東京海上日動あんしん生命保険株式会社では、営業成果に至るまでの営業プロセスを可視化・分析し、営業活動を高度化するマネジメントの仕組みを創りたいと考えていた。
限られた期間でツールを導入・定着させ、営業活動のDX に成功した秘訣について、営業企画部の渡辺氏にお話を伺った。
お客様概要
業種:金融・保険
主な事業:生命保険の引き受け、保険金の支払、資産の運用、新商品の開発、保険業法に基づく業務の代理または事務の代行等
2021 年で創立25 周年を迎えた同社は、「AI 技術を用いたビッグデータ解析に基づく医療保険」や「短期入院時代に合わせたサポート」など、時代の潮流や技術の進歩に合わせた保険事業を展開している。
東京海上グループの一員という確かな基盤のもと、S&P Global Ratings による保険財務力格付で「高い信用力」と「健全性」、「充実した財務内容」からA +の評価(2022 年8 月時点)を受けた。
同社の社員は、「何としてもお客様をお守りするという、強い想いを持った「保険人(ほけんびと)」として、生命保険事業に取り組んでおり、業界のチャレンジャーとして、時代と共に進化し、一人ひとりの人生に「あんしん」を届け続けている。
今回導入した業務分野に関して、全社的な見込管理や営業活動データの蓄積・共有、標準化されたマネジメント手法が確立されておらず、高度に標準化された戦略的な営業活動とマネジメントの構築が課題となっていた。
「例えば、セールスプロセスの各フェーズ毎に何件の見込が存在し、今どんな状況にあるのか、セールスプロセスのどこが根詰まりとなっており、何が問題なのかが把握しづらい状況にありました。また、マネジメントも上司や先輩社員による経験則に基づいた属人的なマネジメントが多かったと思います。もちろん先人たちの属人的な指導も重要ですが、成果に至るまでのプロセスを可視化し、データに基づいたマネジメントを導入することで、より多くの社員が成功体験を積み、成長を実感できるようになるのではないかと考えていました。しかし、なかなか具体的解決策に辿り着けない日々が続いていました」と営業企画部の渡辺氏は当時を振り返る。
組織と営業メンバーの成長を促進するためには、社員が持つ顧客情報や営業活動をデータとして蓄積・分析し、標準的な成功モデルを全社共通の指標とした上で、マネージャーがメンバー個人の課題を対話を通じて指導することが必要だと考えていた。渡辺氏と同じ課題認識を持つ先輩社員と共に企画から仕組み作りまでを任され、改革がスタートした。
まず見込顧客データを蓄積・管理するプラットフォームにSalesforce の採用が決定したが、活用する過程で見込顧客データ入力の負担が増加してしまうと営業阻害要因になりかねない。そこで、名刺管理ツールを活用して負担を削減・効率化することで営業担当者の活用が進むと考え、複数の候補から選定を行い、Salesforce 一体型の顧客データ構築ソリューションであるSmartViscaの採用を決定した。
同社は日本全国に営業拠点があるが、まずコンセプトに共感した3 営業部にしぼって、SmartVisca を活用したデータ登録から始まるセールスプロセスマネジメントのトライアル利用を半年間にわたって行った。
「トライアルに協力してくれた営業部の部長たちも同じ課題認識を持っていたので、目的をすぐに理解し率先して協力してくれました。彼らのような協力者をとおして、200 名ほどのトライアルユーザーを対象に利用目的や自社運用に則したマニュアルの整備や説明会を実施しながら着実に定着させていき、他営業部も含めた約 650 名に本格展開させることができました」とのことだ。
プロジェクト推進メンバー間で課題や目的の認識にズレがあると、多くの場合そのプロジェクトは途中で頓挫してしまう。渡辺氏は常にその点を意識していた。
「経験則に基づいた属人的な指導だけではなく、成果を安定的に出せるようにするための仕組みを作りたい」という目的を忘れず、皆で足並みを揃えて動けたことが重要だったと思います」と語った。
顧客情報入力が効率化されたことで、Salesforce に蓄積される顧客データ量は順調に増加した。かつ精度の高い顧客情報を登録できたことや、活動記録がデジタル化されたことで、社内申請プロセスにおいて印鑑レス・ペーパーレスの導入が進み、事務作業のデジタル化も実現した。
その結果、コロナ禍という不安定な社会情勢においても実績は大きく伸び、2021 年には過去最高水準となった。
渡辺氏は、SmartVisca とSalesforce を活用することで、経験を詰んだベテラン営業のノウハウをデータとして可視化・標準化し、より早期に営業メンバーとして成長できるような仕組みにしていきたいと意気込みを語る。
SmartVisca には、組織図の階層表示・過去名刺交換履歴による人脈可視化やタグを活用したリスト作成、誰でも手軽に送受信できるオンライン名刺交換など営業活動を効率化する機能が多く備わっている。
同社においてもこれらの機能を活用し、さらなる営業組織の強化が期待できそうだ。
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