マーケティングオートメーション(MA)と顧客管理システム(CRM)との違いとは?

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マーケティングオートメーション(MA)と顧客管理システム(CRM)との違いとは?

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2017年1月31日に公開された「ITR Market View:マーケティング管理市場2017」によると近年マーケティングオートメーション(以下MA)への注目が急速に高まっており、参入ベンダーの拡大に伴って市場は急速に伸びてきています。

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統合型マーケティング支援市場規模推移および予測:提供形態別
出所:ITR 「マーケティング管理市場2017」(注1)

 

国内ベンダーからも次々と新しいツールが開発され、MA市場も今後群雄割拠の時代へと突入することが見込まれています。しかし、MAの定義については確立されているわけではありません。中にはMAと呼ぶには疑問を感じるツールもMAとして扱われているのが実情です。

混同をしやすい例として、CRMツール(顧客管理システム)が挙げられます。見込客の行動によって次に配信するメールを出し分けるステップメール配信の機能や、フォームの入力時などに自動的にメールが配信されるトリガー配信(オートレスポンス)機能を装備しているツールもあり、中にはMAとうたっていることもあります。お客さまの中にはこのようなマーケティング機能をもったCRMとMAのどちらを導入するべきかお悩みになるケースもあるようです。

そこで今回は、見込客の育成という視点を主眼に置き、MAとCRMの違いや検討するべきポイントについて解説をいたします。

MAとCRMでは導入の目的が異なる

まず第一に、MAとCRMでは導入する目的が大きく異なるということを理解しておかなければなりません。
MAは見込客の管理や育成を目的としてマーケティング業務の効率化や効果の向上のために開発されたツールです。一方、CRMは「顧客関係管理」と翻訳されるように顧客との関係を構築・管理することで顧客満足度や顧客ロイヤリティの向上を目的として開発されたツールですので両ツールは機能も得意領域も異なる設計思想のもとに開発されています。
具体的には、MAは複数チャネルに渡る見込客の行動をトラッキングして複雑な1to1マーケティングを自動化することを得意としているに対し、CRMは顧客の購入履歴や、顧客とのコンタクト履歴の管理などを得意としています。

MAとCRMについてはどちらが優れているということはなく、以下の図のようにお互いが足りない領域を補完し合う関係にありますので、本来は両方ともあることが理想的です。

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そのため、自社がマーケティングの何を改善しようと思っているのか、導入の目的を明確にすることが重要です。顧客管理ではなく、もし見込客の育成のためにCRM導入を検討しているのであれば、目的達成のために必要な機能は揃っているかどうか、もう一度よく検討してみる必要性があるでしょう。

それでは、見込客の育成を目的とした場合、どのような機能が必要と考えられるでしょうか。
また、見込客の育成を得意領域とするMAは通常のCRMと何が異なるのでしょうか。

ステップメール機能&トリガー配信機能=MAではない

MAというとマーケティングの自動化というイメージを持っている方も多いと思いますが、下図のような条件分岐ができるステップメール機能やフォームの入力時などにメールが配信されるトリガー配信機能があればMAであるかというとそうではありません。

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見込客の検討スピードや興味・関心度合いは人それぞれです。
企業から一方的に情報発信をするのではなく、見込客を中心としたコミュニケーションを実施するためには、見込客の購入検討プロセス全体を可視化し、一人ひとりの進捗状況に合わせたマーケティングを実施することが重要です。
上記を実現するためにMAには最低限以下の機能が必要であると考えます。

  1. ウェブページの閲覧、メール閲覧、資料ダウンロード、セミナーやイベントへの参加など、見込客の複数チャネルでの行動をトラッキングし可視化することができる。
  2. フォームやランディングページを作成する機能がある。
  3. 見込客の行動に合わせてステータスや属性情報の変更、育成シナリオの変更などを自動化できる。
  4. 興味・関心度合いの高い見込客を判別するためのスコアリング機能がある。
  5. 自動的にHOTリードを検知し、タイミングを逃さず営業に連携することができる。

上記をまとめるとMAとして重要なポイントは以下の3つです。

【ポイント1】 メールマーケティングだけではなく複数のチャネルに対応できる
【ポイント2】 見込客に優先順位をつけてHOTリードの絞り込みができる
【ポイント3】 見込客の育成からHOTリードの絞り込み、営業連携までマーケティング・プロセス全体を自動化できる

また、その他の相違点として、MAは名寄せの機能がCMRよりも優れている点や、売上や優良顧客を分析するためのレポート機能が多いCRMに対して、MAではキャンペーンや育成プログラムの効果検証を行うためのレポート機能が充実している点などが挙げられます。

今回はMAとCRMの違いについて解説させていただきましたが、どちらも業務を劇的に改善することができる可能性を秘めた重要なツールであることには変わりありません。ただし、ツールはあくまで人が使用するものですので、正しく活用することが最も重要です。
MAやCRMについてもっと詳しく聞いてみたい方や、活用方法についてご興味がある方はぜひ一度お気軽にお問い合わせください。

(注1)ITR 「マーケティング管理市場2017」https://www.itr.co.jp/report/marketview/M17000200.html

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