選択リストの「五十音順」に振り回されない。数式ORカスタムメタデータで構築する、現場が迷わない「ソート項目」の設計術

Rewa Tech

技術コラム

システム開発

はじめに:なぜ、あなたのリストビューは「使いにくい」のか

Salesforceのリストビューで、フェーズや確度などの「選択リスト」をソートした際、意図しない順番に並んでストレスを感じたことはありませんか? 標準のソート順は、設定画面での値の並び順や五十音順に依存します。しかし、実務において「五十音順」が「優先度順」であることは稀です。

本記事では、標準機能の「数式」と、「カスタムメタデータ」を使い分け、「ソート項目」の設計を解説します。

解決へのロードマップ:2つの実装アプローチ

リストビューの並び順を自在に操るには、主に以下の2つの手法があります。

  • パターンA:数式項目 選択リストの値に応じて「01_見込」「02_提案」といったソート用の文字列を数式で生成し、それをソートキーにする方法です。
  • パターンB:カスタムメタデータ×フロー 並び順の数値を「カスタムメタデータ」に定義し、レコード保存時にフローで値を書き込む方法です。

まずはそれぞれの手順を詳しく見ていきましょう。

【パターンA】数式項目でクイックに解決する

値が比較的少なく、まずは手っ取り早くリストを整理したい場合に最適です。

実装手順:CASE関数でスマートに定義する

数式項目(戻り値:テキスト)を作成し、CASE関数を用いて各値に「重み(数字)」を付与します。

/* 選択リスト「フェーズ」に基づき、ソート用の接頭辞を付与する数式例 */ 
CASE(StageName, 
  "Prospecting", "01_見込",
  "Qualification", "02_ヒアリング",
  "Proposal", "03_提案中", 
  "Negotiation", "04_最終交渉",
  "Closed Won", "09_受注完了",
  "99_その他" )

POINT:

  • 2桁ルール: 「01_」「02_」と2桁にします。「1_」の次は「10_」が来てしまい、期待通りに並びません。
  • 即時反映: 数式を書き換えた瞬間に、過去の完了案件も含め、すべてのレコードに新しい順序が即座に適用されます。

【パターンB】カスタムメタデータで「マスタ管理」を実現する

値の追加が頻繁にある、あるいは将来的に複雑なソート条件を追加したい組織向けの設計です。

実装手順:ロジックとデータを切り離す

ステップ1:レコード側に「ソート順」の受け皿を作る

対象オブジェクトに、数値を格納するためのカスタム項目を作成します。

  • データ型: 数値(整数)
  • 項目名: 「ソート用数値」など

POINT:この項目はフローで自動更新するため、ページレイアウトからは外しておき、リストビューの選択項目としてのみ利用する

ステップ2:カスタムメタデータで「ソートマスタ」を定義する

次に、「どの選択リスト値が、何番目に並ぶか」というルールを決めるマスタを作成します。

  • 作成場所: 設定 > カスタムメタデータ型
  • 定義: 「選択リストのAPI参照名(テキスト)」と「並び順(数値)」の2つのカスタム項目を定義します。
  • データ登録: 「提案中 = 10」「交渉中 = 20」のように、値を一つずつ登録していきます。

ステップ3:フロー(Before-save)で値をコピーする

最後に、レコード保存時にステップ2のマスタから値を検索し、ステップ1の項目へ自動で書き込む設定を行います。

  • フロー型: レコードトリガーフロー
  • 開始条件:[対象の選択リスト項目] が変更された = True
  • 処理内容: 「レコードを取得」要素で、現在の選択リスト値と一致するカスタムメタデータを検索し、見つかった「並び順」をレコードの「ソート用数値」項目に代入します。

POINT: フロー内で「マスタが見つからなかった場合(Null)」の判定を入れ、デフォルト値(99など)をセットするようにしておくと、設定漏れがあるレコードがリストの末尾に並び、管理者がすぐに気づけるようになります。

サマリー:自社にマッチする手法

2つの手法の特性を比較しました。

どちらを採用すべきかの判断資料としてご活用ください。

比較項目 パターンA:数式項目 パターンB:メタデータ+フロー
概要 小規模、設定の速さを優先 中〜大規模、長期の運用効率を優先
メンテナンス 値の追加ごとに数式の修正が必要 マスタ(メタデータ)の更新のみ
過去データへの反映 即時反映(数式修正で全件一括) ソート項目へのデータ更新が必要
制約 コンパイル制限

※条件分岐が多く、数式が長くなりすぎる場合は保存できない可能性があります。

ガバナ制限(SOQL 101など)

※大量データを一括更新した場合に、他のフローと干渉してエラーが出る場合があります。

まとめ:標準機能は「組み合わせ」で化ける

単に「並び替える」という小さな操作一つをとっても、そこに「営業担当者が迷わないための配慮」と「管理者が将来困らないための設計」を組み込めるかどうかが、Salesforceが「手放せない武器」になるかの分かれ目です。 設計の細部や、既存データのクレンジングで迷われた際は、お気軽にお問い合わせください。

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