやすく、スクラッチ開発よりも費用や期間もおさえられるSalesforceのメリットを活かした例といえます。
サンブリッジでは、営業支援(SFA)や顧客管理(CRM)システムの代表であるSalesforceの導入・定着化支援を長年行ってまいりました。お客様の悩みに合わせて認定テクニカルアーキテクト率いる経験豊富なプロフェッショナルチームが業務改善をご支援します。
事例2:異なる基幹システムを統合し業務の大幅な効率化をSalesforceとHerokuで実現
次は、サンブリッジがsalesforceの導入支援をさせていただいた株式会社リンクアカデミーの事例です。。同社は、株式会社アビバと大栄教育システム株式会社の経営統合により設立され、全国100箇所以上にスクールを展開しています。
【導入製品】Force.com、Sales Cloud、Heroku、OPROARTS
Salesforce導入前の課題・背景:
- アビバと大栄教育システムそれぞれで異なる基幹システムが使われており、日々の業務が煩雑化していた
- アビバでは、営業管理、受講生管理、契約・受講管理のシステムを使っており、営業数値や管理帳票の掃き出しに大きな労力と時間がかかっていた
- 大栄教育システムの方は、運用面の制約があり、帳票の掃き出しは担当者がExcelで実施していた
上記のように、事業統合により一つの会社で異なるシステムが混在し、それぞれの運用にも課題を抱えており、このような状況を解決するためSalesforceを導入することになりました。ボトルネックとなっていたバックエンドの基幹システムはSalesforceで構築し、出席管理のシステムはHerokuを採用し、以下のような改善効果が得られました。
Salesforce導入後の効果:
- 3万人以上の受講生と講座の組み合わせが無限にあるなか、受講生の情報をワンストップで管理し、グループ会社とのデータ連携も効率的に行えるようになった
- 帳票システムは「OPROARTS」を採用し、15種類を超える帳票による、見積、契約、受講管理などの業務効率が大幅に改善された
- 入力業務の大幅な低減、業務フローの各プロセスのシームレスな連携により、ヒューマンエラーも減少。業務効率が大幅に改善されたことから、従業員のモチベーション向上につながった
大規模なシステムを統合・整備することにより業務が効率化し、担当者の意識向上にもつながった点は、多くの職場で参考としていただける改善例だと思います。
本事例の全記事は、株式会社リンクアカデミーsalesforce導入事例 をご覧ください。
本事例の全記事は、こちらをご覧ください。
Salesforce導入事例:株式会社リンクアカデミー
基幹システムの統合で業務効率の大幅な改善を実現
事例3:新規プログラムの立ち上げから学生支援の構築までSalesforceで実現
最後は、海外の例をご紹介します。College for Americaというアメリカの学校におけるSalesforceの導入事例です。
【導入製品】Sales Cloud, Service Cloud, Pardot
出典元:https://www.salesforce.com/jp/customer-success-stories/
Salesforce導入前の課題・背景:
- 準修士号のプログラムを4か月で立ち上げることが急務となる
通常のシステム開発では、要件定義や合意形成などに多くの時間を必要とするため、4か月という短期間で任務を達成させるには、スピーディーで拡張性が高いSalesforceが良いと担当者が考えたことから、導入が決まります。
Salesforce導入後の効果:
- 学生の申し込みから卒業までのプロセスをSalesforceに記録し、カスタマイズも加えてさまざまなソリューションをSalesforceに統合したことにより、すべての学生情報をSalesforceからアクセスできるようになった
- 学生の授業の進捗状況も把握できるようになり、学生が課題の取り組みに困っている場合にはアラートで通知。スタッフが早めにサポートできる体制を構築した
- Salesforceのナレッジ機能を使い、学生が自分自身で調べることができる環境を整えるとともに、Live Agentを通して、学生の質問にチャットで答えるサポート体制を構築
プログラム立ち上げを目的に導入したSalesforceですが、その後、さまざまな機能を取り入れて学生を支援する仕組みを構築した点は、最初にご紹介した国内の例とも共通しています。
以上、国内および海外の事例を紹介しました。
教育サービスでは、顧客である志願者の獲得だけでなく、入学後の授業管理や契約・売上管理など、業務内容が多岐にわたります。また、学生との関係維持や卒業までの支援なども欠かせません。今回ご紹介した企業や学校のケースは、あらゆる業務やデータを集約し、拡張性に高いSalesforceをうまく活用している例といえるでしょう。
なお、2019年3月には、慶応義塾幼稚園でもSalesforceの導入が決まったと発表がありました。少子化で学生獲得の競争が激しくなっているという話題はよく耳にしますが、学生や保護者にとって魅力のある仕組みづくりにITを活用するという企業や学校は今後も増えていくのではと思います。
出典元:
Salesforce お客様事例
https://www.salesforce.com/jp/customer-success-stories/
https://www.salesforce.com/in/customer-success-stories/
慶應義塾幼稚舎がSalesforceを採用 〜教職員・児童・保護者がつながるコミュニティを構築〜
https://www.salesforce.com/jp/company/news-press/press-releases/2019/03/190319/
【SFA/CRM比較表】
SFA(営業支援システム)の選び方5つのポイント解説機付き
自社に最適なもの選ぶ際に特に検討したいポイントを解説しながら、Salesforceを含む代表的なSFA/CRMのサービスを比較表にしてまとめした。