マーケティングオートメーション(MA)導入の流れとは?
~運用開始までの全体フローや注意点について~

技術コラム

マーケティング担当 YH

マーケティングオートメーション(MA)導入の流れとは?
~運用開始までの全体フローや注意点について~

マーケティング担当 YH

blog_190723b

新しいツールやサービスの導入を検討する際、導入の流れや発生する作業など、どのように進めていくのかといった手順は気になる点の一つでしょう。そこで今回は、マーケティングオートメーション(MA)について、実際に導入が決まった後どのように進めていくのか全体の流れについてご紹介します。

 直近で取り組む施策を決める

マーケティングオートメーション(MA)の導入を決めた際に、活用することで実現したい目的やゴールを想定していると思います。ここではその目的をもとに具体的にどのような施策を行うか、また可能であればそのKPI・KGIを検討します。MAを導入する際は、ベンダーやパートナーのコンサルティング支援のもと進めることがほとんどですので、何から始めれば良いのか判らない場合などはコンサルタントに相談しながら進めていきます。

対象範囲を確定する

マーケティングオートメーション(MA)をどのWebサイト・見込客・データに対して使っていくのか、といった「対象範囲」を決定します。ここで対象範囲を明確にせずなんとなく初めてしまうケースもあるようですが、成果を出すためにはこの設計をしっかりと行うことをおすすめします。

対象とするWebサイト:

マーケティングオートメーション(MA)は基本的にオンライン上の見込客の行動をベースに施策を行うツールです。よって、どのWebページを対象に見込客の行動を把握するかは大事なポイントです。ツールによってはPV(ページビュー)課金の場合もありますので、MAツールを選定する際に対象のWebサイトを決めている場合も多いでしょう。

自社のWebサイトを対象とすることがほとんどですが、複数のサイトを運営している場合や異なるドメインのサイトを運営している場合は、すべてのサイトを対象とするか、一部のみ対象とするかを検討します。

また、PV課金の場合は特に「製品ページは対象とするが採用ページは対象としない」のように、対象範囲を絞るケースもあります。

対象とする見込客:

自社で保持している顧客リストに対し、全員をマーケティングオートメーション(MA)の対象とするのか、一部のみをMAに取り込むのかを決めます。ほとんどのMAツールは対象とする顧客データの数で料金プランが異なるので、ツールを選定する際に対象顧客数をある程度決めていることも多いでしょう。

また、既存の見込客のリストや獲得経路もリストアップしておきます。Webフォーム経由、イベント、外部メディア、名刺などさまざまな経路があると思いますので、MAの対象とする場合は、新規に獲得した情報をどのようにMAに取り込むかも確認します(例:名刺は名刺管理システムからスキャンをしてPardotに取り込むなど)。

MAを他ツールと連携する場合には、さらにデータ連携における検討事項がありますので、コンサルタントと確認して進めていきます。

対象とする項目:

既存の顧客リストで管理している項目をもとに、追加で保持したい項目の有無やデータ形式を整理します。

企業名、所在地、氏名、メールアドレス、電話番号のような基本的な項目のほか、興味のある商材や獲得チャネルなど、扱っているサービスによって必要な情報はさまざまです。項目の追加は運用開始以降でも可能ですが、できればスタートの段階で目的にあわせて優先的に必要なものを決めていくとよいでしょう。

対象とするフォーム:

マーケティングオートメーション(MA)Webフォーム機能を備えているものが多く、フォームを経由することでCookie(クッキー)の紐づけを行います。現在使っているフォームをすべてMAに移行するのか、一部は既存のフォームを継続して利用するのかを検討します。(クッキーの説明は「~マーケティングに役立つ基礎用語~ Cookie(クッキー)の仕組み」 をご覧ください)

製品の問い合わせフォームはMAに移行し、採用の問い合わせは既存のフォームのまま運用するというように、フォームの目的により使い分けることもあります。なお、Pardotでは「フォームハンドラー」という機能を使うことで、既存のフォームを使いながらPardotにデータを取り込むことも可能です。

初期設定を行う:

メール配信や行動トラッキングを行うために必要な作業です。対象とするWebサイトにトラッキング用のタグを設置したり、自社で利用しているドメインやSSLの設定をしたりなど技術的な作業となりますので、自社のWeb担当者やサーバーの管理者に対応を依頼します。

施策を設計に落とす:

直近の目的で決めた内容をもとに、どのような流れで施策を行うか検討し、必要な作業を整理します。

具体的には以下のような検討項目があります。

  • 施策の対象(セグメント)
  • 見込客へのアクション(シナリオ)
  • 必要なメールやフォーム、その他コンテンツの内容
  • スコアリングの配点
  • KPIやレポートの計測対象
  • 見込客のステイタスの設定
  • 営業との連携

以下はセミナー集客をマーケティングオートメーション(MA)で実施する場合の例です:

  • 施策の対象:昨年のイベントで獲得した見込客
    必要なメールやフォーム:招待メール、リマインドメール、お礼メール、申し込みフォーム
  • シナリオ:
    [開催前]集客メール配信⇒フォームからの申し込み⇒登録完了メール配信+担当者へアラート通知
    [開催直前]申し込み者へリマインドメール配信
    [開催後]出席者のみ、お礼メールを配信
  • ステイタスの設定:申し込み、参加、欠席などのステイタスを管理
  • 営業に渡す流れ:「参加」ステイタスの見込客のみ営業からアプローチ

さらに集客メールの反応により次に送るメールの内容を変えるなど、条件によりフローを変更することもできます。その他、スコアリングの設定などもありますが、最初からすべて自動化せず、後から設定が可能なことは運用フェーズで実施としてもよいでしょう。

また、導入したばかりの時期は、見込客のクッキーの紐づけがほとんど出来ていない状態のため、まずはクッキーの紐づけを目的とした施策も検討するとよいでしょう。見込客のクッキーが紐づくことでWebやメールの反応をとらえることができるので、それぞれの見込み客の興味・関心にあわせたよりパーソナライズな施策ができます。

コンテンツ作成およびプログラムの実装:                                     

施策内容や既存のコンテンツの有無、プロジェクトの役割分担によっても異なりますが、ランディングページ(LP)やメールのテンプレート、初回に実施する施策やサンプルプログラムは、導入を支援するンサルタントに依頼するのがおすすめです。スコアリングや育成プログラムを導入時には使用しない場合でも、サンプルプログラムを用意しておくことで後々自社での運用もしやすくなります。

コンテンツ作成においてはセミナー集客の例のように、メールや申込ページの文面だけの場合もあれば、ホワイトペーパーのようなボリュームのあるコンテンツを必要とする施策もあります。すべてを一から作成するのではなく、製品資料やチラシ、営業資料、Webサイトに掲載しているPDFなど既存のコンテンツで活用できるものを確認するとよいでしょう。

 こうしてプログラムの実装および見込客のインポートが終れば導入は完了です。設定内容の説明を含めたトレーニング(導入を支援した企業があわせて実施する場合が多い)を受講し、運用フェーズに入ります。

いかがでしたでしょうか。なかにはツールを選定する段階で決めていることや、優先順位により前後する作業もありますが、全体の流れとしては共通しています。現在、マーケティングオートメーションの導入を検討している方や、導入に向けてどのような流れになるのか知っておきたいという方に参考としていただければと思います。

~カスタマージャーニーの設計から実装・運用まで~
マーケティングオートメーション導入支援

サンブリッジでは、マーケティングオートメーションの代表的ツールであるPardotの導入や運用、他ツールの連携をご支援しています。

関連記事