顧客データベース作成はExcelとCRM/SFAどちらが良い?メリット・デメリットを徹底解説!

技術コラム

顧客データベース作成はExcelとCRM/SFAどちらが良い?メリット・デメリットを徹底解説!

近年、顧客の増加に伴い、従来のような顧客情報管理では適切かつ安全に管理することが難しくなりつつあります。 以前は顧客台帳のように紙で管理していた顧客情報をデータ化し、顧客データベースを作って管理する企業が増えています。 顧客データベースを作成することで、企業だけでなく顧客にとってもメリットが生まれます。

本記事では、それらのメリットと顧客データベースを作る手段はExcelやAccessなどのツールとCRM/SFAを使った構築のどちらが良いのか、それぞれのメリット・デメリットもあわせて解説します。

そもそも顧客データベースとは?

顧客データベースとは、顧客の氏名や住所、勤務先、電話番号やメールアドレス、製品の購買や問い合わせの履歴、営業活動の記録など顧客に関する情報を蓄積・管理するものです。

Excelやスプレッドシートなどの表計算ソフトを使って作成する場合もあれば、CRMなどの顧客管理システムを使って顧客データベースを作る場合もあり、近年では後者の顧客管理システムを活用する企業が増加傾向にあります。顧客データベースは企業活動の中核を担う非常に重要な情報システムです。

顧客データベースを作るメリット:企業編

顧客データベース化する点において、企業にとってのメリットと、顧客にとってのメリットの双方があります。まずは企業にとってのメリットから見ていきましょう。

営業機会損失の防止につながる

紙で顧客情報を管理している場合、顧客ひとりの情報が複数のページに分散してしまったり、古い情報は別の台帳を確認しなければならないなどの問題があり、「この顧客がいつ何を購入または利用していて、どれくらいリピートしているのか」といった情報を把握しづらくなります。その結果、クロスセルやアップセルといった営業機会を逃してしまうことにつながります。

一方、顧客データベースに情報を集約して一元管理することで、営業やマーケティングの担当者は顧客情報を効率よく確認でき、上記で述べたような機会損失を防ぐことができるのです。

顧客データを社内で共有できる

顧客データベースを構築することで、自分が担当する顧客情報だけでなく、他の従業員が担当する顧客データも共有できるようになります。自分が担当する顧客が過去に社内の他の担当者と接点があったのかどうか、また接点がある場合はどんな対応をしてどんな結果になったのかを確認したうえでアプローチを開始できるため、より適切な対応をとることも可能になります。

また、自分が担当する契約済の顧客からカスタマーサポートに問い合わせが入った際にも、サポート担当者がどのようなフォローを行い、課題は解決したのか、それとも継続対応中なのかといった状況もリアルタイムに把握できます。

顧客情報を探しやすくなる

特定の顧客情報を探したい時に、数ある顧客ファイルから対象の顧客を探し出すのも一苦労ですが、データベース化されていれば、氏名やメールアドレスなどの個人情報はもちろん、顧客データに含まれるすべての情報で検索することができるようになります。これにより無駄な時間を省くことができ、業務効率の改善といったメリットが期待できます。

データをさまざまなツールと連携させて活用できる

たとえばCRMなどのシステムで顧客データを構築した場合、顧客データを会計システムや名刺管理、プロジェクト管理、MA(マーケティングオートメーション)などのシステムと連携させることで、1度データを入力するだけで各システムへ自動的にデータが登録・更新され、二重管理やデータの重複の防止につながるため、業務生産性が大きく向上します。

顧客分析ができる

データベース化することで、集計やグラフ化を通して顧客の購買傾向や利用傾向などの分析を行いやすくなります。
たとえば、顧客がどの製品やサービスを利用しているのか、どのような業種や職種の方に利用されているのか、またそれらの顧客の声もデータベースで一元管理している場合は、サービスや製品の強み、改善点なども見えてきます。昨今では、顧客データベースとAIを連携して分析を行う企業も増えてきており、ますます顧客データの重要性が増しつつあります。これらの分析を行うためにも、こまめに顧客情報を更新しておくことで、より分析結果の精度も向上します。

顧客データの分析に関してはこちらの記事でも解説しています。

▼顧客データの収集・活用方法について解説!
データ統合・分析の必要性についても知ろう
https://www.sunbridge.com/blog/column/how_to_collect_customer_data/

データに基づく戦略的な営業ができる

顧客分析をすることで、売れ筋商品の把握や顧客属性を定量的に把握でき、それによりクロスセル(関連製品の販売)やアップセル(顧客単価向上)などのご提案が可能なのか、どんな属性の企業が高い利益を生み出すロイヤルカスタマーになり得るのかといった傾向を把握し、経験や勘ではなくデータに基づく営業活動ができます。

バックアップが容易になる

顧客データがヒューマンエラーやウイルス感染、外部からのサイバー攻撃によってデータが損壊してしまうといったこともあり得るため、定期的なバックアップは必須と言えます。しかし、顧客データが複数のシステムに散らばって存在している場合、すべてのバックアップを取るのは非常に手間がかかり非効率です。

そこで、顧客データベース化して管理することでバックアップにかかる工数を大きく短縮できるうえ、もし万が一のことが起きた場合でもすぐにデータ復旧しやすく、ビジネスへの影響を最小限にとどめることができます。

顧客データベースを作るメリット:顧客編

顧客が属する業種や職種、役職などの属性情報のほか、製品やサービスのニーズや課題感を顧客データベースに蓄積・管理することで、より良い情報提供が可能になります。

また、顧客データベースに営業活動状況を記録しておくことで、複数の担当者から営業電話が何度もかかってくるといったこともなくなるといった利点が生まれます。これはBtoBはもちろん、BtoCビジネスにおいても同様といえます。

顧客データベースはExcelで充分?それともSFA・CRMのようなシステムを使うべき?

顧客データベースを構築しようとなった時に、まず無料から始めるのか、それとも有料のシステムを使うのかといった検討が必ず必要になります。無料で作れる顧客データベースには、Excelやスプレッドシート、Accessなどのソフトを使ったものや、無料の顧客管理システムを活用するといった方法があります。これらのものは無料なだけに手軽に始めやすい一方で、運用面やセキュリティ面で不安が残りがちです。

ここではExcel・顧客管理ツールそれぞれのメリットとデメリットをご紹介します。

顧客データベースをExcelやAccess、スプレッドシートで作成するメリット

ExcelやAccessといったオフィスソフト、Googleスプレッドシートなどのツールは日常的に使い慣れた操作感で入力・管理ができ、かつ導入コストもかからず、すぐに始められる点が最大のメリットです。関数やマクロを活用すれば、入力効率も高めながら運用ができます。

反対に、ExcelやAccess、スプレッドシートで作成すると生じるデメリット

運用上の負担やリスクが生じる

これらのツールはそもそも顧客管理を目的として作られていないため、運用上さまざまな不便さが生じたり、個人情報保護の観点から推奨されない以下のようなデメリットも存在します。

ファイルが重くなるとスピーディーな登録や更新ができない

顧客情報が増えたり複雑なマクロを組んでいるとデータ量が非常に大きくなってしまい、ファイルをなかなか開けない、一つひとつの作業に時間がかかるなどの操作性がかなり悪くなってしまいます。

古いデータで上書きされてしまうリスク

皆さんの職場でも、バックアップファイルやコピーファイルがいくつもフォルダ内にあり、どれが最新のデータなのか判らなくなってしまうといったことがあるのではないでしょうか。誤ったファイルで更新・保存してしまうと、正しいデータが古いデータで上書きされてしまうということも起こります。

個人情報漏洩のリスク

ExcelやAccess、スプレッドシートは簡単にコピーでき、顧客データをUSBに入れて持ち歩いて紛失したり、メールに添付して誤った宛先に送ってしまうといった個人情報漏洩のリスクをはらんでいます。

データを業務に活用しにくい

登録された顧客データや営業データを分析しようとしても、膨大な情報から必要なデータを整理・集計・分析するにも、正確なデータを抽出するのは至難のワザといえます。これは入力する担当者ごとに表記ゆれなどで重複・ミスが発生し、顧客データが汚れてしまったり、データ量が大きいためにファイルを分割しており集計に時間と手間がかかってしまうことが要因としてあります。

ファイルの破損や突発的なトラブルによって開けなくなる場合がある

ExcelやAccessなどのオフィスソフトはふとした拍子に破損して開けなくなってしまったり、WindowsなどのOSアップデートにより突然開けなくなってしまうといったことが起こります。ファイルが破損した場合、バックアップをとっていなければ企業にとって多大な損失となり、バックアップを取っていたとしても最新の情報は失われてしまいます。

顧客管理ツールで顧客データベースを構築するメリット

膨大な顧客情報を複数人で一元管理できる

CRMやSFAなどの顧客管理システムを使えば、数万件、数十万件という顧客データがあっても、ファイルが重たくて開けないといったことや、誰かが編集しているからファイルを開けない、更新しづらいといった支障もありません。複数メンバーで情報を同時に更新・顧客情報を集約して一元管理できるため、スムーズな顧客対応と情報確認が実現できます。

機能を活用して素早く適切な顧客対応・営業活動の効率化を実現

チャット機能を搭載した顧客管理システムなら、「メンション」という機能を使って社内関係者と素早く連絡を取ることができ、トラブル時の情報共有や営業活動のアドバイスをメールよりも素早く、手軽に実行できます。また、顧客データの重複が発生している場合はアラートを表示してすぐに修正できるツールもあります。

顧客データの分析や表作成にかかる時間を削減

業種や部署、役職、製品ニーズなど、特定の条件に合致する企業や顧客だけを抽出する「レポート」機能を活用すると、自社製品やサービスがどんな属性のお客様に選ばれているのか、平均受注金額や受注予測などの分析を効率化し、浮いた時間を顧客対応に充てたり残業時間を削減するといった効果が生まれます。また、アタックリストや担当変更時の引き続きリストの作成をすぐに完了できます。
※一部の無料システムでは上記でご紹介した機能を搭載していない場合があります。

情報セキュリティが向上する

前述で、Excelやスプレッドなどの管理では外部への持ち出しや紛失といったセキュリティリスクが高いことをご紹介しました。 CRM、SFAなどの顧客管理システムでは、顧客データにアクセスする際にIPアドレス制限や二段階認証といったログイン認証が必須なため、顧客データを閲覧できる人が限られると同時に、顧客データを暗号化したり、いつ誰がアクセスしたかといったログを蓄積しており、大切な顧客データを安全に管理できる仕組みが整っています。

他システムと連携して生産性を高める

顧客管理システムのなかには、Salesforceのように他システムと連携させて機能を拡張することで、幅広い業務で顧客データを活用できるものもあります。
例えば、マーケティングオートメーション(以下MA)と連携させてメール配信の成果を向上させたり、請求管理システムと連携させて請求書発行や郵送を自動化したり、名刺管理システムと連携させて顧客接点を可視化して営業に活用するといったことが可能です。

顧客管理ツールで顧客データベースを構築するデメリット

コストがかかる場合がある

顧客管理ツールには無料で利用できるものと有料サービスのものが存在しますが、有料で利用する場合には利用料金が毎月発生します。料金は一人あたりで課金されるものや、組織・グループ単位で課金されるものもあります。

ツールの使い方や活用ノウハウなどの社内トレーニングが必要

Excelでの顧客管理と異なり、独自の操作方法や機能活用の理解を深めるための勉強会を経て、ユーザーを教育する期間とコストがかかる場合があります。ツールを提供するベンダー企業が勉強会やセミナーを無料で開催する場合もあります。

まず何からやるべき?顧客データベースの作成の流れとは

上記でご紹介した顧客データベースを実際に作成するおおまかなステップをご紹介します。

顧客データといっても幅広い!まずはどの項目を管理するか判断しよう

ひとくちに顧客データと言っても、顧客の業種や事業内容、企業規模、従業員数、決算月や上場区分、契約履歴など多岐にわたります。自社が顧客の情報をどこまで把握し、どう営業やマーケティングに活用したいかによって、データベースに持たせる項目を決定しましょう。 顧客データベースの項目については以下のブログ「顧客管理にはどんな項目が必要?顧客情報を活用して成果につなげるための必須情報とその取得方法」で詳しくご紹介しています。

▼顧客管理にはどんな項目が必要?顧客情報を活用して成果につなげるための必須情報とその取得方法
https://www.sunbridge.com/blog/column/customer_management_item/

エクセルやスプレッドシートの場合はデータベース化の処理をする

管理する項目が決まったら、管理項目を表にして整理し、Excelやスプレッドシートのテーブル機能によりデータベース化します。 テーブル機能を使うことで、書式の設定を効率化したり、数式の自動適用したり、テーブル範囲の自動調整、データの並び替えや抽出が可能になる といった利点が得られます。

必要な顧客データを入力する

顧客データを登録するにはいくつか方法があります。顧客台帳に記入されたデータや名刺情報を手入力で一つひとつ登録することも可能ですが、膨大な時間と手間がかかるほか、入力ミスにより活用できないことが多く発生します。名刺や資料をOCRで読み取り、デジタル化するツールを活用すると効率的かつ手入力によるミスも軽減できます。

名刺管理ツールの一例:https://www.sunbridge.com/smartvisca/
文書データ化ツールの一例:https://www.smartread.jp/

まとめ

顧客データを構築するにあたり、無料でも構築はできますが、かなりの労力が必要な点はデメリットとなります。顧客データベースは事業が存続する限り長期的に利用することを考慮すると、有料でもセキュリティが強固なものや運用の負担やリスクが少ないものを使うことをお勧めします。

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