Salesforceの担当者からAgentforceの説明を受けたものの、以前から使っているEinsteinと何が違うのか、社内でうまく説明できなかった。AIを入れても営業がデータを入れてくれなければ意味がないのでは、と上司に言われた。追加の費用や開発がどこまで必要なのか、見当がつかない。
SalesforceのAIを調べていると、このあたりで立ち止まる方が多いように感じます。
結論から言うと、EinsteinはSalesforceのAI機能全体につけられたブランド名で、AgentforceはそのEinsteinの基盤の上に作られたAIエージェント製品です。新旧の関係ではなく、土台と、その上に建てた製品という関係だと考えると整理しやすいと思います。
この記事では、両者の違いを整理したうえで、費用と開発の範囲、データ入力とAIの関係、Einstein Botsからの移行についても触れていきます。費用や仕様などは2026年10月時点の公式情報をもとにご紹介しています。
情報システム部門や営業企画の方、それから「AgentforceやEinsteinを社内に説明しなければならない」立場の方に読んでいただければと思います。
AgentforceとEinsteinの違い:全体像と位置づけの比較
まずは全体像を図と表で押さえておきます。

| 比較項目 | Einstein | Agentforce |
|---|---|---|
| 位置づけ | SalesforceのAI機能全体を指すブランド | Einsteinの基盤上に作られたAIエージェント製品 |
| 主な役割 | 予測や生成で、人の判断と作業を支える | 自ら計画・判断し、業務を実行する |
| できることの例 | リードスコアリング、売上予測、通話やケースの要約、返信の下書き | 問い合わせへの24時間365日の対応、データの検索、アクションプランの作成と実行 |
| 料金の考え方 | エディションに含まれるか、有料オプション | 従量課金か、ユーザー単位のライセンスを選ぶ |
Einsteinとは?予測と生成で人の判断を支えるAI機能の総称
Einsteinは、Salesforceに組み込まれたAI機能全体のブランドです。公式サイトによると、登場は2016年。当初はリードスコアリングや売上予測といった予測AIでした。2023年になって、通話の要約などの生成AIの機能が加わっています。
機能を大きく分けると、予測と生成の2つです。予測AIの代表がEinsteinリードスコアリングや売上予測で、どのリードや商談を優先すべきかを示してくれます。生成AIのほうは、通話やケースの要約、文章や返信の下書きなどです。どちらの場面でも、最後に判断して動くのは人のほうです。
Agentforceとは?自ら判断して業務を実行するAIエージェント
Agentforceは、Einsteinが改称されたものではありません。Einstein Platformの上に作られた独立した製品で、一般提供の開始は2024年10月に発表されました。
エージェントは、大規模言語モデル(LLM)でやり取りの内容を分析し、次に何をすべきかを自分で判断します。使われ方は顧客向けと従業員向けの2通りで、たとえば夜間に届いた問い合わせにはエージェントが応答し、人の判断が必要なものだけを担当者に引き継ぐ、という使い方ができます。
参考記事:
SalesforceのAI活用最前線!Agentforceの仕組みと最新動向
Einstein Copilotから名称変更?新旧名称の早見表
両者の違いをわかりにくくしている一番の原因は名称変更です。古い資料や提案書を読むときは、以下の表で名称を読み替えてから中身を確かめるようにしてください。
| 以前の名称 | 変更後の名称 | 補足 |
|---|---|---|
| Einstein Copilot | Agentforce | 2025年1月から(機能の変更はなし) |
| Data Cloud | Data 360 | Dreamforce 2025で発表 |
| Sales Cloud | Agentforce Sales | 2025年10月に改称(現在の製品ページは再びSales Cloud表記) |
Einstein BotsとAgentforce Service Agentの違い
すでにEinstein Botsでチャットボットを運用している場合、一言でいえば「決められた流れに沿って応答するか、会話の文脈から判断して応答するか」の違いになります。

| 比較項目 | Einstein Bots | Agentforce Service Agent |
|---|---|---|
| 会話の進め方 | 定義済みのダイアログに沿って応答 | 会話の文脈から判断して応答 |
| 意図の理解 | インテントモデルの設定とトレーニングが必要 | メッセージの意図を標準で理解 |
| 課金 | 月次の許容量に対し、エンゲージされたセッションで計測 | Einstein要求とData 360クレジットを消費 |
| 使える画面 | Salesforce ClassicとLightning Experience | Lightning Experienceのみ |
導入の判断軸:費用(料金)・開発範囲・移行のポイント
この章では、導入を判断するときの観点を取り上げます。なお、料金などは今後変わる可能性があります。
エディション別の無償枠と機能の有効化
開発や追加購入を検討する前に、今の契約で何が使えるのかを確かめます。EinsteinリードスコアリングはPerformance EditionとUnlimited Editionに含まれ、Enterprise Editionでは有料オプションです。一方で、Sales CloudのEnterprise EditionにはAgentforceが含まれており、Enterprise Edition以上なら100,000 Flexクレジットが無料となるアドオン「Salesforce Foundations」も利用可能です。
Agentforceの料金体系と運用コストの試算
料金は使った分だけ支払う従量課金と、ユーザー単位のライセンスの2系統があります。
| 料金の種類 | 価格 | 主な内容 |
|---|---|---|
| Salesforce Foundations | 0円 | Agentforce BuilderやPrompt Builderなどを使える |
| Flexクレジット | 100,000クレジットあたり60,000円 | 1アクションごとに20クレジットを消費 |
| 会話 | 1件あたり240円 | 会話単位で支払う |
| Agentforceユーザーライセンス | 1ユーザーあたり月額600円 | Flexクレジットとあわせて利用 |
| Agentforceアドオン | 1ユーザーあたり月額15,000円 | 従業員向けのエージェント機能を無制限に使える |
費用を見積もるときは、ライセンスやクレジットの金額だけでなく、プロンプトの整備やSalesforce項目の最適化など、AIを自社の業務に合わせるための準備工数も見ておく必要があります。
開発範囲の目安(プロンプト・フロー・Apex)
独自の業務を任せるときは、アクションをプロンプトテンプレート、フロー、Apexのどれで作るかを決めます。
| 手段 | 特徴 | 作り方の目安 |
|---|---|---|
| プロンプトテンプレート | AIへの指示のひな形 | Prompt Builderで作成(情報取得や文章生成など) 参考:Salesforce AI活用の要「プロンプトビルダー」とは? |
| フロー | ローコード(少ないコード)で作る自動化の処理 | Flow Builderで作成(決まった手順の自動化) |
| Apex | Salesforceの開発で使うプログラミング言語 | コードを書いて、より複雑な処理を作成 |
Einstein Botsからの移行タイミングと注意点
Einstein Botsの一部機能(Article Answersなど)はすでに提供を終了しています。既存のボットをAgentforce Service Agentなどに変換するツール「Upgrade Agent」も発表されていますが、Agentforce Service AgentはLightning Experienceでしか使えないため、Salesforce Classic環境の場合は切り替えが必要になります。
参考記事:
Lightning Experienceとは?移行のメリットと成功のポイント
AI定着化の壁:Salesforceにデータがたまらない原因と解決策
EinsteinもAgentforceも、動く材料はCRMに入っているデータです。データが入っていなければ期待した結果にはなりません。
Einsteinリードスコアリングに必要なデータ量
Einsteinリードスコアリングで自社独自のモデルを作るには「過去200日間に作成されたリードが1,000件以上」「そのうち120件以上が取引開始されている」という条件があります。営業がデータ入力を怠ると、精度の低いグローバルモデルが使われ続けることになります。
入力負荷をゼロにするアプローチ(Agentforce+SmartVisca連携)
データ入力が定着しない根本的な原因は、「入力する人(営業)」と「恩恵を受ける人(マネージャー)」が分離している点にあります。「入力させる」のではなく、システム側で入力の負担そのものを取り除くのが最短ルートです。
参考記事:
SFA/CRM導入後、本当に活用できてる? 利用率が上がらない「本当の原因」と改善の考え方
- Agentforceで日報入力を自動化:
商談の文字起こしからAIが要点を抜き出し、活動履歴や日報レコードへ自動で振り分けます。
詳細:【日報入力を自動化】Salesforceの負担を減らすAgentforceの具体的な仕組みとポイント - SmartViscaで名刺入力をゼロに:
名刺を撮影するだけでAI-OCRでデータ化し、Salesforceに登録。自動名寄せにも対応します。
詳細:Salesforce一体型の名刺管理 SmartVisca
導入事例として、展示会後の名刺デジタル化にかかる社内工数がほぼゼロになり、フォロー開始が約1週間短縮されたケースや、名刺が直接Marketing Cloud Account Engagementのリードになることで営業が自ら名刺を取り込むようになったケースがあります。入口を自動化すれば、営業が意識しなくてもデータがたまる状態をつくれます。
まとめ:自社に適しているのはEinsteinかAgentforceか
両者の一番の違いは、AIが人の判断を支えるのか、AI自身が業務を実行するのか、という点です。
| やりたいこと | 検討したい機能 |
|---|---|
| 有望なリードや商談を見極めたい | Einsteinの予測AI(リードスコアリングなど) |
| 要約や文章作成の手間を減らしたい | Einsteinの生成AI |
| 問い合わせ対応を任せたい | Agentforce Service Agent |
| 日報や活動記録の入力を減らしたい | Agentforce(要点の抽出と自動入力) |
どちらを選ぶにしても、入力の負担を減らす仕組みづくりとデータの整備はセットで進めたほうがよい、というのが本記事で一番お伝えしたかったことです。まずは契約に含まれる機能と無償枠を確かめ、準備の工数を含めて費用を試算してみてください。
サンブリッジは、日本で最初のSalesforce認定コンサルティングパートナーとして、3,800件以上のプロジェクトを支援してきました。Agentforceの導入検討から、AIを活かすための環境構築まで一貫して支援しておりますので、「自社ではどちらから始めるべきか」で迷われている方は、お気軽にご相談ください。
関連サービス:
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