マーケティングオートメーション(MA)本来の『理想』を実現するには(第2回):リードの育成について

技術コラム

マーケティング担当

マーケティングオートメーション(MA)本来の『理想』を実現するには(第2回):リードの育成について

マーケティング担当

「マーケティングオートメーション(MA)本来の『理想』を実現する」と題しまして連載でお伝えしております本シリーズ。前回の記事では、マーケティングオートメーションの導入における代表的なメリットとして、以下をご紹介しました。

1. マーケティング作業の効率化
2. リードの育成(リードナーチャリング)
3. 営業生産性の向上

2回目の今回は、「リードの育成(リードナーチャリング)」についてとりあげます。

マーケティングオートメーション(MA)の導入により期待されるリードの育成

リードの育成(リードナーチャリング)とは、潜在顧客や自社顧客に対しそれぞれの興味や関心に応じたアプローチを実施し、自社のサービスへの関心を高めていく手法です。以前は、一度アプローチをして見込みがないリードはそのまま手つかずになっているか、営業担当者の判断により再度アプローチをするということが多かったと思います。しかし、顧客の購買行動の変化と共に、確度が低い顧客や潜在顧客に対しても時間をかけてアプローチを続ける(育成する)ことが重要となってきました。マーケティングオートメーション(以下MA)には「リードの属性や反応に合わせてコンテンツを配信する」、「リードの行動を数値に換算する」といったリードの育成を可能とする機能が備わっています。そのため、MAにより効率よくリードが育成できるということが期待されます。

とはいえ現実は・・・

上記のように、リードの育成に必要な機能が備わっているMAですが、なかなか理想通りに育成が進まないというのが実情のようです。主な理由としては以下が考えられます。

理由①育成のシナリオ作成が困難

MAでは、特定の属性や行動を条件としたセグメントに対してアプローチをすることができますが、MAはあくまで自動化するためのツールです。ツールを使うためには、いつ、誰に、何を訴求すれば顧客の関心を高められるのか、自社顧客をよく理解した設計が必要になります。しかし、MAが登場する以前のマーケティングは、「セミナー申込者→架電」「イベントに参加→架電」など、いわゆる点としての施策がメインであったため、顧客の行動に寄り添った育成シナリオを作るのは簡単ではありません。

理由②顧客データの精度が低い

設計段階の問題をクリアし、いざ実行に移そうとした際に課題となるのが「顧客データの精度」です。
例として、「自社サイトの製品Aのページを訪問したリードで、かつ従業員500人以上の企業の場合は、関連製品Bの案内メールを送信する」というシナリオを作成したとします。しかし、製品Aを訪問したリードが1万人いたとしても、従業員規模を取得できているリードが一部のみであった場合、対象となるリードが少なくなり施策をする意味がなくなってしまいます。

理由③コンテンツが足りない

最後に③コンテンツの課題です。①、②の問題をクリアし、ターゲット像とメッセージを決め、条件に該当する顧客が十分にいたとしても、届けるコンテンツがなければ施策が実行できません。前述の例の場合、関連製品Bを紹介するコンテンツがなく、新たに作成する時間もなければ施策が先延ばしになってしまうでしょう。

育成を実現するには

① シナリオについて:営業からのヒアリングや過去のマーケティング施策をもとに検討

シナリオ作成において最も重要なのは営業からのヒアリングです。営業担当者は、顧客の要望や課題を直接耳にしており、また顧客との電話や打合せにのぞむ際も、どのように話を進めるかを考えています。営業担当者から顧客とのやりとりやトークスクリプトを共有してもらうことで、どのような顧客に対しどのようなメッセージを発信すべきか見えてくるでしょう。
また、過去のマーケティング施策にも参考となる情報が隠れています。どんなビジネスにおいても、目的やターゲットを決めずに施策を実施するということはありません。DMやFAXなどのオフラインの施策から、自社サイトのリニューアル、リスティングなどのオンラインの施策まで、マーケティング施策ではどのようなターゲットに対し何を伝えるかを少なからず検討しているはずです。そのような各施策を振り返ることもシナリオ作成に役立ちます。
とはいえ、そのように集めた情報を整理し「線としての流れ」を作るのは、やはり時間のかかる作業であり容易ではありません。導入開始時や施策に行き詰まった場合は、弊社をはじめ各コンサルティング企業の利用も検討してみてはいかがでしょうか。

② データの質について:セグメントから優先度を検討

従業員数などの企業情報から部署・役職など個人レベルの情報まで、顧客に関するデータは多義にわたりますが、最初からそれらをすべて網羅することは困難です。よって、まずは手元にある情報(名刺やイベントで入手したリストなど)をMAに取り込み、不足しているデータを補完します。次に、自社にとって重要なセグメントが何かを検討します。先の例では、従業員が500人以上というシナリオですので、まずは従業員規模が優先すべき情報となるでしょう。企業情報の補完にはDRSなどの利用が考えられますが、その場合にも、MAに予め正しい社名やドメイン名が登録されていることが重要です。

③ コンテンツについて:製品カタログや自社サイトなど、周囲のコンテンツを探す

シナリオと同様、メッセージについても営業からのヒアリングや既存や過去の施策に何かしら要素があるものです。DMを作成した際のタタキ案、既存の製品チラシなど、周囲にある素材をヒントにコンテンツを広げていくという方法が考えられます。また、同じ素材でもアウトプットを変えるという手法もあります。ブログでは読まれなかったテーマが動画では反応が良かった、ということも考えられます。

以上、「MAの理想に近づける」というテーマで今回はリードの育成についてご説明しました。次回は、営業生産性の向上についてとりあげます。

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