マーケティングオートメーション本来の『理想』を実現するには 第3回:営業生産性の向上

技術コラム

マーケティング担当

マーケティングオートメーション本来の『理想』を実現するには 第3回:営業生産性の向上

マーケティング担当

「マーケティングオートメーション本来の『理想』を実現する」と題しまして連載でお伝えしております本シリーズ。マーケティングオートメーションの導入における代表的なメリットとして、以下をご紹介しました。

1. マーケティング作業の効率化
2. リードの育成(リードナーチャリング)
3. 営業生産性の向上

3回目の今回は、「営業生産性の向上」についてとりあげます。

マーケティングオートメーション(MA)の導入により期待される営業生産性の向上とは

前回の「リードの育成」で触れたように、MAの導入により確度の高いリードの抽出が期待されます。
従来、営業担当者の手にするアタックリストは「従業員規模~人以上の企業」や「メルマガ登録者」など、一定の条件にもとづいて抽出したものが多く、その場合、自社と接点のないリードはもちろん、自社顧客においても確度の低いリードが多く含まれている可能性がありました。そのため、確度の高いリードを探すためには、より多くのリードにアプローチをするしかありません。架電数がアポ数に比例するといわれるのはそのためです。しかし、見込みが薄いリードに対し片っ端から架電をするのは時間がかかり非効率です。

一方、MAであれば属性情報や行動履歴など自社が定義した複雑な条件でリードを抽出することが可能です。以前は「メルマガ購読者」として一括りのリストだったものが、MA導入によりさらに「メルマガ購読者かつ自社サイトの製品ページを3回以上訪問したリード」など複数の条件を組み合わせて対象者を抽出することが可能です。同じメルマガ購読者でも、一度も製品サイトに訪問していないリードAと、何度も訪問したリードBでは、リードBの方が架電をした際の反応が良いことが期待できます。このようにMAを導入することで、確度の高いリードの抽出が可能になり、営業担当者は優先度(確度)の高いリードからアプローチをすることが可能になります。結果的に、アポ獲得率が向上=生産性が向上するというのが期待される理想の状態です。

とはいえ現実は・・・

しかし実際は、思ったように生産性があがらないという状況があります。単純にアポ率があがらないという問題や運用フローによる問題など、企業により事情も異なりますが、主な理由としては以下が考えられます。

理由①:リードの抽出の仕方に問題がある(「ホットリード」の仮説が間違っている)

アポ率の向上には、営業トークやアポの目的などいろいろな要因が影響しますが、MA導入により改善が期待できることは「確度の高いリスト」の抽出です。その確度のレベルは事前に定義した条件(仮説)に合致するかで決まりますので、「確度の高いリスト」のアポ率が低い場合は、仮説が間違っている可能性があります。

理由②:営業を含めた運用フローが実施されていない

マーケティングから営業までのフローがまわっていないという運用の問題です。ホットリードを抽出し営業に引き渡しても、アクションがとられていない(または遅れる)、またはその後の経過が不明になっているなどのケースが考えられます。ホットリードを渡しても、アプローチまでに時間がたってしまうと、もはやホットではなくなりアポ率も下がると考えられます。また、架電後の経過が不明であれば、リードが放置されてしまう可能性もあります。

生産性向上を実現するには

適切に運用し、アポ獲得率を向上させるには、以下の対策が考えられます。

① リード抽出の問題について:営業からのフィードバックが重要

ホットリードの抽出については、アプローチをした営業(またはインサイドセールス)からフィードバックをもらい、アポがとれなかった理由を確認することが重要です。理由は明確でないことも多いですが、「製品担当ではなかった」のか「すでに他社製品に決めてしまった」なのか、理由によりとるべき対応が変わってきます。前者の場合は、同じ社内の別のリードにアタックすることが考えられますし、後者の場合は、タイミングを逃しているので、今後は早めにホットになるようスコアの配点を変えるなどの対策が考えられます。フィードバックの結果、必要であれば仮説を見直し、再び一定期間運用するというPDCAを繰り返すことで、「ホットリード」の精度をあげていきます。

②営業受け渡しのフローについて:運用しやすさと網羅性のバランスが鍵

まずは当然ですが運用フローの策定が必要です。ホットリード以降のステータスの定義を決め、それを営業とマーケティングで共有します。既に営業側でステータスの定義がある場合は、それをもとに設定をすると良いでしょう。あまり細かく決めすぎると作業負荷が高くなり更新が滞ってしまうので、まずは自社にとって最低限必要なものから実施することをおすすめします。

その際に見落としがちな点の一つは、イレギュラーの対応です。実際、顧客の状況はファネルのように単純ではありません。ホットリードであっても、すぐにアプローチすべきでないなど、さまざまな「イレギュラー」なパターンが考えられます。その場合にどうするか(最初は「都度検討する」でも構いません)、何かしらの共通認識を持つことが必要です。

また、ステータスを定期的に見直すこともおすすめします。すべてのパターンを網羅したつもりでもどこかに行き止まり(ステータスが変わらない状態)があったり、プログラムの設定が間違っていたりなど、ステータスが適切でない場合があります。定期的な見直しにより、そのような問題を解消し、育成対象のリードに戻すことが重要になります。

営業への引き渡しまでのフローは、定着するまでは何度も見直しを繰り返す必要があると考えられます。実際には上記に記載した点以外にも、会社によりさまざま考慮すべき点が出てくるでしょう。

以上、3回にわたりお届けしました「マーケティングオートメーション本来の『理想』を実現する」いかがでしたでしょうか。MAは難しい・・・と感じた方もいるかもしれませんが、一度使い慣れると他のツールには代用できないメリットを実感できると思います。

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