Dreamforce 2023現地レポート Day1

イベントレポート

Kaishi Horie

Dreamforce 2023
現地レポート Day1

Kaishi Horie

昨年より対面での開催が再開されたSalesforce世界最大の年次カンファレンス「Dreamforce」
2023年も9月12日〜14日の3日間に渡り、これまで同様にサンフランシスコのモスコーニ・センターを中心とした地域で開催されています。
本イベントにはサンブリッジも実に4年ぶりに参加することになりました。現地より常務執行役員の堀江がレポートをお送りします。

Dreamforce Main Keynote

活気に溢れる基調講演会場

Dreamforce のメインである基調講演では、米国Salesforce社 CEO のマーク・ベニオフ氏が特別ゲストとともに最新のイノベーションを紹介しました。Dreamforce初参加の人にはボタンを配布し、初参加でない人がフォローをしていく仕組みが用意されています。

基調講演の開会宣言の際にマーク・ベニオフ氏はすべての顧客やパートナーの皆様がTrailblazerであり一人ひとりに感謝を述べたいと語りました。

マウイ島の災害を悼むパフォーマンス

Goolden Hoodyが授与されたMikeさん

続いて先日のハワイ州のマウイ島の災害を悼むオープニングパフォーマンスの紹介の後、盲目のTrailblazerであるMikeさんにSalesforce MVPの証であるGoolden Hoodyが授与されました。

 

身体にハンディキャップがあったとしても、Salesforceの資格やコミュニティより活躍の場が提供されており、Trailblazer Communityがこれらの方々の雇用の創出に繋がっているといいます。

ベニオフ氏の講演内のメイントピックにおいて印象的であったことは世の中はAIによって新たなChapterを迎えたいう言葉でした。

今回のDreamforceを開催するにあたり、これまでの開催で1番のサステイナビリティを実現できたという点も印象的でした。

Salesforceの成長

ベニオフ氏のスピーチの中でもう1つ印象的だったものがSalesforce社の成長についてです。
Salesoforce社は世界のソフトウェアカンパニーで3位となり、日本ではOracleを抜いて2位になりました。
JapanのTrailblazerには大きな感謝を述べており、日本から駆けつけた約1000名のTrailblazerも大きな盛り上がりを見せていました。

今後のテクノロジーの潮流について

AIの進化の中にいる私たちのビジネス

この間にSalesforceを取り巻くテクノロジーはどんどんと進展してきており、Cloud→Mobile→Social→Data→AIというテクノロジーの潮流は皆様もご存知の通りでしょう。
特にAIは今後もGenrative→Autonomous & Agent→Artificial General Intelligenceなどとどんどん発展していくものと考えられるが、重要なCore ValueであるCustomer 360の思想はこれまでと変わらないことが強調されました。
加えてAIに対して取り組むべきと考えている企業は多くあるが、データに対する信頼という点で、企業が導入をするためにはまだGAPがある状況であることも語られました。(この‘Trust’というワードは各セッションで繰り返し語られていました)
Salesforceにおいては、‘Einstein Trust Layor“という仕組みの中で、セキュアなデータの取り込みのために、一時的にデータはマスクされ、活用時にマスクは解除され、生成的に使われるがデータの安全性は確保されるとのことです。

新しいテクノロジー:Einstein 1 Platform

Einstein 1 Platformの発表

DataCloud + Platform + Einsteinが今後Salesforceが展開するメタデータフレームワークのスタンダードとなり、統合されたプラットフォームがAIを生かす鍵になると同時に新しいアプリを作るチャンスも多くなると語られました。
AWS/Snowflake/GCP…あらゆるデータをMulesoftを使って連携、DataCloudで統合し、顧客を中心のデータにクリーニングし、CRM Appsを使って運用を回しながらEinsteinで機能をエンハンスする。そんな仕組みとなっています。
実際にSalesforceのVC部門もAIに投資を実施していることからも、AIを活用したフレームワークが今後スタンダードになっていく様子が伺い知れます。

この新しいテクノロジーであるをEinstein 1 Platformの主要機能の例は以下の通りです。

Einstein 1 Sales

  • リードやプロスペクトを自動的に創出し、自動的に日程調整、活動生成、契約書の文言生成を実施

Einstein 1 Service

  • 自動的なレスポンス、チャットを自動化

Einstein 1 Marketing

  • Einsteinが顧客を分析してキャンペーンをレコメンド可能
  • キャンペーンの中でもEinsteinと会話をしながらアセットの作成が可能
  • 自動的にセグメントを実施
  • ジャーニーもレコメンドされる

Einstein 1 Commerce

  • Commerceサイトを自動的に生成可能
  • パーソナライズも可能

Einstein 1 Platform Services

  • 各メタデータを自動化できる

Einstein 1 Tableau

  • より強力な分析・インサイト

Einstein 1 Canvas (Quip)

  • シームレスな統合、コラボレーション、協業

Einstein 1 Mulesoft

  • 100以上のアプリケーションをシームレスなワークフローで統合可能

Einsteinが顧客を分析してキャンペーンをレコメンド可能

AIでアプリケーションの作り方

IT Keynote: Build Your Customer 360 with Trusted AI
(信頼できるAIによるCustomer 360の構築)

初日の午後はIT基調講演に参加しました。この講演ではAI、データ、CRM を使用して IT の困難な課題を解決する方法を学び、Trailblazserが最新のプラットフォーム、Data Cloud、MuleSoft のイノベーションをどのように使用して次世代の IT 環境を構築しているかというテーマで展開されました。

AI革命

AIの隆盛により、
・新しい働き方
・新しいビジネス展開の仕方
・新しい顧客との繋がり方
がスタンダードとなり、いわゆる「AI革命」が展開していくことが予想される、と述べられました。

AIによる働き方の変容の例として、Senior Director, Product Management, Privacy & Data ManagementのSuzie Compton氏が登壇したこのセッションでは営業メールの作成に関するデモを中心にAIの活用についての説明が行われました。
Einsteinの機能を利用することで営業メールを送付する際に、AIを活用して自動的に文面が作成され、営業担当者は必要に応じて文面の内容を微修正するのみで効率よくメッセージを作成することが可能です。

AIを活用した営業メール作成のDEMO

この文面はSalesforce CRMに蓄積された顧客情報から生成され、より早くパーソナライズされた営業メールを送付することを可能にしています。我々日本のユーザーとしては日本語での文書生成の精度が最も気になるところではあります。

AI導入への障壁

一方で、生成AIの活用については多くの企業がITセキュリティに関する不安を抱いているとの報告もありました。
活用における障壁としてはAI専用の基盤がない、利用しているITプラットフォームが分断されているなどがあげられましたが、これに対応するソリューションとして以下のSalesforceのテクノロジーが紹介されました。

①データを取り出す:Mulesoft

あらゆるプラットフォームをつなぐMuleSoftは各プラットフォームが持つデータをセキュアに取り出すことが可能になります。

②データを作る:Data Cloud

Data Cloudがこれらのデータを操作し、顧客を中心としたデータを構築します。

③データを活用し業務を自動化・効率化する

顧客を中心に一元化されたデータを元にCRMを基盤として業務の更なる自動化・効率化をEinsteinが担います。

④その他のソリューションの紹介

開発者向けツール

営業メールのデモの裏側ではPrompt Builderが動作しており、プロンプトテンプレートを使い、AIモデルを活用することで反応されるようなメールを作成します。DeveloperツールではるCode BuilderでEinsteinに指示を出すことで正確なコーディングがフィードバックされます。これにより開発者の生産性は飛躍的に向上します。

Prompt Builder

データのバックアップ

Saleforce BackupはGUIベースでのバックアップ操作を容易にし、データに棄損があった場合も素早くリカバリーを行うことが可能になります。

セッションの最後には今後のAI関連のリリースについての予定が語られました。

Customer Success Keynote:
Maximize ROI in the AI Era

(AI時代におけるROIの最大化)

午後2回目のカスタマーサクセスに関する基調講演のテーマはSalesforceから最大限の価値を引き出しSalesforceとパートナーエコシステムが生み出すROIについて語られました。ここでのトピックもやはりAIが中心となります。

AI活用における効果

Salesforceを活用するカスタマーサクセスにおいてはAIを活用することで30%以上Salesforceの効果を拡大することができることがわかっているとのことです。

AIを活用することで30%以上Salesforceの効果を拡大

AIを最大化するためのファーストステップ

AIによってROIを最大化するためにはまず学ぶことが重要であると語られました。
そのためのリソースとしてTrailheadではさまざまなAIのスキルアッププログラムが用意されています。
またサポートプログラムにおいてもAIを活用するために複数のSuccess Planが用意されているとのことでした。

AIのコーチングを提供

AI活用の事例:Autodesk

3Dモデリングを主軸としたソフトウェア会社のAutodeskでは、自社の成長要因として20年間Salesforceを使い続けたことにより顧客中心のプラットフォームで顧客との繋がりができたと述べており、AIの活用については社員全員が利用できるAutodesk GPTを活用しているとのことでした。
またAIを活用するためのステップとして、ビジネスゴールの定義→データソースの定義→データの結合とハーモナイズ→AIの活用をあげていました。
SalesforceではこれらAIの活用に対してコーチングを提供しており、まずは小さくAIを取り入れることが重要であり、AIを価値で上げるということは、すぐに売上に繋がるようなものではないが、体験が向上し、徐々にROIに現れると語りました。

AI活用の事例:DELTA

DELTA航空では社内に蓄積されているさまざまなリサーチデータを統合して活用したいというニーズがあり、Mobile Publisherを利用してケースを一元管理しました。

まとめ

初日はSalesforceのテクノロジートレンドを理解するために重要な3つの基調講演に参加しましたが、どのセッションも内容が非常に濃密で有益なものでした。ブログの記事だけではお伝えきれない部分もありますが、Dreamforceの会場の雰囲気を感じていただければ幸いです。

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