近年マーケティングオートメーション(MA)の導入が加速しています。
調査会社のIDC Japanによると、国内CRM(顧客関係管理システム)の市場は年々大きく伸びており、特に2018年はマーケティングオートメーションの市場が最も伸びた市場でした。
2018年の国内CRMアプリケーション市場の機能別売上高と前年同期比
IDC Japanのリリースを基に作成(※1)
これからMAの導入を検討しているという企業も多いと思いますが、導入後効果を上げるためにはメールを配信することができる見込客の数は多いほど有利であると考えられます。
特にBtoBビジネスにおいては日々の営業活動や展示会で交換する名刺が重要な見込客の獲得ソースとなっておりますので、せっかく獲得した名刺という正確な個人情報を活用するかしないかによってMA運用で期待できる収益にも大きく変わってきます。
上記について詳しくはこちらの記事で解説しております。
先進的な企業はすでに取り組んでいる、売上を上げるために必要な名刺のマーケティング活用とは?
今回はMAをこれから導入する、またはすでにMA導入済みの企業が名刺管理ツールを検討する際のポイントについてご説明させていただきます。
尚、本内容は名刺交換をすることが多いBtoBビジネスを前提としておりますので予めご了承ください。
1. データ化の精度
MAにおける基本的活動はメールの配信ですので、メールアドレスが正確であることは絶対条件です。たとえ1文字でもメールアドレスが間違ってしまうと見込客にメールを配信することができなくなってしまいます。
また、多くのMAツールがメールアドレスを名寄せのキー情報にしていますので、メールアドレスが揺れてしまうと正確な名寄せができず、見込客の重複が発生します。
名刺情報の読み取りをOCR(機械による光学文字認識技術)だけで行う名刺管理サービスは、安価である分データの正確性に課題があり、例えばoや0、Iと1などの紛らわしい文字を誤認識してしまう可能性があります。
せっかく数千円~1万円以上のコストをかけてリードを獲得したのに、メールが送れなくなってしまってはコストが無駄になるばかりか機会損失に繋がってしまいます。
後から目検で一枚一枚確認作業が必要となると、手入力とさほど労力が変わらなくなってしまいますので、名刺を正確にデータ化できるかどうか、データ化の精度は名刺管理サービスを選定する際に確認すべき重要なポイントの一つです。
2. CRM/SFAとの連携性
上記の図はセールスフォース・ドットコム社が提供する世界・国内共にシェアナンバーワンのCRM(顧客管理システム)であるSalesforceと、同じくMA(マーケティングオートメーション)としてトップシェアを誇るPardotの関係性を簡易的に図式化したものです。
MAは顧客情報や商談情報を管理しているCRMやSFAと連携することで大きな効果を発揮します。
顧客情報のマスターはMAではなくCRM/SFA側にあることが一般的ですが、手入力などによって顧客情報が表記揺れしてしまい見込客の重複が発生したり、転職や転属、役職変更などで情報が古くなったりと、時間の経過とともにデータは劣化していきますので、正確性を保つために常にデータのマネジメントを行っていく必要があります。
データを正確に保つためには、①新しい顧客情報を作成するときには名刺の正確な情報から作成する、②データが古くなったときには最新の名刺情報で古い情報を上書きすることがポイントです。
上記2つのポイントで正確な名刺の情報を活用してデータマネジメントを行うことにより、マスターとなる顧客情報を最新の状態に保つことが可能になってきます。
しかし、名刺管理ツールとCRM/SFAが連携されていない状態では、CSVのエクスポート/インポートなどの手間が発生するので余計な稼働が発生し、またリアルタイム性をキープできません。
そのためCRM/SFAとの連携において強みを持つ名刺管理ツールの採用がMA運用において望ましいと言えるでしょう。
3. 納品スピード
展示会や大規模イベントなどは新規見込客獲得の大きなソースとなっていますが、展示会終了後は各社一斉に獲得した見込客にアプローチを開始し始めますので、展示会で獲得した名刺をいかに早くデータ化できるかはマーケティングにとって重要なポイントの一つです。
OCR(機械による光学文字認識技術)に加えてオペレーターによる目検チェックが入る名刺管理サービスは人の作業が介在する分、OCRだけのサービスに比べて納品までのスピードは当然落ちますが、一般的に99%以上の精度で正確にデータ化してくれます。
前述したようにデータの正確性に問題があるようではすぐにアクションを行うことができません。
マーケティング担当者の”あるある”ですが、展示会で獲得した数百枚の名刺をOCRで読み取ってデジタル化したのに、そのあと結局一枚一枚目検で確認しなければならなかったなんてことも現場ではよくあります。
せっかく名刺管理サービスを導入したのに結局負荷が大きく変わらないのでは元も子もありません。
納品はただスピードだけではなく、「正確な情報をいかに早く納品できるか」という視点で検討することがおすすめです。
4. 自社に適した法人データとの連携が可能かどうか
MAによるナーチャリング効果を上げるためには見込客のターゲティングが重要ですが、名刺に含まれる部署や役職、会社所在地などの属性情報だけではセグメントをする条件が不十分なこともあります。
そこで企業が属する業界や従業員規模、売上高、上場の有無などの様々な法人情報を提供するサービスと連携することで、ABM(Account Based Marketing)と呼ばれるターゲットアカウントを絞った精度の高いマーケティングを実施することができるようになります。
ベーシック「BtoBマーケ カオスマップ 2020年版」より作成 (※2)
AMBを実践するための法人情報を提供するサービスは複数ありますが、国内企業データのほぼすべてを網羅しているサービスやマーケティングで使える独自のセグメント情報を売りにしているサービスなど、サービスによって強みの違いや特色がありますので、自社の要望に最も適したサービスを選択できることが望ましいです。
名刺を活用することで顧客情報の表記揺れや重複は発生しにくくできますので、これら法人企業のデータベースに保有されているデータとのマッチング率は名刺管理ツールを導入する前と比較して大きく向上します。
データの質と量を充実させて精度の高いマーケティングを実施することで売上の向上が見込まれ、MA導入後の効果をより高めることが可能になります。
今回はのマーケティングオートメーションと相性のよい名刺管理ツール選定のポイントを4つご紹介させていただきました。
日々の営業活動や展示会で獲得した名刺起点の見込客をMAでナーチャリングし、これまで機会損失していた見込客から継続的に案件を発生させることができるようになれば、大きな売上の向上や収益の安定性を見込むことができるようになります。
そのためには自社にとって最適な名刺管理サービスを選定いただくことが重要になりますので、今回ご紹介させていただいたポイントが参考になれば幸いです。
引用元:
※1 https://www.idc.com/getdoc.jsp?containerId=prJPJ45356819
※2 https://ferret-plus.com/13877
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