商談数は担保できているのに受注率が伸び悩んでいる場合、その根本原因はアプローチ先を見誤っている場合や、一方的な提案になってしまっているケース、そして営業活動データを活用していない、などさまざまな要因があります。営業担当者個人のスキルに頼るだけでは、属人的な営業活動から脱却はできず組織全体の受注率を安定して引き上げることは困難です。
受注率を確実に高めるには、失注要因や営業活動をデータとして可視化し、組織全体で再現性のあるプロセスを確立しなければなりません。
本記事では、業界別の平均受注率や受注率が低くなる4つの原因を整理したうえで、現場で実践できる8つの改善策と、成果を最大化するSFA(営業支援システム)の活用法をわかりやすく解説します。
受注率とは?営業活動における重要性と計算方法
受注率とは、商談化(アポイント獲得)した案件のうち、最終的に契約・成約に至った割合を示す指標です。

例えば、10件の商談を行って1件が成約した場合、受注率は10%となります。
受注率は、単に営業担当者の交渉力を測る指標にとどまりません。「狙うべき見込み客を正しくターゲティングできているか」「提案内容が顧客の課題に合致しているか」といった、マーケティングから営業活動全体の健全性を評価する重要な指針です。受注率を高めることができれば、新規リードの獲得数を無理に増やさなくても、売上と営業利益を大幅に改善できます。
受注率の平均・目安はどれくらい?(業界別ベンチマーク)
自社の受注率を評価する際は、客観的なベンチマークと比較することが重要です。
米国HubSpot社が公開した営業動向データによると、全業界における平均受注率は「約20%」とされています。一般的なBtoB営業においても、商談化後の受注率は20%〜30%程度(商談5件につき1〜1.5件の成約)が標準的な目安となります。
| 業界・分野 | 平均的な受注率の目安 | 特徴・傾向 |
| ソフトウェア / IT(SaaS等) | 約22% | 単価や機能範囲によって幅があり、手軽なツールでは高くなり、大規模導入では慎重な選定が行われる。 |
| 金融 | 約19% | セキュリティ基準やコンプライアンス審査が厳格なため、検討プロセスが長期化しやすい。 |
| バイオテクノロジー / 医療 | 約15% | 高度な専門性と多数のステークホルダーの合意が必要となるため、成約難易度が高い。 |
| 全業界平均 | 約20% | 商談5件のうち約1件が成約に至る水準。 |
※出典:HubSpot「Average close rate for sales」調査データをもとに作成
ただし、数千万円規模の基幹システム導入や全社向けコンサルティングなど、意思決定に関わる人数が多く高単価な商材では、受注率が10%台になることも一般的です。自社商材の単価や検討期間(リードタイム)の特性を考慮して目標値を設定する必要があります。
なぜ受注率が上がらないのか?営業が抱える4つの原因
商談のアポイントは獲得できるのに成約に至らない場合、営業プロセスにおいて以下の4つの課題が生じています。
1. 営業活動データや失注理由を活用していない
過去の営業データが蓄積・分析されておらず、担当者の「勘」や「感覚」だけで動いているケースです。
- 「なぜ失注したのか(価格、納期、機能不足、決裁者の反対など)」が分類・記録されていない
- 受注につながった「勝ちパターン」のアプローチが組織内で共有されていない
失注理由や商談データが活用されない環境では、同じ失敗が何度も繰り返され、組織全体の受注率は停滞し続けます。
2. 受注確度に即して活動していない
すべての見込み客に対して均等に時間とリソースを配分してしまうと、受注率は低下します。確度の低い顧客への対応に追われ、本来であれば手厚くフォローすべき「受注確度が高い顧客」への対応が手薄になるためです。事前の情報収集や初期ヒアリングの段階で確度を見極め、優先順位をつけて営業活動を展開しなければなりません。
3. 商談におけるキーマンを見極めていない
商談相手が自社の提案に対してどれほど好感触であっても、その人物に決定権がなければ受注には結びつきません。
たとえば商談の場に担当者A氏と上司B氏が同席していた場合、反応の良いA氏だけに熱心に説明を続けても、実質的な決裁権を持つB氏の納得を得られなければ契約は見送られます。意思決定フローを把握し、キーマンを特定してアプローチすることが不可欠です。
4. 売り込もうという気持ちが強すぎる
自社製品の機能や優位性をアピールすることに終始する営業は、顧客から敬遠されます。顧客が求めているのは「製品のスペック解説」ではなく、「自社の課題がどう解決され、どんな成果が得られるか」です。顧客の現状やニーズをヒアリングせずに自社都合の提案を押し通すと、「自社に導入する価値がない」と判断されて失注に至ります。
営業の受注率をアップさせる8つの改善施策
受注率を引き上げるために、営業現場およびマネジメント層が取り組むべき具体策は以下の8点です。
1. 受注から納品までのスケジュールを明確に提示する
契約から納品・運用開始までの具体的な工程表を提示します。回答期日が曖昧なままだと顧客社内での検討が先延ばしになり、案件が立ち消えになるリスクが高まります。「いつまでに意思決定が必要か」「いつから利用開始できるか」を明示し、顧客の要望納期にも柔軟に対応しながら合意を取りつけます。
2. 明確な価格の説明と「費用対効果」の提示を行う
見積金額の提示だけでなく、その価格設定の理由と投資対効果(ROI)を論理的に説明します。競合製品より自社製品が高価な場合でも、運用工数の削減効果や手厚いサポート体制といった付加価値を明確に伝えることで、価格以上の納得感を生み出し成約率を高めます。
3. 丁寧なヒアリングで課題起点の提案を行う
受注率の高い営業は、提案前に徹底したヒアリングを行います。顧客自身も言語化できていない潜在的な業務課題を引き出し、その課題を解決する手段として自社サービスを提案します。課題解決に寄り添う姿勢を示すことで顧客との間に強固な信頼関係が生まれ、競合他社との価格競争から脱却できます。
4. 最初のアプローチは「断られる前提」でフォロー設計を行う
初回アプローチで即座に成約に至る案件は多くありません。一度断られたり見送られたりした場合でも、継続的な関係を維持するフォロー体制をあらかじめ構築しておきます。業界のトレンド情報や他社事例などを定期的に提供し続けることで、顧客側の検討フェーズが進んだ最適なタイミングで再提案の機会を獲得できます。
5. 適切な営業戦略とターゲットを設定する
場当たり的な商談獲得を排し、勝率の高いセグメントへ集中する営業戦略を設計します。市場における自社の強みを再定義し、最も価値を提供できるターゲット企業群を明確化します。受注見込みの薄い層への営業活動を削減し、適切なターゲットにリソースを集中投下することが全体の受注率向上につながります。
6. 営業ノウハウを共有し部門全体の営業力を標準化する
成果を上げているトップセールスの商談プロセス、ヒアリング項目、提案資料を言語化・マニュアル化します。個人の属人的なスキルに頼るのではなく、組織全体へ「勝ちパターン」を共有・浸透させることで、営業担当者間のスキルギャップを解消し、部門全体の成約率を底上げします。
7. 受注確度が高い顧客へのアプローチを優先する
商談フェーズや顧客の関心度合いに応じてアプローチの優先順位を設定します。確度が高い顧客には迅速な対面商談や個別のデモンストレーションを行い、確度が低い層にはメルマガやセミナーなどを通じた自動ナーチャリング(育成)を行います。リソース配分を最適化することが、営業生産性の向上に直結します。
8. 営業事務を効率化しコア業務へ集中する
見積書作成、日報入力、顧客情報の検索といった事務作業(ノンコア業務)を効率化し、顧客と向き合う商談や提案準備(コア業務)に集中できる環境を整えます。
セールスフォース・ジャパンが発表した調査レポートによると、営業担当者が実際に顧客への販売活動(コア業務)に充てられている時間は業務全体のわずか28%にとどまり、残り72%の時間は事務作業や社内調整などの管理業務に費やされているという実態が明らかになっています。
※出典:Salesforce「State of Sales(セールス最新動向)」調査レポートより
ノンコア業務にかかる工数を削減し、1件あたりの商談準備や顧客フォローに使える時間を増やすことが、提案の質を高め、受注率を直接的に押し上げる要因となります。
受注率アップを仕組み化するSFA(営業支援システム)の活用術
営業活動の効率化とデータドリブンな改善を実現し、組織的に受注率を高めるための基盤となるのがSFA(Sales Force Automation:営業支援システム)です。SFAの主要機能と受注率向上における具体的な役割は以下の通りです。
| 機能 | 概要 | 受注率アップへの貢献 |
| 案件管理 | 商談フェーズ、受注確度、予想金額、完了予定日を一元管理 | 案件の停滞やフォロー漏れを防止し、ベストなタイミングで次の一手を打てる |
| 顧客・コンタクト管理 | 企業の基本情報、部署、役職、過去の商談履歴を紐づけて管理 | キーマン情報や過去の交渉経緯を把握し、商談前の準備精度を高められる |
| 活動履歴・商談記録 | 日々の営業活動内容や商談時のやり取りを時系列で記録 | トップセールスのアプローチ手順や提案手法を組織全体で可視化・共有できる |
| 失注・分析レポート | 失注理由やプロセスごとの歩留まりを自動でグラフ・ダッシュボード化 | 「どの段階で」「なぜ失注したか」のボトルネックを特定し、営業プロセスを改善できる |
| 見積・書類作成連携 | 登録データを引用して見積書や提案関連書類を素早く発行 | 事務処理の負担を大幅に減らし、顧客アプローチなどのコア業務に専念できる |
SFAに蓄積されたデータを分析することで、「どのような業界・企業規模に対して、どのような提案プロセスを踏むと受注率が高いのか」という自社の成功モデルが浮き彫りになります。営業活動を可視化・仕組み化することが、個人の力量に左右されない継続的な受注率アップへの最短ルートです。
もし貴社がSFA・CRMを使っていない場合は、以下より選び方のポイントの解説と主なSFA・CRMの比較表をダウンロードいただけます。
SFA導入と定着化による受注率向上ならサンブリッジへ
営業の受注率を継続的に高めるためには、個人の営業力強化に加え、SFAを活用した営業プロセスの可視化とデータに基づく組織改善が不可欠です。しかし、高機能なSFAを導入しても「日々の入力が現場に定着しない」「蓄積したデータを分析・活用できていない」といった課題に直面する企業は少なくありません。
サンブリッジが提供する「Salesforce導入支援」では、お客様の現状の業務要件や目指すビジネスゴールを綿密にヒアリングし、導入時のシステム設計はもちろん、現場に根付く運用ルールの策定から導入後の定着化支援まで一貫してサポートします。
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